コロナ禍でモノづくりの考え方にも変化が…デザイン活動家・ナガオカケンメイ「二極化していくでしょうね」

放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」。6月7日(日)放送では、デザイン活動家のナガオカケンメイさんをゲストに迎え、お届けしました。


(上段)ナガオカケンメイさん、(下段)パーソナリティの宇賀なつみ、小山薫堂



ナガオカさんは、その土地に長く続くモノやコトを紹介するストア「D&DEPARTMENT」の代表であるほか、土地らしさを持つ場所に2ヵ月住んで取材をする文化観光誌「d design travel」を2009年に刊行。さらには、東京・渋谷ヒカリエ8階にて日本初の物産ミュージアム「d47 MUSEUM」を運営しています。

ナガオカさんは、開口一番「どれもお金になりません」とつぶやき、笑いを誘います。そんな和やかなムードのなか、まず小山が関心を寄せたのは「d design travel」の取材手法。

なぜ現地に2ヵ月住む手法をとっているのかと言うと「従来、取材というのは下調べをして、取材申し込みをしてからするじゃないですか。そうすると、最初に特別な状態を用意されてしまうので」とナガオカさん。

「1ヵ月住むと、その土地のことが何となくわかるじゃないですか。そのあと、その土地らしさのある喫茶店や蕎麦屋さんとかいろいろなところを探して、そこに行って、食べて、感動して“その土地らしいな”と思ったら、初めてそこで取材を申し込むんです」と話します。

そうは言っても運営はかなり大変だそうで、「定期刊行物でね、いまは年に2冊出していて。お金も1,000万円以上かかるので、協賛企業を集めながらつくるという計画のないやつですね」と内情を打ち明けます。

2009年の発刊から、これまで訪れた都道府県は27。「やっと折り返しで。あと10年ちょっとかかるんですよ。ね、活動家でしょ?」と笑います。宇賀が「そもそも、どうして地方や地域に魅力を感じたんですか?」と尋ねると、ナガオカさんは「僕は、デザイナーに憧れて18歳で東京に出てきて。デザインは東京のものだと信じて疑わずにずっとやってきたんですね。

そうしたら、日本の伝統工芸とかが出てきたときに、“すごい!”と思って。もしかしたら、伝統工芸って呼んでいるからいけなくて、これは“デザイン”なんじゃないかと思い始めたら、急に民芸とかに関心が湧いた」と振り返ります。

地方のデザインの面白さに心惹かれていったナガオカさんは、「それを均等に掘り起こそうと思ったのがきっかけですね。掘り起こした結果、東京にはない個性的なものがいっぱいあった」と言います。


4月上旬に発売されたばかりの「d design travel EHIME」



新型コロナウイルスの影響で、働き方や暮らし方が少しずつ変わりつつあるなか、モノづくりはどう変化していくのか、ナガオカさんに尋ねると「オフィスに通う日と、通わない日がある、これからの働き方と一緒で、路面店に行って買うべきものと、通販で買うべきものがある、と。

僕も路面店をやっているので、今回すごく勉強になったんですけど、お客さんが来ないと本当に(売上が)ゼロなので……。そういう意味では、どうお客さんと接していくのか。関係性がないのに、売上を立てようという発想はもうできないですよね。なので、いまは関係性のある人同士をつないで、モノを買ってもらおうという動きがありますね」と実感を語ります。

そして、お店に足を運んで買うべきモノと、ネットで買うべきモノの違いは、「モノだけが欲しいのか、モノの背景を欲しいのか」とナガオカさん。「僕らはそれを“モノ・の・まわり”っていう言い方をしているんですけど、モノにはつくった人や住んでいる環境とか、モノの経済的なマーケットなどがあって、それらを全部手に入れたほうがロングライフデザイン的に長く使える。モノだけが欲しいという人は、ネットで買えばいい」と話します。

本を買うときを例に挙げ、「“本に出会いたい”という人は、やっぱり本屋に行かないといけないし、“あの本が欲しい”とわかっていたら、わざわざ本屋さんに行かなくてもいいし。モノづくりに対する考え方も、そういうふうに割り切って二極化していくでしょうね」と推測。

さらには、「さっき言った“モノ・の・まわり”という僕らの新しい売り方なんですけど、モノを手に入れただけじゃなくて、それとずっと付き合っていけるようなイベントが年に4回とか、そういうのもくっつけて販売していかないと」と売り方の変化についても言及。

「例えば、同じ商品を使っている人たちが、お茶会で月に1回集まって、ああだこうだ楽しく話すみたいな企画とか。そういうこともやらないと、モノは検索してネットで買えばいいという話になってしまうので。スタッフのスキルも問われていきますよね」と話します。

東京に住んで30年以上になるというナガオカさんは、「東京の役割と地方の役割みたいなことを本当に感じます。高い家賃を払って、場所を借りて、“一体何がしたいんだ”ということを、いま自分に問うています」と近況を語っていました。

<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY’S POST
放送日時:毎週日曜 15:00〜15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/post/

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