sora tob sakana初のメジャーアルバムなのに未完成曲でレコーディング。そのワケは?

sora tob sakana初のメジャーアルバムなのに未完成曲でレコーディング。そのワケは?

3月13日(水)にメジャー1stアルバムをリリースするsora tob sakanaの4人。左から、神崎風花、山崎愛、寺口夏花、風間玲マライカ

風間玲マライカ、神崎風花、寺口夏花、山崎愛の4人組アイドルグループ・sora tob sakanaが3月13日(水)、メジャー1stアルバム『World Fragment Tour』をリリースする。

“オサカナ”の愛称で知られるsora tob sakanaはアイドルシーンには珍しい、エレクトロニカなポストロックを歌うグループとして人気を集め、テレビアニメ「ハイスコアガール」(2018年)の主題歌アーティストと言えばピンとくる方も多いだろう。

サウンドと並び、物語性とメッセージ性の強さもオサカナ楽曲の特徴だが、今回のアルバムは特にそこが色濃く刻まれた1作となっている。

今年、さらなる飛躍を期待されるメンバーは、このアルバムにどう向かい合ったのか。レコーディング秘話から、それぞれのお薦めナンバーなどを聞いた。

■ 未完成状態の曲でレコーディング。そのワケは?

アルバムタイトル『World Fragment Tour』は直訳すると「世界の断片の旅」となり、グループのサウンドプロデュースを行う照井順政が定めたコンセプトは、「非日常の出会いにより、それぞれの日常の景色が変わっていく『ツアー(旅行)』をキーワードに」。

インストから始まる全11曲の流れはまさに、日常からトリップする非日常へのツアーを体験させてくれるものだ。そこに誘ってくれるのが4人の歌声だが、今回のレコーディングにおいて、照井は思い切ったとも言える、非常に面白い試みを行っていた。

風間:レコ―ディング時に使用された曲は、まだ音が全部入っていない未完成のものだったんです。照井さんからは「この状態で捉えたものを、自分なりに歌ってみなさい」というくらいの説明だったんです。

寺口:本当に自分なりに感じた表現で歌ってました。

――1人1人の感性を表現してもらいたかったということでしょうか?

風間:多分、そうだったんだと思います。レコーディングは2018年の夏頃から始まって、本当に手探りのレコーディングだったんですけど、完成した曲を聞いた時は圧倒されました。「こんな曲だったんだ! めちゃくちゃ良い!!」って。

寺口:アルバムのタイトルに「ツアー」とあるから理解はしていましたけど、レコーディング時、そこまでコンセプトに意識はいってなかったんです。

風間:出来上がった音源を頭からフルで聞いた時、そこで初めてアルバムの世界が見えたんですよね。

山崎:すごいって思いました。

寺口:曲ごとに色んな世界が見えて、例えばリード曲の「knock!knock!」は異国感のある曲で、ここから普段の日常を離れての旅行感が伝わってくるし、聞いてくださる皆さんにも感じてもらえるところだと思います。

――確かに非日常へのツアー、アルバムの扉を開くにふさわしい曲だと感じました。サウンド的にはオサカナの尖った感じが強く出つつ、妖しい雰囲気もありますね。

寺口:こういう曲は今までになかったから、聞いていて自分でも不思議な気持ちになります。

神崎:ギターサビのところは聞いた瞬間、格好良さに痺れました。「ダダッダッダダ」って、音に合わせて入れているんですけど、レコーディングの時はここも歌うのかと戸惑いがあったんです。でも、想像していたのと全く違う仕上がりで、「ああ…格好良い…」って、そればかりでした。

――途中オリエンタルな曲調に変わるので余計に引き込まれます。

寺口:「ヘイ!」という掛け声を入れたり、sora tob sakanaにはなかった感じの曲だと思います。

神崎:もう1つ私が好きな箇所があって、ペアで歌うところも少し曲調が変わって、また違った異国感が出ているんです。MVやライブの時に感じてほしいです。

山崎:私はもう、好きとしか言葉がありません。とにかく良いんです。ぜひ聞いてください!

