「バイオハザード:ヴェンデッタ」深見真×小林裕幸SP対談!(前)

「バイオハザード:ヴェンデッタ」深見真×小林裕幸SP対談!(前)

映画「バイオハザード:ヴェンデッタ」から深見真(写真右)と小林裕幸(写真左)の対談をお届け!

5月27日(土)より公開のフルCGアニメーション映画「バイオハザード:ヴェンデッタ」。本作を作り上げたスタッフの中から、アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」(2012-2013年、フジ系)などで知られる脚本の深見真と、「バイオハザード」シリーズのプロデューサーで、作品の原作監修を務めたカプコンの小林裕幸にインタビュー。制作の裏側から深見の「バイオ」愛まで、対談形式で語ってもらった。

――いよいよ公開が間近に迫りましたが、現在の心境はいかがですか?

小林裕幸(以下小林):今作は公開時期に比べ、早めに完成したんです。その時は公開がまだ先だったので、「やっと公開か」というイメージですね。一般のお客様に見てもらえるのが楽しみですし、早く感想が聞きたいです。

深見真(以下深見):自分はゲームの「バイオハザード」シリーズをずっとやっていたので、シリーズの1ファンとして、こうして脚本で関わることができて本当にうれしいです。しかも「今回はクリスとレオンが主人公で」というオーダーがあったのですが、自分は特に「バイオハザード4」(以下“4”)以降が好きなので、主人公のクリスとレオンには思い入れがあり、よりうれしかったです。

(※クリスは「バイオハザード5」[以下“5”] 、「バイオハザード6」[以下“6”]で、レオンは“4”、“6”で主人公として登場)

――本作の制作はいつごろから始まったのですか?

小林:深見さんがスタッフに入られたのは初期の頃ですよね?

深見:そうですね。2015年になってからだったと思います。ちょうど自分がPS3版の「バイオハザード リベレーションズ2」をプレイしていた頃でした。

小林:2015年は深見さんと何度も打ち合わせをしましたね。

深見:自分がスタッフに入る前に、小林さんとエグゼクティブ・プロデューサーの清水(崇)さんがおられて、打ち合わせを進めていらして。

小林:その後、脚本が深見さんに決まり、監督が辻本(貴則)さん(※辻本監督の“つじ”の字は一点しんにょう)に決まり、という順番でした。

――深見さんは「バイオ」ファンとのお話がありましたが、仕事の依頼が来た時には喜びもひとしおだったのでは?

深見:でも最初に声が掛かった時って、Twitter経由だったんですよ(笑)。

――仕事の依頼がTwitterですか!?

深見:「本当かなあ?」と思って(笑)。

小林:じゃあ飛び込みのお願いだったんですか?(笑) 何かつながりがあってとかではなく?

深見:まったく無かったです。

小林:いきなりのアタックなんですね。でも「このクリエイターさんと仕事をしたい!」という時に、最近はうちもそれをよくやります(笑)。じゃあマーザさんからそういう風に話が来たんですね?

(※マーザ・アニメーションプラネット…本作のアニメーション制作を行ったCG映像制作会社)

深見:最初は「怪しい仕事なんじゃないかな?」とも思いました(笑)。でも、マーザさんのオフィスに伺ったらすごくしっかりした会社だったので、「大丈夫だ、騙されてない」と感じましたね(笑)。真面目な話、マーザさんは映画『キャプテンハーロック-SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-』(2013年)などを手掛けていて、「すごい技術力を持つ会社だな」とは知っていました。

――深見さんはゲームシリーズのファンであることが作品にも生かせたのでは?

深見:もともと自分は、作りがアクション映画らしくなってきて、ミリタリー色が強くなったバイオが好きなんですよ。例えば“4”のレオンとクラウザーのナイフバトルだとか、ああいったのがすごくかっこよくて。

小林:“4”はヨーロッパの銃をいろいろと出しましたしね(笑)。

深見:“5”のちょっとカンフーっぽい立ち回りも好きですし、体術が充実している “6”は特に大好きです。「ある程度ゾンビを攻撃して、体術でとどめ」という流れのアクションがすごくかっこいいんですよ。

「バイオ」はもちろん「怖い」もあるけど、「かっこいい」もたくさんありますよね。今回、映画を作るにあたって、そういった「かっこいいバイオ」もファンとして見たいと思い、脚本を書きました。

――今作はエグゼクティブ・プロデューサーに、ホラー映画『呪怨』(2000年ほか)などで知られる清水崇さんを迎えました。

小林:やはりホラーの部分を期待して清水さんにお願いし、作品にアドバイスをいただきました。ですが、“ホラー要素”と“強いヒーロー(レオンとクリス)”の組み合わせって、実はかみ合わないんですよね。ゲーム制作でも、いつも「ヒーローたちをどう扱うか」というのは苦労しています。

ただ、今作序盤の洋館でのシーンでは、「どう進んでいって何とどう遭遇するか」という点は、きっちりホラー物として出来ています。試写会などでも「怖い」と言っていただけていますし、清水さんの『呪怨』が大好きな私としては、清水さんらしさは作品に入ったのではないかと思います。

