“モザイク無し”の挑戦的バラエティー、賛否両論でも「リアル」を求める理由とは?

今田耕司と東野幸治出演のアマゾンプライム番組「ここでしか見られないリアルを追求」

記事まとめ

  • 今田耕司と東野幸治出演、Amazon Prime Videoオリジナル「今田×東野のカリギュラ」
  • 地上波の放送では実現しづらい企画、マニアックな企画などを映像化するバラエティだ
  • 総合演出を務めている姉崎正広氏は「ここでしか見られないリアルを追求する」と語った

“モザイク無し”の挑戦的バラエティー、賛否両論でも「リアル」を求める理由とは?

“モザイク無し”の挑戦的バラエティー、賛否両論でも「リアル」を求める理由とは?

「今田×東野のカリギュラ」で総合演出を務める姉崎正広氏にインタビュー

今田耕司東野幸治が出演し、地上波の放送では実現しづらい企画、マニアックな企画などを映像化しているAmazon Prime Videoのオリジナルバラエティー「今田×東野のカリギュラ」。

東野が狩猟をする「東野狩りシリーズ」をはじめ、出演するタレントたちがさまざまな表情を見せる企画はどうして生まれたのか。現在、シーズン2が配信中の本番組の総合演出を務めている姉崎正広氏に、“人間のリアル”にとことんこだわる、その思いについて語ってもらった。

■ 何より「人間」が一番面白い!

──「今田×東野のカリギュラ」は毎回、地上波のテレビでは実現しづらいであろう過激な企画が展開中ですね。

「カリギュラ」では“ここでしか見られないもの”を意識して作っています。それは人間のリアルや、世の中のリアルをとことん追求するということなんですが、そういったリアルをバラエティーとしてどう見せていくかを常に考えています、より深く突き詰めることにこだわっています。

リアルに迫れば迫るほど内容も過激になっていくので、自ずと地上波ではできないものになる。でも、それは地上波にケンカを売っているとかではないんです。そもそも、地上波と配信では規制の種類が違う、だからクリエイティブの種類も違ってくる。Amazonさんでは地上波と違った形態でできるので、それが「カリギュラ」のやり方にうまくハマって面白いものができているんだと思うんです。「地上波では見れない」を意識していると思われがちですが、そんな事はなく、地上波とネットそれぞれの形態にうまくハマった面白いものを作っていきたいですね。

僕は人間が一番面白いと思っていて、その人間の本質がどう見えてくるのかというところが大事かなと思っています。企画の面白さはもちろんだと思うんですが、人間の本質がどう見えるかを最優先に考えているので、最悪企画が成立しなくなっても“人間のリアルが見えてくるんだったら、そのままやっちゃう”くらいの感じで収録しています。

とは言え、“本質”ばかり言っているとドキュメンタリー番組になっちゃうので、そこをバラエティーとしてどう見せて行くかを常に考えています。その1つが東野さんの「東野狩りシリーズ」なんです。

──「東野狩りシリーズ」は、シーズン1では鹿、イノシシを、シーズン2ではカラスを狩って食していますが、確かに東野さんが地上波では見せない表情をしていますね。

あの企画は、世の中で隠されている、“生き物を殺して食べる”というところに焦点を当てたリアリティと、それに直面した東野さんの表情は、多分「カリギュラ」でしか見られないと思うんです。まさに“東野さんのリアル”というか、収録している時は、ハンターの顔になっていますね(笑)。東野さんも、この企画をやってから、肉を食べに行くときとか、これまでとは違った気持ちになってると言っていました。プライベートでそういう感情が生まれる企画ってあまりないと思うんです。

東野さんとは“次の狩りは何を”と話していて。視聴者もいよいよかと思っていると思うんですが、今は完全に熊に目を向けているんですよ(笑)。僕も全国のマタギやハンターへ交渉したんですが、「ナメるな。死ぬぞ」と真剣に怒られることも多く、東野さんにもそれを伝えました。確かに一歩間違うと死んじゃうかもしれないですが、僕らはまだあきらめていないし、東野さんもやる気満々なので、いつかは実現したいと思っています。

■ “賛否両論”がうれしかった

──シーズン1で配信された「オレオレ詐欺選手権」も、かなりギリギリなラインの企画ですよね。

「東野狩りシリーズ」は全くモザイクなしでやっているので、批判もあるのかなと思ったんですが、まったくなかったんですよ。それがちょっと意外で。逆に「オレオレ詐欺選手権」は、「勉強になった」というのと「ひどい」「あり得ない」と賛否が両極端でしたね(笑)。僕はそれが何かリアルを突き詰めている結果なのかなと思っているし、「感動した」という意見もある一方で批判もあったことがうれしかったですね。

Prime Videoは、Amazonカスタマーレビューの形で直に感想が届くのが、地上波と違うところだと思うんです。シーズン1では☆の評価が「1」と「5」が半々にあって、両極端の声が聞けるのはすごくいいなと。もちろん、それを参考に路線を変えることはないんですが、そういう意見もあるんだなとこちらの考え方も変わってくるし、企画もブラッシュアップできるのかなと。

