三木眞一郎&田中敦子「本当に良い座組みです」―「エレメンタリー シーズン4」インタビュー

三木眞一郎&田中敦子「本当に良い座組みです」―「エレメンタリー シーズン4」インタビュー

海外ドラマ「エレメンタリー」吹き替え版キャストの三木眞一郎&田中敦子にインタビュー

名探偵シャーロック・ホームズを題材にした人気海外ドラマ「エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY シーズン4」のDVD-BOXが7月から8月にかけて連続リリース中だ。今回は日本語吹き替え版キャストの三木眞一郎と田中敦子にインタビューを行い、本作の見どころや収録の様子を語ってもらった。

本作は、変人かつ天才のシャーロック・ホームズ(三木)とその相棒のジョーン・ワトソン(田中)が、現代のアメリカ・ニューヨークを舞台に繰り広げる謎解きエンターテインメント。今回のシーズン4ではホームズの父親や新たな恋の相手が登場し、ワトソンとの関係にも新たな変化が生まれる。

――シーズン4での見どころをお聞かせいただけますか?

三木:今回は登場人物が増えたこともあり、シーズン3までの流れをいったんリセットしたような感じがありますね。だから、もしシーズン3までの流れを知らない方でも、今回のシーズン4から楽しんで見ていただけると思います。そこで興味を持ってもらえたら、シーズン1、2、3と振り返っていただければうれしいです。

田中:このシーズン4で登場するホームズのお父さん・モーランドがとても濃いキャラクターだったので、今回は彼が作品を構築していた“陰の主役”という印象を受けました。彼を中心として、シャーロックとジョーンそれぞれの“親子の関係の難しさ”が描かれていると、収録をしていて感じましたね。単に謎解きだけではなく、人間関係や家族の絆がテーマだったシーズンだと思います。

――特にシャーロックとモーランドの父子関係のすれ違いには、見ていてやきもきさせられました。

三木:田中さんも言った通り、シャーロックは探偵であるし事件は解決しなければならないですが、そこに人間関係が入ってきたことで、これまでと同じオンエア尺なのに密度がギュッと濃くなっています。各エピソードで起きる事件を解決した上で、シャーロックとモーランドの腹の探り合いも行われ、緊張感のあるスリリングな展開を見せますね。

――モーランドは底知れぬ怖さを持ったキャラクターですね。

三木:彼は同じ舞台に立っているようで実はちょっと違うところにいる人物なんです。物事に対しいろいろと裏で手を回しているような展開もあります。収録中は先の展開が分からないので、次の台本を見て裏切られた気持ちになったりもしました(笑)。

田中:モーランド役のジョン・ノーブルさんが貫録のある役者さんですし、そこに菅生隆之さんがすごみのある声で日本語を当てていらっしゃるので、いい意味で怖かったですね(笑)。得体(えたい)の知れない怖さというか、世界を牛耳っている計り知れない力を持った人物なので、常に怖かったです。

――お2人はこのホームズとワトソンを長く演じられていますが、改めてお2人が思う、ホームズとワトソンの好きな点や魅力は何ですか?

田中:ジョーン役のルーシー・リューはブロンドでもブルーの瞳でもなく、日本人が思い描くいわゆるニューヨーカーやアメリカ人とは違うと思うんですね。東洋系で日本人に近くて、親しみやすい感じが日本で受け入れられる魅力の一つだと思います。また、ファッショナブルなところや、お芝居の上手なところなども魅力ですね。この「エレメンタリー」はシーズン6の制作も決まりましたが、彼女は女優としてだけでなく監督にも挑戦するなど、この作品に懸ける意気込みや熱意、バイタリティーなどが画面を通し伝わってくるので、そういったものが演じているジョーンとオーバーラップして、作品での彼女の魅力に繋がっていると思います。

三木:ホームズですが、僕にとっては彼の存在自体が魅力です。ただ、一人だと本当にどうしようもない人なので(笑)、やっぱりジョーンと2人でいることが大事ですね。彼らは何かが欠落している者同士なので、本当によく巡り合えたなと。記憶力や洞察力は桁外れなホームズですが、生きていく上ではいろいろと苦労したと思います。でも、彼はそのこと自体に気がついてもいないと思うので。いろいろな意味で、どこを切っても魅力的な部分が見えてくるような人物なので、すごく素敵だなと感じています。

