【漢字トリビア】「柚」の成り立ち物語

【漢字トリビア】「柚」の成り立ち物語

【漢字トリビア】「柚」の成り立ち物語

「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「柚(ゆず)」。冬至につかる柚子湯、鍋ものの薬味に添える柚子の皮。つやつや輝く黄色い実は、目にするだけで冬の寒さを和らげます。



「柚」という字は、木へんに理由の「由」と書きます。
この「由」という字は象形文字。
瓢箪やユウガオなどの実が熟して溶け出し、中身がからっぽになったひさごを描いたものといわれています。
この「由」という字にさんずいを添えると「油」という字になりますが、これは、実が熟して溶けた液体が、滑らかな「油」のようだったから。
そこで、表面がつやつやと滑らかで、皮から油もとれる実であることから「柚」という漢字が生まれました。

今年の冬至は、十二月二十二日。
この日、柚を浮かべたお風呂に入ると、冬の間に風邪をひかないといわれ、その甘くさわやかな香りは、邪気を払うと信じられてきました。
冬至湯の始まりは奈良時代、聖武天皇の頃。
柚を使うようになったのは江戸時代からといわれています。
人の生命力は、太陽の光が最も弱くなる冬至の頃に衰えると考えられ、植物の力を借りてよみがえる知恵のひとつとして、柚子湯が生まれました。
最新の研究では、柚子から染み出す精油の入った湯船につかると、血のめぐりがよくなり、新陳代謝を促すことがわかっています。
さらに、肌の調子を整えたり、副交感神経を活性化して心身をゆるめたり……。
難しい言葉は知らずとも、柚の恵みを五感でしっかり感じとり、今に伝えたいにしえの人たちの洞察力には、驚かされるばかりです。

ではここで、もう一度「柚」という字を感じてみてください。

現在、柚の原産地といわれる中国に産地はなく、日本の本州の南地区と韓国の南部海岸地域でしか栽培されていません。
日本に伝わったのは、奈良時代の前後といわれますが、以来、柚は目や鼻、肌や舌で愛され続ける柑橘類の代表です。
「桃栗三年、柿八年、柚子の大ばか十八年」ということわざもあるように、種から実をつけるまでの栽培に、長い時間がかかるともいわれる柚。
先人の知恵と根気への感謝を忘れずに、柚の実とともに、すこやかな冬をお過ごしください。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……、
ほら、今日一日が違って見えるはず。


*参考文献
『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)
『ユズの香り 香り選書7 柚子は日本が世界に誇れる柑橘』(沢村正義/著 フレグランスジャーナル社)

12月23日(土)の放送では「急」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。


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聴取期限 2017年12月24日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>
番組名:感じて、漢字の世界
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/

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