■ 竹中直人も登場のシーズン2は、命がけの企画も

──そのシーズン2では、自ら考案したドッキリに自分が引っ掛かる「自作自演やらせドッキリ」に竹中直人さんが登場されていますが。

シーズン1ではずっと芸人さんでやっていて、今田さんまでやったので、演技力を問うということから俳優編をやろうと思い、竹中さんにオファーしました。企画を作っている中で、竹中さんのアプローチの仕方がリアルというか、“竹中さんはこんな事をやりたかったんだ”という本質が見えてきていると思います。ドッキリを自分で考えて自作自演でやらせで演じるからこそ、その人の本質が見えてくる、それがこの企画の醍醐味だと思っています。

──第2話の「人間火の鳥コンテスト」もすごい企画ですね。

平成ノブシコブシの吉村(崇)さんやドランクドラゴンの鈴木(拓)さんとかが参加したんですが、吉村さんは“昔のバラエティーを取り戻したい”という思いをすごく感じましたね。吉村さんならではの、ここだったら違う見せ方ができるんじゃないかというところでやっていたと思います。でも、鈴木さんの落ち方とかは笑いよりも寒気がありましたけど…(笑)。帰りのロケバスで、演者さんみんなで「生きてて良かった」と酒盛りをしました。このご時世そんな笑いに命まで懸けてやるロケってなかなかないないですよね(笑)。でもみんなカッコよかったですよ!

シーズン2でも僕の中でベースは変わっていないんですが、シーズン1を経験した分、違った形でより深く人間のリアルを追求することにこだわっているので、今までなかった感動の部分、ドキュメンタリーの部分が色濃くなっているとは思います。

■ 関ジャニ∞の個を輝かせたい!

──姉崎さんはフジテレビの「関ジャニ∞クロニクル」(毎週土曜朝10:53-11:21)でも演出をされていますが、規制の多い地上波の番組の演出は「カリギュラ」とは違ってくるんですか?

もちろんそれはありますし、Amazonでやる時とは切り替えてやっています。だけど、僕の中では、テレビは規制が増えて面白くなくなったとは全く思っていません。規制があるからクリエイティブも生まれると思っています。テレビと配信では規制の種類が違うだけで、その規制の種類が違えば、クリエイティブの種類も変わってくる、その時代とか媒体に合った面白いものを追求し続けられればいいのかなと。そして、地上波、配信、お互いに違うやり方で盛り上がっていけたら。テレビも規制をどうかいくぐろうかで面白くなっていると思います。

「クロニクル」に関しては、関ジャニ∞のメンバー6人それぞれが違った素晴らしい個性を持っているので、彼らの個をどうやって輝かせるかをすごく考えて、彼らにしかできない、彼らだから面白くなる企画を作ることを心がけています。彼らは本当に一人ひとり個性が違うかつ、それぞれがストロングポイントを互いに理解しているから強いと思います。本当に面白いメンバーだと思います。

彼らじゃないと面白くならない企画、彼らだから成立するバラエティーを目指しています。

■ 「自分なりの個のバラエティー」を探る日々

──姉崎さんはこの世界に入る前からバラエティーをやりたいという気持ちがあったんですか?

そうですね。(演出家の)マッコイ斉藤が従兄弟にいて、小さいころからその姿を見ていてバラエティーをやりたいと思っていたので、自然とこの道に入りました。きっかけでもあり師匠でもありますが、ただ背中を追いかけるのではなく自分の個のバラエティとはなんだと探りながら、いろんな人と出会い、いろんな事を学び、時代に合ったやり方で「自分なりの個のバラエティー」を探りながらやっています。

「ペケポン」(2007〜16年、フジテレビ系)では演出の武田(誠司)さんから、視聴者に分かりやすく見せる編集方法をはじめ、バラエティーのさまざまな基礎を学ばさせていただきました。その後、同じフジテレビの亀高(美智子)さんに会ったのが大きかったです。自分の中の、バラエティーを作る上でのストロングポイントを引き出してもらいました。関ジャニさんとの番組も立ち上げから、亀高さんに誘われて入りました。番組関係なく今でも困った時は相談しているくらいです。

そんな中で、自分はこれが面白い、これで勝負していこうというのが明確になってきて。それが“人間のリアル”につながって、うまい具合に「カリギュラ」にハマり、今いい形で出ているのかなという感じですね。スタッフ、演者さんもそうですが、「カリギュラ」ではお互いに好きなことができていると思います。

■ 今後はドキュメンタリーもやってみたい!

──“今後こんな番組をやってみたい”という思いはありますか?

より人間や世の中のリアルを追求して見せられるような番組を作りたいなとは思っています。もちろん、バラエティーをやりたくてこの世界に入ったんですが、笑いなしのドキュメンタリーとかもやってみたいんですよね。

僕は人間が一番面白いと思っているので、いつも“その人間の面白さをどう引き出すか”を第一に企画を考えているので、自分の興味がある人とか、皆さんが見落としがちな人たちに焦点をあてたドキュメンタリーとか…。今ならやっぱり、マタギや熊ハンターの方ですかね(笑)。(ザテレビジョン・取材・文=斉藤俊彦)

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