【漢字トリビア】「雷」の成り立ち物語

【漢字トリビア】「雷」の成り立ち物語

【漢字トリビア】「雷」の成り立ち物語

「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「雷」。気象に関する漢字に使われる雨かんむりに「田」という字を書きます。この「田」は稲光りを表し、「雷」の様子を意味しています。



「雷」という字は雨かんむりの下に「田」と書きますが、古い字体では「田」の字が三つ、書かれています。
ちょうど「品物」の「品」という字の「口」の部分を「田」に換えるように、雨の下に「田」を一つ書き、さらにその下に二つ「田」を書くのです(?)。
これは、稲光りの形を表しているといわれています。
さらに古い字体を見てみるとこの「田」の部分は、丸い円の中に十文字を書いた形をしています。
これは「陰」と「陽」とがぶつかって回転し、雷雨になる様子を示しているともいわれています。

よく晴れた夏の午後、蒸し暑くよどんだ空気が動き出す瞬間があります。
雲がさーっと広がって、突如、轟音が大地をゆるがします。
やがて飛び散る火花、天を引き裂く光。
いにしえの人たちは身を寄せ合って、田畑を潤す雷雨に感謝を捧げます。
雷は「神が鳴る」と書く「神鳴り」が語源。
光も音も、すべては神の意志であり、恐れ多くも待ち遠しいもの。
そんな心持ちを詠んだ歌が万葉集に記されています。
「天雲に 近く光りて 鳴る神の 見れば畏(かしこ)し 見ねば悲しも」
目にするのはもったいない、でも、目にしなければ悲しくなる。
実はこの歌、身分の高い相手に恋をした誰かが、もどかしい想いを雷の訪れに託した歌。
恐ろしいような、ほっとするような、複雑な気持ちが表れています。

ではここで、もう一度「雷」という字を感じてみてください。

「雷」の古い呼び名のひとつ「いかづち」。
これは「いかつち」が変化したもので、いかめしい、という意味を示す「いか」と助詞の「つ」、そして命や精霊を示す「ち」を並べた言葉です。
「雷」とは猛々しく威厳のある精霊、神そのもの。
その活動はすべて、ありがたく受け取るべきおくりものです。
雷の多い年は豊作になる、という言い伝えもあります。
予期せぬ雷雨に出会ったら、身の安全を確保してしばし雨宿り。
なすすべもないそのひとときは先人たちの真似をして、実り豊かな秋の食卓を、神さまにしっかり、お願いするとしましょうか。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……、
ほら、今日一日が違って見えるはず。


*参考文献
『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)
『おもしろサイエンス 雷の科学』(妹尾堅一郎/監修 雷研究会/編 日刊工業新聞)

7月15日の放送では「滴」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。


<番組概要>
番組名:「感じて、漢字の世界」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/


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聴取期限 2017年7月16日 AM 4:59 まで

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