秋の夜長に思いを馳せる、あの女性たちの「辞世の句」

秋の夜長に思いを馳せる、あの女性たちの「辞世の句」

秋の夜長に思いを馳せる、あの女性たちの「辞世の句」

近年「女子力」という言葉がよく使われるようになりました。身だしなみへのこだわりや、料理の腕、裁縫や気遣い……女性らしさを感じることはたくさんありますが、やはり「言葉のチョイス」も大事な女子力のひとつ。今回は「辞世の句」から、女性らしい言葉について考えてみます。


秋の夜長に思いを馳せる、あの女性たちの「辞世の句」



人生を終えるそのとき、自分自身の生涯を歌にして表す「辞世の句」。
最後に詠まれたその句は、あらゆる思いが詰まった特別なものです。
ですが、いろいろな辞世の句を見てみると、残っているのはほとんど男性のもの。
女性のものはとても少ないですよね。

その昔、「辞世の句」を残せるような女性はとても限られていました。
ほとんどの女性が辞世の句どころか、文字を覚えることすらできなかったからです。
辞世の句を残している女性たちは、それだけで選ばれた人間。
覗いてみると、やはり女の人ならではの感性を感じることができます。

たとえば、恋多き女として有名な和泉式部の辞世の句。

「あらざらむ この世のほかの思ひ出に 今ひとたびの あふこともがな」
……「私はまもなく死んでこの世を去りますが、その思い出にもう一度あなたに会いたい」
とてもシンプルな、でも美しい歌です。
女性であればこうした気持ち、どこかにあるのではないでしょうか。

一条天皇の皇后であった藤原定子。
一族の波乱の中で生きた彼女が残した辞世の句は、こちら。

「夜もすがら 契りしことを 忘れずは 恋ひむ涙の 色ぞゆかしき」
……「いつまでも一緒だと夜通し誓ったことを忘れないでくれるなら、私が死んだ後、恋しく思って流すあなたの涙の色を見てみたい」
切なくロマンチックな歌ですね。

そしてこちらは有名。戦国の世でキリシタンとして生き抜いた、明智光秀の娘・細川ガラシャ。
関ヶ原の戦いに巻き込まれ、敵方に人質に取られる前に自ら死を決心した際の、辞世の句です。

「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」
……「散りどきを心得てこそ美しいのだ、花も、そして人も」
大変な美貌の持ち主で、意志も強かったというガラシャ。
最後の歌に、そのすべてが表現されています。

女性が残した、辞世の句。
なんだかふわっと花の香りがするような、男性とはまた違う美しさを感じますね。

文/岡本清香


TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「女性が残した、辞世の句」として、9月26日に放送しました。


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放送日時 :毎週月〜木曜15:00〜16:50
パーソナリティ:堀内貴之、MIO
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