――ホームズとワトソンの“相棒以上、恋人未満”といった関係性も「エレメンタリー」の魅力だと思うのですが、演じる上で気を付けている点があればお聞かせ下さい。

三木:家でリハーサルをしてきて現場で合わせた時に、お互いの考えているものにそんなに差異はないです。元々、英語版の完成品に対して僕らは日本語を当てるのですが、2人の関係性はジョニー・リー・ミラーとルーシー・リューが素敵に演技してくださっているので、そこに僕らはすーっと乗っていく感じです。ただ、何かの拍子に浪花節のように入り込みすぎてしまうと、「やりすぎです」と注意されますね。そのため、そういった部分はテストの時に一度やってすっきりして(笑)、本番では抑えています。田中さん的にはどう?

田中:この作品で一番大変なのは三木眞一郎さんなので(笑)、いかにその邪魔をしないように、そして投げてくれたせりふを拾って自分の作ってきたものを乗せられるか、という作業をいつもしています。また、演技では彼のせりふを聞いて引き出されるものも多いですね。自分で作ってきた以上のものが現場で出てきて、自分でもびっくりすることもあります。“相棒以上、恋人未満”という2人ですが、相手に恋人ができる度にちょっとジェラシーみたいなものをお互いに感じています。だけど、そこから先には踏み出さない、すごく微妙な関係ですよね。そういった雰囲気が日本語版でも視聴者の方に伝わるといいなと思っています。

三木:本当にそう思いますね。

田中:べたべたし過ぎず、踏み込み過ぎず、でも嫉妬はするみたいな。

三木:この作品はスタイリッシュでありつつ、そういった登場人物の心の距離感がものすごく細かく描かれています。

――お2人にとって、この「エレメンタリー」という作品や、この作品の現場・チームはどういった存在ですか?

田中:やっぱり私たちが日常的に抱えている作品の中では、群を抜いて大変な作品であることは間違いないです。1シーズンで24エピソードありますし、シーズン6の制作も決定したということで、あと2年先まで決まっているわけですよね。そういう中で、今日の収録ではグレッグソン警部役の堀内(賢雄)さんや他の皆で、「また始まったね」と話していました(笑)。

※インタビューはシーズン5収録の初日に行われた

でも、この「エレメンタリー」はすごく良い座組みです。長いせりふを言わなければならなかったり、医学用語が出てきたりと、収録を重ねていくうちにいっぱい傷を負ったりします(笑)。でも、それを支えてもらえる仲間たちがいる温かい現場なので、満身創痍(そうい)な感じで終わっても心地よいですね。

三木:僕も本当に良い座組みだと感じていますね。擦り傷を作ってもいいからみんなで手をつないでゴールできればと思います。僕らは日本語の音声ガイドを作っているわけではなく、あくまで“日本語版”を作っているので。日本人が見て楽しめるのが吹替版だと思うので、やっぱりそこは追及していかなければいけないと感じています。吹替版の評判が悪ければ、アメリカでは新シリーズを作っていても日本では吹替版を作らないということもあるかもしれないので、そういう意味ではハードルはめちゃめちゃ高いですよ。このシリーズが始まると半年ぐらい挙動不審になるので(笑)。最初にこの作品のホームズ役に決まった時はうれしかったんですけどね。

田中:「大変かもしれないけど、頑張ろうねー」みたいな話をしています。

三木:ディレクターに「ホームズ役に決まりました」と言われた時は喜んでいたんですが、台本を読んだらその大変さに「ふえぇ〜」ってなって(笑)。でも、こうやって隣でこんな話もできるし、本当にワトソン役が田中敦子さんで良かったなと思っています。もし、ちょっとでも「ん?」ってなる人とだとこの作品はできないと思うし、収録の時間が苦痛になっていましたよ。

田中:苦痛とかそういう感じは全然ないですよね。この作品は「大変なんだけどみんなでやっていこう」という気持ちになれるので。

三木:ハードで厄介な作品ではありますし、うまくできない自分に対してのストレスはたまるけど、現場に対してのストレスは全くないですね。そこで僕が喜ぶだけじゃなく、見てくださる皆さんに喜んでいただけるまでが僕の仕事なので。ぜひぜひシーズン4も手に取ってご覧いただいて、見てくださった方の心が少しでも動いたら、それが一番うれしいですね。

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