林遣都、出演作を「人生におけるテーマが散りばめられている」

林遣都、出演作を「人生におけるテーマが散りばめられている」

映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」で、“魚屋ミュージシャン”こと松岡克郎を演じる林遣都

東野圭吾の同名小説を、映画「余命1ヶ月の花嫁」(2009年)「PとJK」(2017年)の廣木隆一監督が映画化し、9月23日(土)に全国で公開される「ナミヤ雑貨店の奇蹟」。心優しい店主が営む個人商店「ナミヤ雑貨店」を舞台に、時を超えた手紙がつなぐ5つの感動物語が展開される。山田涼介がつらい生い立ちを抱え心に傷を負った主人公の青年を好演。ベテラン俳優の西田敏行が「ナミヤ雑貨店」の店主役で共演している。

林遣都は、さまざまなエピソードを結びつける重要なキャラクター“魚屋ミュージシャン”こと松岡克郎役で出演。芝居だけではなく、ハーモニカ、ギター、歌と、音楽面でもハードルの高い技術を求められた役作りにまつわるエピソードを語ってくれた。

――今回の作品で演じた松岡克郎は、どんな青年ですか?

若くしてミュージシャンになるという大きな夢があって、でもなかなか上手くいかないことばかりで、もがき苦しんでいる。家族の間で確執があり、夢を選ぶのか家業の鮮魚店を継ぐのか。その選択に悩んでいる青年です。

――廣木監督とは、ドラマ「火花」でタッグを組んでいましたね。

廣木監督は、俳優が気持ちを込めて強い思いを持ちながら役に取り組めば取り組むほど、それ以上のもので返ってくるような監督。自分の役は誰よりも理解すべきものだし、自分で作るものだということを大切にしながら僕らに接してくださるんです。だから、お芝居に関して細かいリクエストはなかったです。

その分、こちらもいろいろ準備をしないといけない。物語の中で本当に松岡が生きているかのように演じるため、余計なことをしないよう心掛けました。お芝居っぽい演技をすると、すぐ監督に見抜かれますから。肉付けするというよりは、なるべく無駄なことをしないといいますか、削いでいく作業が多かったような気がします。

――ミュージシャンを目指す役ということで、劇中では山下達郎さんが手掛けた歌や楽器の演奏を披露していますね。

実際に歌っているシーンはそれほど多くないんですけど、歌詞ではなくスキャットのような感じで歌う苦労はありました。山下達郎さんが作る曲は、プロの歌手の人でも難しいと思う音楽なんじゃないかなと、素人ながらに思いました。節回しが独特で、なかなか上手く歌うことができなかったです。ハーモニカに関しては、全くの初心者。ゼロからのスタートでした。

――ブルースハープではなく、クロマチックハーモニカに挑戦。素人が習得するには半年以上かかると聞きましたが、練習期間は?

廣木監督のことですから、きっと長回しで撮ってくるだろうと勝手に予想して(笑)、本番までにしっかり1曲分を完成させようと思っていました。練習期間は1ヵ月ぐらいしかなかったので無理しなくてもいいと言われていましたけど、きっと“生音”を求められるだろうと。それはハーモニカだけではなく、歌もギターも同じ。

案の定、「ナミヤ雑貨店」のシャッターの前でハーモニカを吹くシーンでは、本番前に廣木監督が僕のところにきて「生音で撮るから頼むよ」って、ちょっとニヤけ顔で言うんですよ(笑)。でも、お世辞にも上手いとは言えない素人の音を使ってくれるなんて、これほど幸せなことはないなと思いました。事前にハーモニカの先生の演奏を収録していたので、どこまで僕の音が使われているのかは分かりませんけど(笑)、すごくいい経験をさせてもらったなと。ハーモニカは1人で、どこでも自由に吹けるところが魅力的な楽器。音色もすてきですよね。

――ギターも初めてですか?

高校時代に少しだけ遊びでやっていた時期があったので、初めてというわけではなかったです。ただ、ギターに触ったのはそれ以来だったので、ほぼ初心者みたいなものでした。

――「ナミヤ雑貨店」がある商店街の撮影が行われた大分・豊後高田ロケの感想は?

どこか独特の雰囲気が良いですよね。まだ、昔の風景が残っている街。今回のようなタイムスリップする物語にぴったり。冒頭のシーンで敦也(山田涼介)、翔太(村上虹郎)、幸平(寛一郎)の3人が商店街の中に迷い込んでいく映像は何とも幻想的で。街の灯りもすてきですし、ここしかないというロケ地。やっぱり“廣木チーム”はすごいなと思いました。

――「ナミヤ雑貨店」には、さまざまな悩みの手紙が寄せられますけど、林さんは悩みを相談するタイプ? それとも相談される側?

相談されることは、ほとんどないです。僕自身、20代後半になって後輩と共演する機会も増えてきましたけど、役者同士というのは特に若い頃だと、いい意味でみんなどこか尖っていたりするじゃないですか。自分は自分という意識が強いから、誰かに相談することって少ないのかもしれません。僕もどちらかというと自分で考えて切り開いていきたいタイプですね。

――子供の頃、印象に残っている“個人商店”はありますか?

小学校、中学校の頃は駄菓子屋さんによく通っていました。おばあちゃんが1人でやっていて、他人なんだけどいつからか顔なじみになって。不思議ですけど、自分にとって特別な存在になっていました。今、思い出してもすてきな時間だったなと思います。

――最後に、映画の見どころをお願いします。

僕が演じた松岡は、物語の始まりのきっかけとなるキャラクター。ファンタジーの要素がある作品なので、その世界にどっぷり入り込んでもらえたらうれしいです。人生におけるテーマがいろいろと散りばめられていると思うので、見終わった後に劇場を出ると、世の中の景色が少し違う見え方がするような気がします。

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