志尊淳、“女性役”は「野球のマスコットキャラクターがアクロバットしているようなもん」

志尊淳、“女性役”は「野球のマスコットキャラクターがアクロバットしているようなもん」

リアルな“合コン”シーンが話題になった第1話

1月19日(金)夜10時から第3話が放送される「女子的生活」(毎週金夜10:00-10:50、NHK総合)。

同作は、志尊淳演じるヒロイン・小川みきが、さまざまな理不尽な出来事に振り回されながらも強く生きていく姿を描いている。

姿勢よく、きれいな仕草で、優しい口調のみき。そんな彼女の美しい姿を形作ったトランスジェンダー指導の西原さつきが、志尊と対談。

ただの“女装”ではなく“女性役”という難役に挑戦した志尊が撮影の1ヵ月前から取り組んだというトレーニングの裏側などを明かした。

■ 通常1年かかるトレーニングを1ヵ月に落とし込んだ

――通常、西原さんが代表講師として一般の受講生の方に指導されている「乙女塾」では、トレーニングに1年くらいかかると伺いました。でも今回、西原さんは志尊さんに、女性の所作や声の出し方、話し方などをクランク・インまでの約1ヵ月の間でトレーニングをされたそうですね。

西原:そうですね。本当にすごくできる人でも半年はかかります。今回のドラマでは、通常は1年かかるトレーニングを撮影までの約1ヵ月に落とし込んで行いました。トレーニングでは足の筋肉に負荷がかかるので、本来は筋肉を休ませる時間を作らないと仕上がっていかないんです。今回はその辺りもかなり、「志尊さんを追い詰めているなぁ」という自覚はありました。

でも視聴者の方に、みきちゃんが「やっぱり男っぽいね」とか絶対に言わせたくなかったので。志尊さんが汗だくになって辛そうにしているのもわかっていたんですけど、なるべく休憩は取りながら、でも追い詰めて…みたいな。ご本人が一番大変だったと思います。

――西原さんの指導の中で、印象に残っていることや、これは難しかったなという所作があれば教えてください。

志尊:全部、難しかったですね。ただ教えてもらっているものをやるということでは、取り繕っているものになってしまうので。たとえば、後ろ歩きをしながら普通の生活しろと言われているような感覚でした…。

西原:確かにそうですね(笑)。

志尊:だって普通に生活していて「あ、今この角度かっこいいかな?」とか考えて物を取ったりしないじゃないですか(笑)?

何気ない動作でも意識する部分が多すぎて混乱してくるんですよ。歩く動作も「足! 手! 目線! 首! 肩!」って意識するところがたくさんあるので「う〜ん…なんやねん!」って思うんですけど(笑)。理論的に考えつつも、あとは自分で「この時のこの体の感覚は見え方がいいんだ」というふうに、見え方の美しさを体の感覚でつかんでいきました。

僕としては、撮影現場に入ってからは芝居に集中したかったので、その前の段階でできる限りのことをしたいと思っていたので、だからこそトレーニングでは「もっとお願いします!」って前のめりになりました。

西原:志尊さんはドラマの中で、本当にサラっとみきちゃんを演じているんですけど、男性として生まれた人が女性として生きるだけでも難しいのに、さらにお芝居もしている。感覚的には着ぐるみを着た状態で野球をするような、二重にも三重にも大変な負荷がかかってると思います。

キャラクターが着ぐるみ着た状態でサッカーやってたりすると、みんな「すごい!」ってなるじゃないですか。あんな感覚に近いと思います。

志尊:野球のマスコットキャラクターがアクロバットしているようなもんです(笑)。

西原:私も、今回初めてお芝居をやらせていただいて、せりふを言うだけでもいっぱいいっぱいで、表情や気持ちを作る、という大変な作業を体験しました。自分がカメラの前に立ったことで初めて「私は志尊さんに大変なことをやらせていたんだ」と思って。撮影の合間にも「普段こんなことをやってたんだね、すごいね」って言っていました。そこから私は彼に頭が上がらないです(笑)。

志尊:いえいえ(笑) 。

■ 台本以上の熱量があふれでた“ともちゃん”の演技

――西原さんは、みきのかつてのルームメイト・ともちゃん役で志尊さんと共演されていかがでしたか?

西原:三鬼チーフ・プロデューサーから「みきの親友もトランスジェンダーという設定なので、役をお願いできないですか?」とお話をいただきました。正直に言うとまったくお芝居の経験がなくて、最初は演技ってどうやったら良いのかが分からなかったです。

ドラマがクランク・インして、自分が出演するシーンの撮影まで 2 週間くらいあったので、撮影現場で出演者の皆さんの姿を見て勉強させていただきました。それでも、いざ自分の撮影が始まってカメラの前に立つと、まったくの別世界で。みきちゃんとパンケーキを食べるというお芝居の時に、私がすごく緊張していると志尊さんが「食べる芝居は慣れていても難しいですよ」と声をかけてくれたので、リラックスして臨むことができました。

志尊:西原さんと共演させていただいて感じたんですが、西原さんには“芝居をしよう”という気負いがなくて、せりふも本当にともちゃんが喋っている雰囲気を最初から作ってくれていました。だから僕もみきとして、その会話をしっかり成立させたいなと思って演じていました。

2人の共演シーンは回想も交えるんですけど、僕が台本を読んだ時の解釈と、さつきさんが台本を読んだ時の解釈ってきっと違っていて。トランスジェンダーの当事者だからこそ感じることができる深い部分を、きっとさつきさんは感じていたんだと思います。

西原:共演シーンの中で、ともちゃんがみきちゃんに「彼氏ができたからルームシェアを解消してほしい」と話すシーンがあるんですけど、台本ではさらっと書かれていて。ともちゃんは彼氏ができたことで、みきちゃんと暮らした家を出て行ってしまうんですけど、トランスジェンダーの人が、普通の男性と恋愛するってすごく覚悟がいることなんです。友達と恋人を天秤にかけること、そして男性と恋愛することを考えた時に自分の中で熱量が上がってしまって…。

志尊:その熱量というものに僕はリアリティを感じたんです。みきに対して大事なことを言わなきゃいけないというともちゃんの気持ちを受け止めることに徹しました。

――師弟共演の裏側にはそんなエピソードがあったんですね。

西原:あれは自分がともちゃんを演じてなかったら、きっと理解できなかったことだったと思います。みきちゃんを演じる志尊さんの気持ちに近づいたことで、普段の指導の仕方も少し変わってきました。

■ 後藤とみきが故郷・香住へ

仕事のトラブルで故郷・香住に戻ることになった、みき(志尊淳)。トラブルは解消するが、交渉相手の家族関係にかつての自分を重ね合わせ、落ち込んでしまう。

一方で後藤(町田啓太)は、かおり(玉井詩織)にみきが家族にカミングアウトしていないことを聞かされ心配する。

みきは、自己嫌悪に陥った気持ちを吹っ切るように、神戸へ戻ろうとすると、後藤に遭遇。そこへ、みきの父・富生(本田博太郎)も偶然現れ、みきは初めて「女性」の姿で家族と話すことに。(ザテレビジョン)

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