岡田惠和、有村架純は「最強レベルにある女優さん」

岡田惠和、有村架純は「最強レベルにある女優さん」

連続テレビ小説「ひよっこ」の脚本を務めた岡田惠和氏

いよいよ9月30日(土)に最終回を迎える、連続テレビ小説「ひよっこ」(毎週月〜土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか)。

毎日のように繰り広げられる“怒濤の幸せラッシュ”には、SNSなどを中心に大きな反響が寄せられている。

そんな本作の脚本を書き上げた岡田惠和氏に、「ひよっこ」に込めた思いや執筆の裏話を聞いた。

なお、同番組の総集編は10月9日(月・祝)昼3時5分から、前後編続けて173分にわたって放送される。

──ヒロイン・みね子役の有村架純さんは、岡田さんのオファーにより決定しました。今あらためて、有村さんについて思うことを教えてください。

有村さんは、“何でもできる人になっちゃった”気がしています。みね子役に関して言えば、「どんなシーンを書いても大丈夫」という安心感と、「大先輩たちに囲まれて緊張しても、きちんと力を発揮してくれる」という頼もしさを感じています。今、最強レベルにある女優さんなのではないかと思います(笑)。

──本作には「悪人が出てこない」ことが印象的でした。コンセプトとして、意識されていたのですか?

明確に意識していたわけではありませんが、自分の人生経験を振り返っても、何かうまくいかなかった時に、それが人のせいだったことはあまりないなって思うんです。結局自分の問題ですから。

敵がいるとそれだけドラマは動くんだけど、それより、「“いい人たち”の横の道には、何があるか分からない。一見するとユートピアだけど、解決しようのない悲しいことも起きている」感じを描きたいなと思っていました。

──登場人物たちは皆、“いい人たち”であり、そして“愛すべき人たち”だったように思いますが、脚本を書きながら手応えは感じていたのでしょうか?

どの人も個性的に書きたいと思っていたのですが、キャラクターそのものがドラマを救ったり動かしたりしてくれたという意味では、宗男(峯田和伸)と愛子さん(和久井映見)が特にうまくいったと思っています。あの2人がいると、便利なんです(笑)。よく発明したなと、自分を褒めてやりたいですね。

実は2人が話していることは、とてもストレートなんです。だけど、和久井さんは計算し尽くされた演技の中でそれを表現してくださるし、峯田くんも、直感的ながら彼が話すと真っすぐなせりふが歌に聞こえてくる感じがあって。シーンを書き進める上で、すごく助けられました。

──増田明美さんの独特なナレーションも、放送開始当初から話題になっていました。

基本“何でもアリ”なので、ありがたかったです(笑)。ドラマの中にいる、妖精みたいな存在ですよね。どういう立場なのかも、どこから見ているか分からない(笑)。

途中から、書いた覚えのないナレーションも出てきて。例えば、僕は予告編のナレーションは書いていないので、演出も楽しんでいたんだと思います。

と同時に、やっぱり便利な部分もあって。谷田部家の経済状況だとか、みね子の収入の内訳だとか、そういう情報を何とかして(視聴者に)伝えたいと思った時に、増田さんに説明してもらえばいいわけです。

──劇中ではさまざまな歌が登場しましたが、岡田さんが選曲されたのですか?

そうですね。台本で指定していました。だから、この半年間は昭和歌謡ばっかり聴いていましたね。物語の年代に合わせないといけないので、ストーリーを書き進めるうちに、僕の聴くCDも変わっていって。最後は(物語が終わる)1968年に発売されたものを聴いていました。

当時の歌謡曲って、歌詞がすごく人の心情に寄り添っているなと思うんです。書いていてびっくりするくらい、曲がシーンに“ハマる”瞬間がありました。当時の曲をたくさん聴いてそれを発見する楽しさもありましたし、何よりドラマに力をくれた感じがしましたね。

──では、「これは想定通りにはいかなかった」というものはありますか?

当初のプランから一番変わっているのは、(物語が)4年した経っていないことなんです。実は、書き始める前は1970年代初めまで進めようと思っていたんですが…。結構早い段階で、そこまで到達しないことが分かりました(笑)。

書き始める前には、それぞれのキャラクターを“役割で”配置するんです。でも、書いているうちに段々とそのキャラクターが好きになっていって、役者さんとの相乗効果もあって、登場人物それぞれの人生を描きたくなる。

それをやっていたら、4年しかたたなかったということです(笑)。そういう意味ではもっとやりたいことはあったし、キャラクターたちのもう少し先も書きたかったですよね。“朝ドラ”はつらい部分もありますがやっぱり楽しいので、もし「やっていいよ」と言われたら、続きをやりたいなと思っています。

──それぞれのキャラクターをもっと見たいという声は、SNS上でも多く挙がっていました。そういった反応は、どう受け止めていましたか?

“朝ドラ”の執筆は「ちゅらさん」(2001年)、「おひさま」(2011年)に続いて3回目ですが、(SNSの)環境は激変していますね。

今回はTwitterの反応を、リアルタイムで見てみることもありました。そのシーンでこんな反応をするんだとか、こういう風にだまされてくれるんだとか、あるいは「もう(展開を)読まれてる!」と思ったこともあって、面白かったです。

僕は展開の強引さで、視聴者にストレスを与えたくないと思っていて。みんなが疑問に思うことに応えたいですし、SNSで視聴者の“ムード”を感じて、気付かないうちに(脚本で)リカバーしていた面もあったんじゃないでしょうか。

それから、「スピンオフ」への要望を言われるというのも、初めての経験でしたね。親戚のめいっ子からも、「この人のスピンオフをしてください」と言われて(笑)。

前はスピンオフなんてなかったので、それが浸透しているんだなというのが、不思議な感覚でした。

──最後に、視聴者・読者へのメッセージをお願いします。

「ひよっこ」は、大きな出来事はないけど、最終的にみんな少しずつ幸せになっています。ドラマは終わりますが、登場人物たちの物語はまだまだこれから先も続いていくので、そこを想像して、最後まで応援してもらえたらと思います。

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