シンガーソングライター尾崎裕哉「自分がいかに普通であるか、ということに悩んでいた時期があった」

脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMの番組「Dream HEART」。10月17日(土)放送は、シンガーソングライター尾崎裕哉(おざき・ひろや)さんをゲストに迎えてお届けしました。

尾崎裕哉さん



1989年、東京生まれの尾崎裕哉さん。2歳のとき、父・尾崎豊さんの死去後、 母と共にアメリカに渡り、15歳までの10年間をアメリカのボストンで過ごします。 慶應義塾大学 大学院を卒業後、2016年に自伝「二世」を出版。 アーティストとしては、同年にデジタル配信楽曲「始まりの街」でデビュー。以降は、さまざまなスタイルでのライブを開催。そして今回、10月21日(水)に初のフルアルバム『Golden Hour』をリリースしました。

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◆尾崎裕哉の“ギターの師匠”は?

茂木:尾崎裕哉さんと言えば、尾崎豊さんのお子さんですが、最近はご自身の楽曲も随分たまってきていますもんね?

尾崎:そうですね。けっこうたまってきています。デビュー当時は、1時間のライブがギリギリ……という感じでしたが、最近は曲をあましてしまいまして。ライブ時間も、どんどん伸びています(笑)。

茂木:親父さんの曲をやらなくても、自分の楽曲だけでまわる感じ?

尾崎:なるべくカバーなども入れるようにしてはいるんですけどね。まだ、発表していない自身の曲がたくさんあるので。

茂木:今回の初のフルアルバム。音楽性として狙ったところは?

尾崎:あえて定まってはいないんですけど、10年前に作った曲もあれば、最近作った曲など、いろいろあります。それを“どうやって1つのアルバムにしようか?”ということを考えて作りました。自分の好きなR&Bやロック、今流行りのポップスサウンドなどを混ぜていきました。

茂木:J-POPから離れて、ワールドミュージックになっているな、という感じがしました。

尾崎:本当ですか? 一応、J-POPの枠組みのなかでやっているつもりはあったのですが、サウンド感やメロディは、いわゆるJ-POPモノからはちょっと離れているかな、という気がします。でも、自分が聴いてきた音楽はそういう曲が多いですね。

茂木:ジョン・メイヤーさんがお好きなんですよね?

尾崎:そうですね。彼は、僕のギターの師匠というか……。“YouTube越し”に師匠として仰いで、ひたすらコピーすると言う(笑)。

茂木:ジョン・メイヤーさんのギターの精神を受け継いでいると?

尾崎:同じギターを使うくらい好きです(笑)。ジョン・メイヤーは、ポップスとブルースを融合させるのがとても上手。その考え方とサウンド感がすごく好きなんです。ちょっとソウルが入っていたり、ブルースが入っていたり、でもポップスが入っていて、ギターサウンドというものも入っていて。アーティスト像としてすごく理想的なんです。

茂木:幅広い音楽を作っているという点で。生き方も

尾崎:そうですね。そして、“ちゃんと音楽を知っている”というのが、“ミュージシャンズ・ミュージシャン”っぽい感じ。

茂木:通好みな感じ?

尾崎:だけどメインストリームも張れているところが、すごいなぁと思って聴いていました。
彼のようなギターミュージックばかりを聴いていたんですけど、あるときからフランク・オーシャンというアーティストの『Channel Orange』というアルバムに、ものすごく影響を受けてしまいました。そこからサウンドがトラップ的だったり、ビート寄りのものが多くなってきたと言う感じですね。制作スタイルも、まったく変わりました。

楽曲制作について語る尾崎さん



◆どんな環境にいても自分次第

茂木:1stフルアルバムの11曲目「Rock 'n Roll Star feat.布袋寅泰」。この曲の歌詞は『腹をすかせた夜はない 窓ガラスを割ったこともない こんなちっぽけな暮らしのなかで わからなくなるよ』……どこかで聴いたことがあるような歌詞のような(笑)?

尾崎:そうですね(笑)。僕は、アルバムのなかと言うか、曲作りのなかで、歌詞のサンプリングをしているんです。サンプリングは普通、ヒップホップの人がレコードから一部分を取り出して、自分の楽曲にループして、ビートとして作るという意味があるんですけど。たとえば、尾崎豊の象徴的な単語……名詞・動詞・形容詞など、いろいろありますが、“窓ガラス”と聞くと、やはり僕のバックグラウンドを連想するじゃないですか? あえてそこを入れたりして、聴いていて分かる人はドキっとするし、分からない人は分からないなりに聴いても意味がわかる。そういう遊びですね。

茂木:すごく成功していると思います。そして『ロックンロールスターを演じてた』という歌詞も意味深ですね。

尾崎:“自分がいかに普通であるか”ということに悩んでいた時期があったんです。たとえば、エミネム(の半自伝的)映画「8 Mile」を観ると “エミネムの人生って過酷!”と思うと同時に、“俺はそんなにストリートで揉まれていないな”というコンプレックスがあって。

茂木:まぁ、“お坊ちゃん”と言ったら失礼ですけど……。

尾崎:そう、そんなもんですよ。別に食べるものにも困ってなかったし、普通に学歴もそれなりにあるし、“困っていない人に歌うものはあるのかな?”みたいな。それですごく迷っていたんです。でも、“意外とそういうことを考えている人はいるのでは?”と思って、この曲を作ったんです。

普通な自分だけど、憧れるものはあって、その憧れのために一生懸命頑張りたいし、頑張っていかないといけないよね、みたいな気持ちをこの曲に込めたという感じです。

尾崎豊もわりと普通の家庭で育っているので、結局、“どんな環境にいても自分次第なんだな”というところが、父親を見ていても、エミネムを見ていても、思うところなんですよね。

次回、10月24日(土)放送も、引き続き尾崎さんをお迎えしてお届けします。どうぞお楽しみに!

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聴取期限 2020年10月25日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>
番組名:Dream HEART
放送エリア:TOKYOFMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時:毎週土曜22:00〜22:30
パーソナリティ:茂木健一郎
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/dreamheart/