野口健はなぜ山に登るのか?

野口健はなぜ山に登るのか?

野口健はなぜ山に登るのか?

ミュージカル女優・笹本玲奈とグレゴリー・スターがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「スカパー! 日曜シネマテーク」。
5月28日(日)の放送では、アルピニストの野口健さんが“山で実際に起きたことで、死から生きることを感じる映画”ベスト3を選んでくれました。



世界7大陸最高峰登頂という偉業を成し遂げた野口さんは、アルピニストとしての活動だけでなく、エベレストや富士山での清掃活動を通して環境問題に取り組んだり、東日本大震災や熊本地震では災害支援を行うなど、その活躍ぶりは多岐にわたります。

「山で死を感じるからこそ生きるということを真剣に考える」と語る野口さんが、まずはじめに挙げたのは「植村直己物語」(1986年/日本)。

野口さんは、高校入学してすぐに喧嘩をして停学処分となってしまい、ふと立ち寄った本屋で偶然手にした植村直己さんの著書「青春を山に賭けて」にとても感銘を受け、登山を始めるようになったそうです。

この作品で植村さん役を演じた西田敏行さんは、グリーンランドや北極などへ実際に行き、過酷なロケを敢行。エベレストのクレバスにはしごを掛けて渡るという危険なシーンも西田さん自身が演じたそうで、「本当に冒険をしながら作った映画で、映し出される映像がとてもリアル」と絶賛していました。
不器用ながらひとつのことに一生懸命打ち込む植村さんの姿勢に「高校時代に勇気をもらった」と、野口さんはしみじみと語っていました。

続いて野口さんが選んだ作品は、高倉健さん主演の「八甲田山」(1977年/日本)。
この作品は、1902年に青森の連隊が日露戦争前にシベリアでの戦いに備えて真冬の八甲田山で行った演習中に遭難してしまい、210人中199人が亡くなった遭難事件を基に描いたもの。

野口さん曰く、冬の八甲田山は風が強烈なためホワイトアウトで視界が遮られ方向がわからなくなるのだとか。もちろん、当時はGPSもない時代で、部隊は同じ所をグルグルと彷徨ってしまい199人もの死者が出る大惨事となってしまったそうです。

野口さんがこの作品で強く感じたのは、「映画だから演じているわけですが、高倉健さんはじめ、日本兵の人たちの危機迫るリアルさ」だと話します。なんでも、後に映画評論家から聞いた話によると、兵隊役の頬の凍傷はメイクだけでなく本当に凍傷になった人も数多くいて、過酷な状況下での撮影に耐え切れず脱走する人もいたとか。「ギリギリの状況のなかで、追い込んで撮影をしたリアルな映像は圧巻です!」と、迫真の演技を称えていました。

さらには、「経験豊富な現場の責任者が、その判断は間違っていると思いながらも、階級が高いだけの上司による素人同然の判断に従わざるを得ず起きてしまった登山史上でも最大級の遭難事件……この映画にはいろんな教訓が詰まっています」と、死と隣り合わせの雪山の怖さについても触れていました。

そして、3つめに挙げたのは「エベレスト 3D」(2015年/アメリカ)。
この作品は、1996年にエベレストを登頂した登山隊の実話を描いたもの。日本人では女性登山家の難波康子さんが参加したこの登山隊は登頂に成功。その一報が日本のニュースでも流れましたが、下山中に猛吹雪に遭い、残念ながら難波さんは帰らぬ人となってしまいました。

実は野口さんもこの登山隊に申し込んでいて参加予定だったそうです。しかし、日に日に“行きたくないな”と虫の知らせにも似た気持ちが強くなったため、参加を取り止めたのだとか。自身が参加予定だったエベレスト登山隊の遭難事件を題材にした作品とあって「滑落したり亡くなった仲間たちのことは辛すぎるから、心の中で封印してしまうんです。でも、この映画を観た夜は、その仲間たちへの想いが溢れ出てきて一睡もできなかった」と野口さん。

「8000メートルを越えると、みんな自分自身のことで精一杯。登頂しても喜びや感動を感じられないほど精神状態はギリギリで、滑落した仲間のことを悲しむ余裕もなくて……、“早く下山しなくちゃ”とどこか淡々としてるんです」と経験者だからこそ知り得る心境を吐露。

12月にはヒマラヤに行く予定の野口さんですが、エベレストをはじめ過酷な登頂のあとは当分登山をしたくなくなると話します。なんでも、お風呂や電気、ベッドのシーツなど、下山してからの1ヵ月間は日常生活の当たり前なことにとてつもない幸せを感じるからなのだそうですが、「でも2ヵ月、3ヵ月と経つとその感動がなくなってきて、またあの何もないところ(山)に帰りたいなと思ってしまう。……で、山に帰ってきた瞬間“あ、また来ちゃった……”と、どうしていいかわからない気持ちになる。一種の病気みたいなものですね(笑)」と、意外な理由を明かしてくれました。

なお、この日の番組の模様は『radikoタイムフリー』で聴くことができるので、ぜひチェックを(※1週間限定)。

【番組概要】
番組名:「スカパー! 日曜シネマテーク」
放送日時:毎週日曜15:00〜15:25
パーソナリティ:笹本玲奈、グレゴリー・スター
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/movie/

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聴取期限 2017年 6月5日 AM 4:59 まで

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