「とにかく気持ちをひとつに」新型コロナ患者の受け入れを決意した院長のリーダーシップ

住吉美紀がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「Blue Ocean」では、毎週火曜に、新型コロナウイルスと最前線で戦う医療現場の「リアルな現状や課題」を情報発信するべく、在京民放ラジオ放送局5社連携でスタートした共同プロジェクト「#医療現場を応援」と連動したコーナーをお届けしています。

6月30日(火)の放送では、特定医療法人大坪会 三軒茶屋病院 院長の大坪由里子(おおつぼ・ゆりこ)さんに生電話でお話を伺いました。


※写真はイメージです



◆受け入れ前から“気持ちをひとつに”
住吉:大坪さんが院長をつとめていらっしゃる三軒茶屋病院では、民間の感染症指定病院以外で、早い段階から新型コロナ患者の受け入れを決めて、独自にマニュアルを整備するなど、万全を期していたそうですね。

大坪:はい。東京都では、4月初めに感染症指定病院以外の民間病院でも新型コロナ患者の受け入れ病床を確保することになったのですが、そのとき、すぐに手を挙げました。

住吉:真っ先に手を挙げたという、その思いは?

大坪:1月に中国・武漢市で“新型の肺炎が猛威を振るっている”というニュースを観て、日本も同じような状況になるかもしれないと、とにかく強い危機感を持っていたんですね。もしそうなったときには、“自分たちがやるしかない!”と心に決めていたので、迷いなどはなく、すぐに手を挙げました。

住吉:すぐにチームを編成されたと伺いました。そのとき、どのように動いて準備されたのですか?

大坪:毎週、病院の朝礼で職員に新型コロナの動向を伝えていました。“そのときがきたら、みんなで戦うことになるんだ”と、職員一同で気持ちをつくっていたので、いざ動き始めると、みんな非常に積極的で協力的で、あっという間に準備をしてくれて、本当に感謝しています。

住吉:すごい。受け入れ前から毎週のように意識づけをされていたのですね。

大坪:はい。語りかけて、とにかく気持ちを1つにしようとしていました。

住吉:気持ちがビックリすると、人ってどうしても“無理”って思っちゃったり、それこそ危険のリスクも高まったりしますものね。

大坪:そうですね。とにかく準備をしっかりとしておかないと、住吉さんのおっしゃる通り、リスクが伴うものだと思うので。気持ち的にはずっと“やろう!”と決めていた感じです。

住吉:それでも、職員のなかに“まだ(受け入れを)頼まれていないのに手を挙げる必要があるのか”など、不安の声はなかったのでしょうか?

大坪:あったかもしれないですけど……東京都の病床確保の指針が発表されたんですけど、それによると(新型コロナの)感染者数によってレベル1〜5と段階を踏んで病床を増やしていくことになっていたんですね。

住吉:はい。

大坪:レベル5だと、感染爆発しているような状況なんですけど、“すべての医療機関で総力戦”ということが記されてあったんです。その言葉がものすごく心に響いて、その内容についても朝礼で職員みんなに話をして、共有していたので、院内のモチベーションは高かったと思います。

住吉:途中、疲れから“モチベーションを保ちづらい”というお話も聞きますが、みなさんは保てていたのでしょうか?

大坪:とにかく“自分たちだけじゃない”ということですね。みんなが戦っているということ、それから、なんとしても“この危機を乗り越えなくてはいけない!”という気持ちで、あまり余計なことを考える余裕もなく、必死だった感じです。

◆感染対策で重要なのは「教育と訓練」
住吉:物理的な準備だけでなく、いかにみんなのやる気を起こすかというか、そういうことって何においても大事だと思いますけど、病院でもそうなんだなと感じました。ちなみに三軒茶屋病院は、日頃から、高齢者の方や透析患者さんが多く通院されているそうですね。(新型コロナ患者の受け入れと)並行して、どのようにして、そうした方々が、安心して通院してもらえるようにしていたのですか?

大坪:まず、感染対策をするうえでゾーニングと呼ばれる、場所をしっかりと分けることがすごく大事なんです。ゾーニングをしっかりとして、人の動線をきちんと確保することで、コロナ病棟が完全に隔離された場所になったんですね。

住吉:なるほど。

大坪:外来の透析患者さまに関しましては、関連の外来クリニックのほうにお移りいただいて、外来の患者さまと(新型コロナ感染症の)入院の患者さまが交わらないようにしました。

住吉:本当にさまざまな工夫を重ねてこられたのですね。また、大坪さんは3人のお子さんのお母さんだと伺いました。医療関係者の方々は、ご家族にどう理解してもらうか、というところでも大変な思いをされているお話も聞いたことがあります。そのほか、(感染リスクを避けるため)会えないなど、いろいろなことがあると思いますが、大坪さんはどうだったのでしょうか?

大坪:子どもたちにも、1月からずっと(コロナ関連の)ニュースの話をし続けていたんですね。東京都で新型コロナの感染者数が急激に増えてしまったときには、三軒茶屋病院でも患者を受け入れることになるから、という話をずっとしていました。

そして、(新型コロナ患者の)受け入れが決まったときに、子どもたちを集めて「いよいよ始まるんだ」ということを伝えました。私自身が、コロナ病棟に入って患者さんを診ることになるため、病院にかかりきりになるということで、「みんなで家を守ってほしい」と、子どもたちにお願いしたんですね。

子どもたちの学校も休校になってしまい、東京都の新型コロナの感染者数もどんどん増えている時期でしたので、子どもたちも“大変なことが起きている”とヒシヒシと感じていたみたいで、すごく協力してくれて。家事の分担表をつくって、翌日から、ほとんどの家事を子どもたちがやってくれることになりました。

住吉:素晴らしいですね! お話を聞いていたら、大坪さんは、職場にしても家庭にしてもリーダーとして素晴らしいですね。会社員や家族をまとめようとしているみなさんにも、すごくヒントになったような気がしました。最後に、三軒茶屋病院では、これから(第2波に)どのように備えて、これからをどう見ていますか?

大坪:感染対策をしていくうえで、“教育と訓練”が非常に重要だと思っているんですね。6月から当院のコロナ病棟で研修をおこなっています。いまは、同じ系列の病院とか高齢者施設のスタッフが、交代で訓練を受けているところです。第2波がくる前に、より多くのスタッフが、正しい知識を持って迷わずに動けることがものすごく大事なので、そのための訓練にますます力を注いでいきたいです。

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<番組概要>
番組名:Blue Ocean
放送日時:毎週月〜金曜9:00〜11:00(※コーナーは毎週火曜9:12ごろ〜)
パーソナリティ:住吉美紀
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/bo/

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