マキタスポーツが昭和歌謡曲を語り尽くす!「今までの音楽番組でやっていない角度で切り込みたい」

マキタスポーツが昭和歌謡曲を語り尽くす!「今までの音楽番組でやっていない角度で切り込みたい」

マキタスポーツ(右)とスージー鈴木が1980年代歌謡曲への思いを爆発させる!

マキタスポーツと音楽評論家のスージー鈴木がMCを務める音楽番組「ザ・カセットテープ・ミュージック」(BS12 トゥエルビ)の収録が行われ、楽曲に関しての裏話や、2人の歌謡曲に懸ける思いを聞いた。

同番組はMCの2人が1980年代の歌謡曲を毎回テーマに沿ってセレクトし、その曲にまつわるトークを展開する。

12月1日、8日には「輝く!日本カセットテープ大賞」「カセットテープ紅白歌合戦」が放送されたが、さらに12月31日(日)夜8時からは「大晦日スペシャル」を放送することが決定。「カセ大」には入りきらなかった内容が放送される。

――収録を終えていかがでしたか?

マキタ:ほんとは毎回30分くらいのものなんですけど、先ほどは1時間半くらいしゃべっていました。時間は分かってはいるんですけど、話し出すと止まらないというような。僕は基本的にスージーさんのせいにしていますけども。

スージー:いやいやいや、待て待て。渡辺美里の「My Revolution」1曲で30分しゃべってましたからね!

マキタ:(笑)。スージーさんの熱に僕もあおられるように、やっぱ黙っておけないじゃないですか。そういう相乗効果はありますよね。おじさんがこんなに熱っぽくなる場所もね、そうそうないと思います。

――お二人が熱く語った後、80年代を知らないカセットガールにバッサリと斬られちゃっていましたが…。

マキタ:はい、もう、あの子はもう、そういう子なんじゃないですかね(笑)。たぶん20年くらいたつと(今回の収録のような話が)ジワッと効いてくると思います。

スージー:先ほどユーミン(松任谷由美)の80年代の歌詞についてもう1回しゃべったんですけど、やはり40、50(歳)になって分かるユーミンの歌詞の良さみたいなものが。今われわれがしゃべりながら涙ぐんじゃうって感じは、年を取ると分かる(笑)。50代だからこそ分かる80年代のよさみたいなものが。

――年齢を重ねると聴き方が変わってくるものですか?

マキタ:変わると思いますよ。

スージー:人生経験を経て、分かるものがありますね。

マキタ:あとね、今日(の収録で)は時間の都合で言うのをやめましたけど、果たして「We Are The World』はほんとにいい曲なのかっていう、(時代によって聞き方が変わるという点で)問題があるんですよ。

それがどういうことかというと、当時遠く離れたアフリカの難民たちを救済するっていうU.S.A For Africaっていうムーブメントがあって。「アーティストたちが無償で立ち上がって、収益を基金として彼ら(アフリカの難民)にあげる」という、そういうストーリーとしてプロモーションしていたわけですよね。

それはいい話なんですけど、ただそのストーリーを知った上で、聴いていたので。つまり、プロモーションとか、そのときの文脈、ストーリーというものがどの曲にも必ずあるんですよ。

だからそれを差し引いた上で聴いたらどうなんだろうって思います。聞き手の持っている「情報」というものはその都度違うわけですが、「音楽」は普遍的に作られているから、時代による感じ方とか受け取られ方とかのバイアスを取っ払って、なるべく「音楽的に素晴らしいんですよ」、ということ番組内で見せていきたいですね。

そうするとそんなに新しい曲を追い掛けなくても、昔の曲とかでも楽しめるんですよ。スージーさんが仰ったみたいにこの年になったときにユーミンの書く歌詞がめちゃめちゃ分かってきたり…。あの時代のユーミンはおしゃれというバイアス(見方)に乗っかっちゃってたけど…。

スージー:“おしゃれの女王様”みたいになってたけど、よく聞いたらこんなええ曲書いてたんやって。

マキタ:そういうバイアスが全部外れた状態の視点から、ユーミンとかを再評価できるっていうのはいいよね。たぶんそれがわれわれの務めなんじゃないかなと思います。

――番組内で紹介する選曲はお二人がなさってるんですよね?

スージー:そうですね。基本われわれが選曲。でもお互い手の内というのは当日まで分からなくて…。どういう理由でこの曲を選んでるのか、っていうのは当日の収録で初めて分かるメカニズムになっております。

マキタ:そう。当日まで分からない。ただ俺結構スタッフから、あおられて…。「スージーさんからもう曲が提出されてます!」って言われて、俺、ちょっと待って!ってなって。

スージー:私はもう暇なんで、メール来たら30分後くらいに提出して(笑)。

マキタ:別に暇じゃないんですよ。ジョークで言ってるだけですけど。とにかく早いんです、スージーさん。僕はギリギリ。締切をだいぶ遅らせてもらったりして、結構苦労します。

――選曲に時間がかかるというのは曲への愛着からなのでしょうか?

マキタ:愛着もだし、あとは伝え方とかをやっぱり気にしちゃいますよね。ただ好きというだけでも伝えきれるところはあるんですけど。この曲をこういうふうに伝えたらよりいい伝わり方するんじゃないかなっていうことを選別するってことかな。

スージー:考えに考え抜いて。そうやって選曲した曲が収録で初めてわかって。面白いですよね。手の内がぱっと開けて。こうきたかっていうのはあります。

――今までお互いの選曲を聞いて特にこうきたか、と思ったこと曲はありますか?

