<西郷どん>遠藤憲一、“江戸無血開城”シーンは「朝起きてからずっと考えてた」

<西郷どん>遠藤憲一、“江戸無血開城”シーンは「朝起きてからずっと考えてた」

遠藤憲一が作り上げた勝海舟像とは

放送中の大河ドラマ「西郷どん」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)で、遠藤憲一が“幕末の傑物”勝海舟を演じている。

7月29日に放送された第28回で主人公の西郷吉之助(鈴木亮平)と出会った勝は、「幕府なんざ見限ってしまえ」と語り、吉之助に衝撃を与えた。

そこから、吉之助は慶喜(松田翔太)との対立を深め、ついに武力での討幕を決意。慶喜を追放するため突き進む。

そして、9月30日(日)放送の第37回「江戸無血開城」では、江戸総攻撃を進める吉之助が、その前日に勝と対面し、大きな決断をするシーンが描かれる。

吉之助に大きな影響を与えてきた勝を、遠藤憲一はどのように演じていたのか。インタビューを行い、演技のポイントや、役作りの秘訣を聞いた。

■ 勝海舟は「基本は真顔ではなくニコニコ」

――勝海舟を演じる上で、役作りはどのようにされましたか?

俺の中学時代の同級生が高校の教師で歴史担当しているんですけど、大河ドラマやるときは必ずそいつに会うんです。

今回も、明治維新の話を全て解説してもらって、そこから勝が主人公の、ある小説を読みました。その小説から、キャラクターは勉強させていただきました。

――遠藤さんから見て、勝海舟はどんな人物だと思われますか?

とても正直な人で、思ったことを全部口にする人。どんな立場の人でも対応を変えないところが魅力的な気がします。

――演じる上で意識している点はありますか?

とにかく開けっぴろげの男を演じようと思ってました。勝さんを演じる時は、基本は真顔ではなくニコニコしようとしています。

“無血開城”のシーンではあえて、ちょっと違うふうに演じていますけど、勝さんは人が大好きだと思うんで、いつもニコニコしているようにしました。

――「江戸無血開城」のシーンはどのような気持ちで撮影に臨まれましたか?

役作りのために、勝海舟が出ている多くのドラマのうちの2作品見させていただいたんですが、「江戸無血開城」については、2作品とも唐突に西郷が現れて、お互いかしこまって正座して向き合っていたんです。それで、勝が「こうしてくんねぇか」って西郷を脅しかかっているような感じだったんです。

でも、「西郷どん」では、そこに行き着くまでに勝さんと“西郷どん”の交流が描かれているんです。それで、今回の「江戸無血開城」のシーンの撮影の時に、『正装はしたくない』とふっと、思ったんですよね。大事な話し合いの場でも、いつものように普段着で、正座もせずに“西郷どん”に向かい合いたかったので。

監督にも相談したら、「そうしましょう」って言ってくれたので、本当に腹の底から心を込めて演ずるっていうことをテーマに演じました。

撮影に入る前に、有名な「江戸無血開城」の話し合いの時の絵を見せていただいたんですが、その絵の中では、みんなかしこまって向き合っていました。だから、このシーンについては、「イメージと違うんだけど」って言う人がいるかもしれないです。

ただ、俺としては人間同士のやりとりとして演じたくて、俺も亮平くんもいろいろと葛藤しながらだったんですけど、お互いに『できた』と思えたので、いいシーンになったと思います。

――“西郷どん”と普段着で向き合ったということも、人を選んで対応を変えない勝を表現したかったということなんでしょうか。

そうですね。実際にはちゃんと正装して向き合ってたかもしれないけど、フィクションとして俺が感じる勝さんとは違うので。

大事なところだから正装してお願いをするような感じではなく変わらずに、腹の根っこに思っていることをちゃんと伝えるように演じました。

■ 二人に命の大事さを思い出させた“庭の桜の木”

――鈴木さんとはシーンについて相談されましたか?

はい。すごく相談しました。“西郷どん”は、一般の人たちが犠牲になっても、とにかく慶喜を倒そうとしているんですけど、勝さんの言葉で自分がやってきたことは「全て天下万民のためだった」と思い出すんです。

そんな「江戸無血開城」のシーンでは、二人が話している薩摩藩邸の庭にすごく大きな桜の木が咲いてるんです。二人の会話の中で、ふっと庭に目をやると、美しく桜が咲いていて、花びらが散っていて。それを見て、言葉やせりふではなく、改めて「命の大事さ」に気付くっていうしぐさをするようにしました。

撮影の日、朝起きてからずっとそのシーンについて考えてたんですよ。

それで、現場に着いたら「こういう思いで、こういうふうに撮るのどう?」って監督に相談したんです。監督の素晴らしいアイデアもあって、すごくいいシーンになったと思いますよ。

――出会ったころの吉之助の印象と、「江戸無血開城」で向き合った時の吉之助の印象は違いますか?

顔つきも全然違う。俺が初めに撮影入った時は、「お待ちしてましたよ」っていうくらい“ウェルカム”な雰囲気だったんです。でも、今はもう空気違います。

亮平くんの中で、温かい吉之助の雰囲気から、ガラッと変えるような役作りをしてきたんだと思います。

――勝海舟が、吉之助を信用した一番の理由はどんな部分なんでしょうか?

一番は、斉彬(渡辺謙)さんが一目置いてたということがきっかけで、あとは、“西郷どん”に会った時に、なにか大きなものを感じたんでしょうね。

でも結局は、「江戸無血開城」で決断をしたということが大きいんじゃないでしょうか。

――遠藤さんは、大河ドラマに他とは違う思い入れなどはありますか?

(大河ドラマ)「武蔵 MUSASHI」(2003年)までは、大河で自分がどんな役で、どの場面で何をしたかって、あまり覚えてないんです。それまでは地に足ついてなかったんだと思うんですよね。

大河って、セットに威圧があるんです。一つ一つ作り上げているので、毎回力作ができ上がっているんですよね。だから、浮ついた気持ちで入っていくと地に足をつけられない。

それに、照明とかもものすごい高い能力を持ってる人がやっていて、独特の世界観がぶわーって表れてくるんです。俺、「西郷どん」の初日もちょっと“わたわた”現場に入っちゃって、そしたら最初に段取りを確認するときに襖の開け方も分かんなくなっちゃったんです。

それくらいセットがものすごい力があるんで、気分が宙に浮いていた若いころは、目の前のことをただやっていただけで、本当に記憶に残ってないです。

「真田丸」(2016年)くらいからかな、なんとか気持ちが地に着くようになっていったのは。それでも、やっぱり「よし!」ってスイッチを入れないとセットのエネルギーに飲み込まれますね。(ザテレビジョン)

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