深見:洋館が出てくるのは、ゲームの初代「バイオハザード」(以下“1”)へのオマージュでもありますよね。ほかにも、ミラ・ジョボビッチ主演の実写映画シリーズへのオマージュだったり、辻本監督から清水さんへのオマージュも入っていますので、洋館のシーンは見どころがたくさんあります。

――洋館のシーンは緩急があり、非常に恐怖を感じました。

深見:怖さの演出といえば、清水さんから「レオンとクリスの子ども時代を出せないかな?」という話があったんです。

小林:それは僕がNGを出しました。レオンとクリスとレベッカは変に触りにくいので(笑)。

深見:やはり、いつゲームで語られるか分からない部分ですしね。今回の仕事ではレオンとクリスがまるで実在する俳優さんのようで、小林さんはそのマネジャーのような立ち位置でした(笑)。

――原作監修の仕事はそういった側面もあるんですね(笑)。

小林:「うちのタレントが!」みたいな(笑)。今回NGを出したのも、今後どのゲーム作品でどのキャラクターが出るかというのはまだ分からないので、下手に今作で彼らの設定を作ってしまうと良くないからなんです。シリーズ全体の世界観やキャラクターの生涯に影響が出てしまうので、彼らの言動はあくまで今作のエピソードで動かせる部分に留めました。

清水さんがおっしゃった「幼少期を描く」という手法も、ホラーの演出としては分かるので心苦しかったですが、それをやられるとカプコン的に困ってしまうのでNGを出しました。

ほかにも、クリスについては「仲間を失って落ち込んでいる」場面を描きたいという提案もありました。ですが、クリスは“6”の冒頭で「一個小隊を失って飲んだくれている」描写があり、かぶってしまうので避けてもらいました。

ただ逆に、レオンは“6”で仲の良い大統領がゾンビになってしまい、それを自分が撃ち殺してしまったという過去を持っているので、ロッジで苦悩しているシーンをOKしたという背景があります。

深見:小林さんには、言葉や行動がそのキャラクターとぶれていないかチェックしていただき、すごく助かりました。「レオンはこんな乱暴な言い方はしません」とか、「クリスは『てめえ』とか言いません」とか細かいチェックが入り、本当に“うちの事務所の俳優”という感じでしたね(笑)。

小林:スタッフの中では深見さんが1番ゲーム版をプレイしてもらっているので、シリーズの理解が深い深見さんがいることですごく助かりました。ですが、失礼ながら言わせていただくと、ファン目線の“バイオ感”と作っている側の感覚って、やっぱりちょっと違うんですよ。とてもお詳しいんですけれど、“ファンとしての思い”が入ってきてしまうところがあるので、そこは直させてもらったりしましたね。

――“ファンとしての思い”ですか。

小林:私は昔“1”をリメークしたのですが、オリジナル版の“1”の制作に携わっていない若いメンバー主体だったんです。彼らは当時“1”をユーザーとしてプレイしていた世代で、どうしてもファン目線になる部分があり。シリーズの生みの親である三上(真司)さんと一緒に「えっ、そんな風に思っていたの!?」という話を彼らからいろいろと受けて、作り手側には分からない発見がありました。

逆に、私は新人としてオリジナル版の“1”を作っていました。「ハンターの登場シーンの意図」や「洋館について」など、当時はディレクターの思いが分からなかった部分もあったのですが、リメークの際に直接聞くことができてよかったなと思いましたね(笑)。

今作の映画に話を戻すと、深見さんとは今回初めてのお仕事でしたが、シリーズファンでいて下さってありがたい部分はありつつも、「このキャラはこうです」というような修正をお願いしました。

深見:やはり、原作に関わっているカプコンの方が本読みの現場にいるというのは、すごく心強かったです。これが、「脚本を一度カプコンに送って返事を待ちます」みたいなパターンだと大変ですので(笑)。

小林:原作チェックはそのパターンもありますもんね。

深見:その場に小林さんがいるので、「これは話が早い!」と(笑)。原作ものにありがちな二度手間のようなものがなかったですし、小林さんの言うこともぶれずに一度言ったことは覆らないので、こちらとしてはやりやすかったです。本当にありがとうございます(笑)。

小林:いえいえ(笑)。でも、深見さんは大変だったんですよ。清水さんはエグゼクティブ・プロデューサーの立場で好き勝手に言う、辻本さんは監督の立場でやりたい事を言う、僕もカプコンとして駄目な部分は言うしやりたい事も言うし(笑)。他にもプロデューサーがいるので、5〜6人くらいの意見を全部吸収しないといけなかったんですよ。さらに、深見さんも自分の描きたい部分があるので、「こりゃ大変だな!」と(笑)。だから、本当によくまとめてもらえてありがたいと思いますし、深見さんが一番大変だったと思います。

深見:でもやっぱり、本読みの場で言うことが皆さんぶれないんですよ。言っていたことが後から変わるとか、そういう人は一人もいなかったし、やりたい事もそれぞれはっきりしていたので、逆にやりやすかったです。

小林:そう言っていただけるとありがたいです(笑)。

【シリーズの人気女性キャラ・レベッカが今作に登場するまでの経緯や、深見のさらなる「バイオ」愛などは、インタビュー後編「『バイオハザード:ヴェンデッタ』深見真×小林裕幸SP対談!(後)」に。5月21日(日)掲載予定】

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