福山雅治、ニューアルバム『AKIRA』制作による“内省の旅”について語る(Part 2:ラストソング「彼方で」編)

シンガーソングライターで俳優の福山雅治がパーソナリティーを務めるTOKYO FMの番組「福のラジオ」。この記事では【Part 1】に続いての内容。リリースになったばかりのアルバム『AKIRA』の最後に収録されている「彼方で」について、福山さんがその思いをリスナーに明かします。


福山雅治



あらためて、この『AKIRA』というアルバムが、シンガーソングライター・福山雅治にとってどういうアルバムなのか――。

「51歳のシンガーソングライター・福山雅治が、シンガーソングライターに憧れながらも作詞作曲もできず、ただギターだけを握りしめていた無力な17歳の少年を迎えに行く旅なのではないか。その逆行する時間旅行が、全17曲となって1枚の作品になっています」

その旅の終着点に位置するのが「彼方で」です。

「オープニングとなる『AKIRA』では、脈々と繋がれていく命のバトンというものを歌っています。ラストソング『彼方で』では、旅立った愛する人に向けた“残された者”が想いを馳せる歌になっています。

さまざまな受け取り方ができる曲だと思います。愛する人が旅立ってしまった、逝ってしまった、あるいは亡くなったわけではないけどもう会えなくなってしまった人を想う歌、という受け取り方も。共通しているのは、いつかあなたともう一度会えたなら、という願いを歌っています。だからこれはラブソングだと思います。例えば、死というものが肉体が完全に消滅してしまうものだとしても、残された人の心のなかには面影とか、その人の香りとか声とか、その人にとってとても大切なものがまだ“消え残っている”」

「彼方で」の歌詞にも出てくる“消え残る”という言葉がとても印象的に響きます。

「消えたんだけど残っている……。消滅したとしても、残るものはあって。つまりそれは、違う形で生き続けているというふうに捉えられるのではないか。僕もみなさんも、必ずいつかは旅立ちます。すべての生物に等しくやってくる死に対して、僕はどう向き合っていくのか。そして今、僕は先に旅立って行った人に対してどのような想いを馳せているのか」

そうした思考をソングライティングとして表現することが、福山さんにとっては、自身の救済となり、30年に及ぶ音楽活動の源となっていると。

「ソングライティングという行為は何かというと、セルフカウンセリングなのではと。セルフカウンセリングとは、自分に向き合い、自分に問いかける作業。今回、51歳の僕は17歳の僕を迎えに行きました。17歳の僕は苦しんでいました。でも、その苦しみは形を変えながら今もあり続ける。過去の苦しみとはなくなるものではないのだ、ということに向き合う。今ここでそうしないと“どうして僕が、30年ものあいだソングライティングを続けてきたのか?”という説明ができないと思ったんです。

僕が音楽を続けてこられたのは、ファンの皆様の応援があってのことです。30年間、僕の音楽に向き合ってくださったファンの皆様に恩返しする意味も込めて、僕はこういう想いで、こういう出発点でソングライティングを始めて続けてきたんです、ということのご報告を、この30周年のアルバムでしなければいけないと強く感じていました」

さらに、「彼方で」での音楽的チャレンジにも触れました。

「まずボーカルでは“サビをすべてファルセットにする”というトライをしています。サウンドを構成する要素としては、クラシカルなフレーズのガットギターと、カルテットを2回重ねて録ったストリングス。それとシンセベースとスティックベース(両手で弦を叩いて音を出す楽器)。ドラムの打ち込みは、キックだったりフィンガースナップやクラップだったり。その音源には、EDMやテクノ、ヒップホップで使用されることの多いサンプリング音源を持ってきています。

最新のリズムトラックとガットギターやストリンスといった伝統的な楽器との組み合わせというサウンドメイクが、アルバム『AKIRA』全体を通して軸になっています。これが今作のサウンド的特徴、引いてはユニークさにつながっていると思います。そういう意味では、この『彼方で』は結構気に入っているサウンドになっています」

CDブックレット冒頭にある福山さんによる文章「血の轍」を読みながら、福山さんの精神性に根差した部分に深くダイブしてもよし、多様なサウンド・アプローチを辿って楽しむのもよし、幾通りもの旅の仕方がアルバム『AKIRA』では可能です。あなたなりの“『AKIRA』の歩き方”を見つけてください。

次回、12月19日(土)のO.A.もお楽しみに!

----------------------------------------------------
??この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック!
聴取期限:2020年12月20日(日)AM 4:59 まで

スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒詳しくはコチラ)
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用頂けます。
----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:福山雅治 福のラジオ
放送日時:毎週土曜14:00〜14:55
パーソナリティ:福山雅治
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/fukunoradio/