「陸王」で好演中の松岡修造が語る熱い役作り「家ではずっと御園社長として過ごしています」

「陸王」で好演中の松岡修造が語る熱い役作り「家ではずっと御園社長として過ごしています」

プロテニスプレーヤーを引退した時から、“演じる”ことは最もやりたいことだったという松岡修造

池井戸潤の同名小説を原作に、骨太のストーリーが好評を博している日曜劇場「陸王」(TBS系)。今夜(12/17)放送の第9話では、資金難という窮地に陥ったこはぜ屋を救う起死回生の手段として、宮沢(役所広司)は米国企業フェリックスの御園社長(松岡修造)から持ちかけられた買収案に応じようとする。その条件は、こはぜ屋にとって決して悪いものではなかったが、あけみ(阿川佐和子)達が猛反発。更に、飯山(寺尾聰)はこの買収には裏があるのではないかと言う。フェリックスが仕掛けた買収案には本当に裏があるのか。そこで今回は御園社長を演じる松岡修造に今回のオファーを引き受けた理由や第8話放送後、騒然となった意味深な顔の真実などをインタビューした。

■ いきなり役所さんと芝居をするのは、いきなりロジャー・フェデラーと試合をするようなもの

ーーまず、今回のオファーを引き受けた理由は何だったんですか?

「全く想像しなかったオファーですが、プロテニスプレーヤーを退いた時から“演じる”ことは最もやりたいことのひとつでした。ただ、当時は自分の得意なものとして始めたテニスの指導やそこから自然に広がっていった応援するということがピタッとハマったんですよね。でも、この20年間、“演じる”ことは僕の心の中でずっと温めてきたものです。そこに『陸王』という“心”を伝えるドラマからのオファーです。福澤(克雄)監督をはじめ、スタッフの方々が熱い想いをひとつにしてこの作品に取り組んでいる。僕が演じる御園(丈治)さんは大企業の社長ですが、僕らしくはない。同じくらい熱い思いは持っているけれど、僕と違って感情表現の仕方が違う。そして、僕自身が50歳というひとつの節目を迎えたというのも大きかったと思います。それらを考えて、来る時が来たのかなと」

ーー最初の撮影はどういうシーンだったんですか?

「第8話で役所(広司)さん演じるこはぜ屋の宮沢社長に自分の会社を説明するシーンです。かなり長いセリフで計ってみると6分くらいかかりましたね。それをノンストップで話す。“最初にそんなに長いシーン?”と思いました。覚えるだけではなく御園さんとして言わなければいけない。しかも、お相手が役所さんです。テニスだったら、いきなりグランドスラムのセンターコートで、大会の推薦枠(ワイルドカード)をもらって出場した選手が世界トップのロジャー・フェデラーと対戦するようなものです(笑)」

■ 家族からは迷惑がられていますが、家ではずっと御園社長として過ごしています(笑)

ーー聞いているだけで、相当なプレッシャーを感じます。

「その状況では自分の心が崩れたら終わりです。だから、少しでも宮沢社長を演じる役所さんの顔に慣れようと、『陸王』のホームページから宮沢社長の写真をプリントアウトして、家中に貼りました」

ーーそれを目にしながら、御園社長という役を掴んでいったんですか?

「掴むというか、家ではずっと御園さんです(笑)。朝から“今日のご飯は何にしようか”と御園調で話すので、家族全員に迷惑がられています。ただ、報道ステーションやフィギュアスケートの中継では普段通りの松岡修造に戻らないといけない。なかなか大変です」

ーーそうやって、まずは最初の撮影を乗り切った訳ですね?

「テストから間違えずにセリフを話している僕がいました。役所さんのおかげですね。失礼な言い方ですが、目の前にいらっしゃった役所さんはどう見てもこはぜ屋の宮沢社長にしか見えなくて。気づいたら、僕も余裕を持って片田舎の小さな会社の社長に話す感覚になっていました。もし、役所さんが“役所です”とその場にやって来られていたら、僕はまともにセリフを言えなかったと思います(笑)。これが真の役者なんだな、演じることなんだなと感じた瞬間でしたね」

■ 御園社長はダークサイドの人なのか、あるいはダークサイドに堕ちるかもしれない人なのか

ーー御園社長は窮地に陥っているこはぜ屋の救世主とはいえない面も見え隠れします。

「第8話の御園さんは基本的に冷静さを保って、宮沢社長を説得するのが役割でした。“何でもやってあげますよ”と言って、こはぜ屋を何とか買収しようとする。ある意味では優しさも感じたと思いますが、最後にいきなり違った表情を見せましたよね」

ーー非常に意味深な顔でした。

「でも、あのシーンを見た僕の子供から“お父さんは悪い役なの? でも、あの顔は家でよく見る顔だよね”と言われました(笑)」

ーーネット上では、「松岡修造は敵か味方か」で盛り上がっていましたが。

「御園さんはダークサイドの人なのか、あるいはダークサイドに堕ちるかもしれない人なのか。そういうふうに取ってくれたというのは、とても嬉しかったですね」

■ 第9話では、色んな御園社長が出てきます。その中では、御園さんと素の僕が重なって見える瞬間もあるかも!?

ーー今夜放送の第9話が非常に楽しみになってきました。

「第9話は、更に御園さんのいろんな一面が出てきます。凄く辛い感情を表現したり、宮沢さんとの対決で怒りの感情を出したり。冷静な御園さんが、本気の感情を出します。そして、釣りのシーンでは、御園さんと素の僕が重なって見えるところもあるかもしれません。その上で9話でも5分近く話します。そんなに長いセリフを話すドラマはあまりないと思います。そういうシーンが成立するのは、観ている人を飽きさせない言葉と映像、そして宮沢さんとしてただ耳を傾けてくれる役所さんがいるからでしょうね」

ーーそんな松岡さんの姿を見て、また役者としてのオファーが来るかもしれませんね。

「これからの僕は2020年に向けての応援で精一杯です。それに『陸王』以上のオファーはないと今は思っています。これまで人を応援したり、テニスの指導をしたり、自分自身のために頑張ったと思うことはありませんでした。でも、今回は頑張りましたね。自分のためにやっている感じがします。だから、今は現場で過ごす1分1秒を大事にしたいと思っています」(ザテレビジョン・取材・文=あらいかわこうじ)

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