個人の現預金「1,031兆円」で過去最高も…「収入の減少」「個人の消費控え」が今後の懸念事項

本部長・マンボウやしろと秘書・浜崎美保がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「Skyrocket Company」。毎月第2水曜に、我々が知っているようでよく知らない「お金」や「経済」の仕組みなどを、専門家の方に詳しく解説してもらうコーナー「スカロケ資産運用部」をお届けしています。

10月14日(水)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと三井住友DSアセットマネジメントの宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「東京証券取引所の終日停止の影響」「ハンコ廃止の動き」、そして「コロナ禍のお金の使い方について」というテーマでお話を伺いました。

(左から)マンボウやしろ、宗正彰さん、浜崎美保


◆東京証券取引所、取引停止で影響は?

浜崎:今回はですね、東京証券取引所の終日停止の影響とハンコ廃止の動き、さらにはコロナ禍のお金の使い方についてお話をいただけるということですが。

やしろ:年度下期の初日である10月1日(木)に、東京証券取引所が止まってしまうというまさかのアクシデントがありました。これはどういったことが原因だったんですか?

宗正:東京証券取引所が終日ストップしてしまったのは、今回が初めてです。東京証券取引所が、今の株式売買システム「arrowhead(アローヘッド)」を採用して以降、これまでずっと稼働していたのですが、これが止まってしまったと。

やしろ:止まらないと言われていたのに。

宗正:はい。トラブルになった際のサブシステムへの切り替えがうまくできなかったことが、最大の原因なんですね。東京証券取引所というのは、1日で3兆円もの株の取引が毎日繰り返されているんです。これが一切できなかったと。

菅内閣がデジタル庁をこれから設立しようとしていたり、中国の支配力が強まる香港から、アジアの金融センターの地位をどうにか日本に持ってきたいという矢先の出来事でした。このタイミングで、これはちょっと痛いですよね。

やしろ:1日に3兆円ほどのお金が行き来するということですが、1日止まってしまったことで出る損害額というのは、計算できるものなんですか?

宗正:東京証券取引所は一日平均3兆円の株の取引で生じる手数料収入を失ってしまいました。証券会社はお客さんから受けていた株の売買手数料、お客さんもその日に確定できたかもしれない投資リターンを得ることができなかった。どこまで含めるかにもよりますが、これは計算すると膨大な額になりますよ。

やしろ:かなり多くの方に影響が出たと。

宗正:そうですね。

◆資料の電子化で経済規模が膨らむ!?

やしろ:そして、システムとは正反対のアナログの代表格「ハンコ」が廃止に向けて動きを加速させております。これは経済的に影響はあるものなんでしょうか?

宗正:ものすごくありますね。最も大きいのは、ハンコで押していたものをこれから電子認証に変えようということですから、そのシステム投資は巨大なものになります。例えば紙の請求書1つを電子化しただけで、国内で1兆円の経済効果が生まれます。

やしろ:そうなんですか!

宗正:請求書って、あらゆる書類の中のほんの1つじゃないですか。つまり、多くの企業がさまざまな資料を電子化することによって、何百倍、何千倍にもその経済規模は膨らんでいきますね。

やしろ:そのシステムを作る上でもお金は動くと思いますけど、ハンコがなくなることで、いろいろなやり取りがさらに早くなっていったりすることも考えられますか?

宗正:なります。業務の効率化ということですよね。ご参考までに、ハンコの国内の市場規模、ハンコ1本1本の国内の売り上げを全部足すといくらになると思いますか? 3千億円です。

例えば会社を新たに設立したりとか、個人であれば婚姻届けを出したり、あとは納税の手続きなど、要は役所の手続きって、その多くでハンコが必要なんですよ。つまり、ハンコ業界というのはこれまで行政に守られてきた業界とも言えるんです。

菅内閣で規制改革を担当する河野太郎大臣が、まずは各省庁にハンコの見直しをしろと命じましたよね。つまり、あれは非常に有効な指示なんですよね。

やしろ:ハンコ業界の方々が大変だなんて声もたくさん上がっておりましたけど、言うならばもともと行政に守られていた部分もあると。

宗正:そういうことですね。ハンコは実印や認印など、個人で複数持つのが普通ですし。

◆「個人の消費控え」が今後の懸念事項

やしろ:各種「GO TOキャンペーン」がスタートしております。ウィズ・コロナの生活もかなり浸透してきましたが、国内のお金の動きに関して、少し前と比べたら今はどのような変化が起きているのでしょうか。