スージー:紅白って言ってるのに「We Are The World」(笑)。

マキタ:あれは反則技なんですけどね。

スージー:でもほんと「We Are The World」のように今語られない曲を語るっていう、そういうのはコンセプトみたいなのはありますよね。

マキタ:僕は、この収録の何が楽しいかってスージーさんと曲の良さをどう伝えようかってこととかですかね。

あと僕すごく歌詞については弱いんですよ。っていうのはね、最近、ようやく歌詞も聞こえてきたので。僕は若い頃はほとんど歌詞を聞いてないんです。

だからあの歌詞のここがいいとかこのフレーズがいいとか、桑田佳祐さんのユーミンのこの詞がどうしていいのか、っていうことを。歌詞に関してはスージーさんから教えてもらうことの方が多いです。

そしたらそれを興奮して説明してるおじさんを見てるとどんどん俺も興奮してきて(笑)。感動して、すごいおじさんがピュアになってく…。

スージー:浄化されていく…。なかなかね、当時分からなかった…。

マキタ:カセットガールなんて分かる訳ないんですよ! 曲よりも自分の方が偉いんだから! 若いっていうのは!

スージー:そうですね(笑)。今曲に真摯(しんし)に向き合うことができるのは年齢からかも知りません(笑)。

――マキタさんはご著書では歌詞分析もされていますよね。なので「歌詞が苦手」というのはとても意外です。

マキタ:歌詞はね、僕はもっと市場的な素晴らしさ、工業製品としてのキット、部品として使われがちなものとかを集めて、こういうものとかいっぱい使われてるよねっていう。別の側面で、もっと「モノ的な観点」でやってるので。

「言葉の力」みたいなものとかをあえて信じてない状況のままで僕はやってる。

スージー:松本(隆)vs秋元(康)みたいな。80年代前半と後半。

マキタ:お笑いが隆盛したのも80年以降ですから。たけしさんとかああいう人たちが出てくる訳じゃないですか。また85年くらいにとんねるずさんとか出てきて、だいぶ芸能の流れが変わって。批評的だし、すごくぶっ壊す。

そういうのに僕は感化されたんです。お笑いで世の中を変革してくようなイメージとか、もっと軽薄なノリになっていく感じとか…。だからとんねるずが「歌謡曲」っていう曲をもって、今までのムード歌謡とかをからかっているのは構造的にときめきましたね。

スージー:「歌謡曲」(1986年)も「なんてったってアイドル」(1985年)という曲も秋元康が作詞した1985年くらいの曲なんですけど、それ以降はあまり歌詞の一行一行に線を引いて読んだりとか、熟読したりとかをしないっていう。そういうカルチャーがなくなってきたんで。

マキタ:どんどんどんどんそれがなくなっていったし、壊しにかかっているもののほうに乗っかってきているし、詞を見詰めて「はぁ…」みたいなのはカルチャーとしてはなくなっていったんじゃないかな。

スージー:ボクは小指一本そのカルチャーを知っていたっていうね。

――来年以降の企画や今後の番組の方向性を教えてください。

スージー:新春、ですから元春。新春元旦、元春。1月の一発目は佐野元春で。

マキタ:2017年のカセットテープ大賞を受賞した佐野元春さんね。

スージー:本人のコメントは絶対来ないです(笑)。で、二番目はチェッカーズ。外せないですね。

マキタ:今後、まだまだいろいろあると思いますよ。今までの音楽番組とかでやっていない角度とか切り口で、別の角度でやったらこんな聴き方とかがあるんだっていうのをみせたいです。

スージー:まあね、「亀田音楽専門学校」(NHK Eテレで放送されていた音楽プロデューサー・亀田誠治さんによる音楽教養番組)とかよりこっちのが本質的ですよね(笑)。

――視聴者の方に向けてメッセージをお願いします。

マキタ:僕は来年20周年なんですけど、いみじくもこんな番組をできて…。僕のやり方としては音楽というものに笑いという角度をつけて伝えることによって、古いアーティストと新しいアーティストのつながっている面とかズレを提示したいなと。

だからこの番組が始まったことは、自分の中でまた原点みたいなものを築く機会になっています。1月にコットンクラブで「オトネタ」というライブをやりますが、「ザ・カセットテープ・ミュージック」を見てコットンクラブに来てください! そしたらより音楽の楽しさが伝わると思います。

スージー:いろいろな音楽の聴き方をまき散らしていきたいので、ぜひ見ていただければと思います。

■ 輝く!日本カセットテープ大賞

【最優秀転調大賞】

渡辺美里/「My Revolution」

【最優秀メタアイドル賞】

小泉今日子/「なんてったってアイドル」

【最優秀12月の歌詞賞】

桑田佳祐& His Friends/「Kissin' Christmas」

【日本カセットテープ大賞】

佐野元春/「SOMEDAY」

■ カセット紅白歌合戦・曲目

【白組】        

吉川晃司/「憎まれそうなニューフェイス」

とんねるず/「歌謡曲」

USA For Africa/「We are the world」

【紅組】 

浅香唯/「セシル」

レベッカ/「Maybe Tomorrow」

薬師丸ひろ子/「Woman“Wの悲劇”より」(ザテレビジョン)

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