美術評論家・伊東順二×ファッションデザイナー・舘鼻則孝…“アートワクチン”で心に響くワクチンをアートから発信

TOKYO FMで月曜から木曜の深夜1時に放送の“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。8月27日(木)のお客様は、美術評論家の伊東順二さんとファッションデザイナーの舘鼻則孝さんです。

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(左から)舘鼻則孝さん、伊東順二さん



◆“心に届くワクチン”をアートから発信

伊東:今、コロナの収束がまだ見えないときですけど、コロナの間はどうしていました?

舘鼻:結構大変でしたね。アート業界だけではないですけど、個人的なことで言えば、展覧会が中止になったものもいくつかありました。会社というか、アトリエとしては、一旦休業というような感じでしたね。でも在宅でも作品を作り続けたりとか、スタッフと手分けして作品を作って、それをやっとオンラインで発表することができる所までは回復してきたんですよね。やっと個展がギャラリーで再開できるような感じでして。

伊東:舘鼻さんは東京藝大を卒業して、僕は東京藝大で教えている立場なんですけど。こういう時期に、アーティスト支援ということが話題になるのは非常にいいのですけど、無目的に支援をする、もしくはアーティストが金銭的な支援だけを求めているような受け取られ方というのは、あまり良くないなと思って。

アーティストは毎日毎日変化し続けて、例えが悪いけれども、サメが海の中を泳ぎ続けていないと生きていられないように、持続する活動というものをやっていかなければ、生きていけない人たちだと思うんですよ。だから(アーティスト)活動に対して、寄り添うように支援をしなきゃいけないと思って。そこで、舘鼻さん、秋元康さん、それと千住明さんを審査員に迎えて、私も一緒になって「アートワクチン」というものを立ち上げたわけなんですよね。

舘鼻:これ、ネーミングがすごく良いですね。

伊東:ありがとうございます。この「アートワクチン」というシリーズで、僕の研究グループでは、コロナが始まってからずっと活動していて。ワクチンはいつできるか分からないし、特効薬もいつできるか分からない。しかし、心が萎えたり、エネルギーが失われたら、アーティストだけではなくて、社会全体の活力が落ちてくるので、なんとかして“心に届くワクチン”をアートから発信したいなと思って。

才能がある人ほど、僕は今が不安だと思うんですよ。才能があるということは、より多くの感性を持っているということだから、将来や現在に対して不安を持っているはず。そういう人たちに少しでも寄り添えるように、「アートワクチン」という活動をおこなっています。

ウェブコンサートを何回か開いて、いろいろな世界で自分たちが立ってみたい舞台の映像を手に入れて、そこで自分たちの演奏を披露しているかのようなバーチャル環境を用意してあげています。

舘鼻:バーチャル背景的な。

伊東:そう、バーチャル背景的なものを手に入れてあげて、いつ辿り着けるか分からないステージに、学生時代に立ってしまおうという。

舘鼻:すごいですよね。

伊東:毎年秋に丸ビルで開催される「藝大アーツイン丸の内」というアートイベントで、プロデューサーを務めているわけですけども、今回、舘鼻さん、秋元さん、千住さん、外部で活躍している人たちに、学生たちの企画のオーディションをしてもらおうと。それこそリモートで学生面談をしながら、彼らの企画自体をプロデュースして欲しいということを考えています。

学生たちが目標としている人たちにリーチして、名前だけの関係ではなくて、才能とも直接出会って欲しいなと思っています。

◆アートは本当に良い影響を人々に与える(伊東)

伊東:舘鼻さんは、藝大時代は大学院まで行ったんですか?

舘鼻:僕は大学院には行っていないんですよ。だからドロップアウトしたような感覚がありますね。僕が学部の卒業制作でレディー・ガガが履いたヒールレスシューズを作ったのが2010年。その4年後の2014年に伊東先生とお会いしたんです。

伊東:それは6年くらい前ですよね。で、ミッドタウンの「21_21デザインサイト」で「イメージメーカー展」のオープニングがあって。

舘鼻:覚えています。

伊東:僕はそこに出席していたんですよ。オープニングに行ったら、三宅一生さんと久しぶりにお会いして。「一生さん、お元気ですか?」と挨拶すると、「伊東さん、面白くて若いのがいるから紹介するよ」って。そこに舘鼻さんのヒールレスシューズが展示してあって「これ、レディー・ガガのじゃないですか」って。舘鼻さんと話をしたら、すごくキラキラしていてね。で、「今度は先生として(藝大に)帰ってきてくれ」って言ってね(笑)。

舘鼻:先生として呼んでくださるのは、伊東先生だけですよ。

伊東:そんなことはないですよ。舘鼻さんのような、(学生にとって)近いイメージの対象って、若い人たちには必要なんですよ。僕らみたいなおじさんが、ああだこうだと言っても、昔話みたいな感じですからね。

舘鼻:学生からしたら助成金とかいろいろなものがありますけど、「アートワクチン」はある意味、プロの人たち、プロデューサーであったり、僕みたいなアーティストであったり、そういう人たちが学生をコンサルティングしていくということですよね?

伊東:そうなんですよ。

舘鼻:それって、本当にお金には替え難いものというか……。

伊東:このことは多分、この放送をお聴きになっている秋元さんも舘鼻さんも、今初めて聴いたんじゃないかなって思うんですよね。

舘鼻:実はそうなんですよ。

伊東:無茶振りです。

舘鼻:選考するだけじゃないんですね。

伊東:いま、面白い作品がたくさん集まっていますから。「このままデビューしてもいいんじゃないか?」というような企画もあって。

舘鼻:素晴らしいじゃないですか。それってもはやコンサルティングの必要がないじゃないですか(笑)。

伊東:そう。だけど、アートの表面側の話は大学でも(学生に)いっぱいしていると思うんですけど、裏側の本質的な話を(学生に)していない思うときがあるので。

舘鼻:それは学長ではできないでしょうね。

伊東:できないでしょうね。外れたことは僕ならできる(笑)。今のアートって、個人主義になりすぎていると僕は思うんですよね。アートは本当に良い影響を人々に与えるものなので、それこそ自分たちがワクチンであるという思いで、学生には大きな目標を持って欲しいなと思っています。

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来週の「TOKYO SPEAKEASY」のお客様は……

10月5日(月)大槻ケンヂさん×人間椅子・和嶋慎治さん
10月6日(火)森山直太朗さん×柄本佑さん
10月7日(水)石橋貴明さん×後藤次利さん
10月8日(木)湯川れい子さん×西寺郷太さん
がご来店。一体どんな話が飛び出すのか……!? お楽しみに!

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<番組概要>
番組名:TOKYO SPEAKEASY
放送日時:毎週月-木曜 25:00〜26:00
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/speakeasy/