宗正:政府発表の家計調査によれば、6月末の個人の現預金は1,031兆円、これは実は過去最高水準なんですよ。3月末と比べると30兆円以上増えているんですね。1人10万円の特別定額給付金、これだけでも12兆円ほど増えました。あとは、昨年の秋から始まった消費税増税でキャッシュレス決済向けのポイント還元がかなり増えました。

政府の補助分だけで5,000億円、あとは民間ですね。例えばPayPayの100億円還元とか。ポイントで買い物する分、自分の現預金は減らないということです。そういうのも積もり積もって個人の現預金が過去最高となっています。

やしろ:ポイントってこの1、2年で、どんどんいろんな所で増えていますよね。

宗正:はい。ポイントを核にした巨大な経済圏が生まれているのが、今の日本の新しい動きですね。例えば楽天ポイントの場合は、楽天銀行や楽天証券で口座を持っている人が楽天市場で買い物をして、そのポイントでまた楽天グループのサービスにお金を落とす。これは完全に「楽天経済圏」という仕組みが生まれているということです。

また、イオンで毎日お買い物をしている人は、WAONポイントというものがありますよね。例えばWAONポイントを使って、イオン銀行で投資信託が買えたりすると。要は新しいお客さんをまったく違う所から連れてきているのではなくて、その生活圏の中でお客さんの循環をしているので、すごく効率的なんですよね。

やしろ:はぁー、いろいろと大きく変わってきているんですね。

宗正:変わっていますね。そして、そのポイントの経済圏が出来ているということは、世の中のキャッシュレスの動きの中でさらに加速しています。

やしろ:そうですね。

宗正:現金を払ってポイントを貰うというよりは、キャッシュレス決済で自動的にポイントが貯まるという仕組みですね。

やしろ:ここでちょっと聞きたいんですけど、預金が積みあがって、徐々に経済活動も回復してきている中で、今後懸念すべきことは何かありますでしょうか?

宗正:あまり明るい話ではないのですが、今後懸念されるのは「収入の減少」によって、これから個人の消費が控えられてしまうことですね。

やしろ:「GO TOトラベル」や「GO TOイート」も、意外と皆さんちゃんと利用していたりとかして、それで経済が(以前よりも)回っているのかなって気もしますが、やはり個人の収入がコロナ禍でちょっと下がってくると?

宗正:そうですね。今月末になると、企業の中間決算の発表が始まります。これは決して良い内容ではないと思うんです。企業が従業員に払う給与、そして冬のボーナスというのは企業の利益で決まります。収入が下がれば、これから個人消費が控えられるんじゃないかなと。あとは冬に向かってインフルエンザの流行も今、懸念されていますよね。

やはり、状況がよくわからないと、外出を控えようとする人が増えると思うんです。そうなると、当然個人の消費活動は下がってしまいます。ただ少し前と比べると、私たちのコロナとの付き合い方や経験値は、かなり上がってきていますよね。企業の創意工夫も至る所に見られるようになったなと思います。

例えば、レストランに行くとソーシャルディスタンスを取るために、席と席の間にぬいぐるみが置いてあったりして、楽しく感染対策をするような取り組みが結構出てきていますよね。私なんかも同僚と飲みに行って、おじさん2人が酔っぱらうと、いつの間にかそのぬいぐるみを2人で抱きながら飲んだりしているわけですよ(笑)。

やしろ:ハハハ! ちょっとお店の方の苦笑いが起きているかもしれないですけど。可愛いですけどね。

宗正:そうですよね。コロナ前には無かった光景、可愛らしいおじさん2人ですよね。

やしろ:自分で言わないでください(笑)。

宗正:すみません(笑)。

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聴取期限 2020年10月22日(木) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:Skyrocket Company
放送日時:毎週月〜木曜17:00〜19:52(※コーナーは毎月第2水曜18:15ごろ〜)
パーソナリティ:本部長・マンボウやしろ、秘書・浜崎美保
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/sky/