■ 「暇」の歌詞は全部アドリブ。作詞、私たち(笑)

「knock!knock!」は歌詞に「完璧なプランと宇宙遺産」「星座を結んでいる白いライン」とあるように、星間旅行の始まりをイメージさせる曲。ここから未知の体験、どこか懐かしさを覚える風景など、全11曲の新曲が様々な曲想で迎えてくれる。メンバーにとっても新鮮な1枚となった中から、リード曲以外のお気に入りを聞いてみた。

風間:はいはい! 7曲目の「暇」が好きです! 曲って言えるのかな(笑)。これ、歌詞がないんです。これこそ自分なりに考えてという曲で、「暇な気分を自由にやってみて」と言われたんです。「暇!」「疲れた〜」とかを思いつくままに入れて、難しかったけど楽しいレコーディングでした。

寺口:「暇」の歌詞は全部アドリブです。作詞、私たち(笑)。

――だからですか。歌詞カードのない変わったショートミュージックだと思いました。「暇」はアルバムの中の間奏ですね。旅行中、急に訪れた暇な時間にジタバタしてしている様子が音だけで伝わってきます。

寺口:私は「嘘つき達に暇はない」が好きですね。アルバムの中では明るめ、ノリの良いポップな曲で、聞いていて楽しい気分になってきます。韻を踏んでいるところがあって、そういう遊びの歌詞も好きなところです。

神崎:私はどれだろう、迷うなあ。「World Fragment」は好きですね。歌詞に「空を飛ぶ魚」と入っていて、私たちと繋がっているなと思う曲です。

山崎:私は最後の「WALK」が好きです。すごく落ち着いた感じの曲で、落ちサビの雰囲気がとにかく良いんです。

風間:その良いと思ったところを伝えてよ。

山崎:んん…上手く言えないからとにかく聞いてください!

――ラストトラックの「WALK」は非日常のツアーから、いつもの街に。感傷や思い出に浸りながら歩いているような、ゆったりした曲ですね。

山崎:私はこの曲のここ、というのより、アルバム全体を通しての歌詞の流れが好きなんです。よくここにこの言葉を持ってきたな、照井さんさすがだなって思いました。

――歌詞を読み込むと、このアルバムの物語性がより理解できると思います。

風間:私たちがそうだったように、感じ方、好きな曲はそれぞれだと思うんです。どれも良い曲というのは自信を持って言えるので、しっかり聞いてほしいです。

■ 1つのジャンルに捉われたくない。ツアーも実現したい

結成から5年目。アーティスティックな音楽性は、昨今のアイドルシーンにおいて無二の存在感を放っている。主催ライブ「天体の音楽会」ではアイドルだけでなく、バンドアーティスト、アニソンシンガーらを招いての一大ステージを作り、ジャンルの垣根を越えた音楽の楽しさを見せてくれている。

神崎:1つのジャンルに捉われたくない気持ちはあります。歌も活動もマルチでいたい。昨年、「New Stranger」がアニメ「ハイスコアガール」の主題歌に起用されたことでまた世界が広がったと感じたし、もっとアニメのイベント、バンドさんのイベント、音楽フェスに出ていきたいです。

――今後のさらなる飛躍はファンも期待してるところです。どんな曲を歌いたい、どんな活動をしていきたいかを、照井さんとお話されてはいますか?

山崎:してます。この間も照井さんとお話しさせていただきました。

寺口:色々なことにお話しが広がって、結局決まらずじまいでしたけど(笑)。

神崎:以前は与えられた音楽をこなすだけだったんですが、今は考えや気持ちを聞いていただく機会が本当に増えました。

山崎:私は楽しければ何でも良いです。楽しくてやれて、周りを巻き込める大きなことをしたいです。

――アニメの主題歌効果は非常に大きくて、「ハイスコアガール」でオサカナの音楽を知ったというファンも多いようです。人気の高まりに反してですが、まだツアー経験がありませんね。学業との両立もある中ですが、ツアーへの気持ちはどうですか?

寺口:それはもちろん。

神崎:ツアー、やりたいです!

――もしツアーがあるとして、行きたい場所、やってみたい企画はありますか?

山崎:夏の北海道。暑いの嫌いだから、涼しいところに避難したい。

寺口:じゃあ私、冬の沖縄(笑)。やりたいことは、各地のご当地グルメをMC中に食べたいです。グルメを食べたり、グルメを食べたり。

神崎:二度言った(笑)。

――実現すると良いですね。3月からはアルバムのリリースイベントが始まります。曲のセレクトはもう決めていますか?

風間:リリイベって曲数が少ないじゃないですか。今回は全て新曲なので、どう披露するか考え中です。アルバムの色んな曲を聞いていただきたいので、できれば日ごと、回ごとに違うセットリストを組みたいと思っています。本当に11曲で1つの物語になっているので、リリイベで聞いて気になったという方は、ぜひアルバムで通して聞いていただきたいです。

寺口:リリイベだけでなく、ツアーで色んな場所を巡れるようになりたいです。今は東京ばかりですけど、地方から足を運んでも惜しくない、遠征する価値があると言ってもらえるように頑張ります。

なお、2019年5月6日をもってグループを卒業する風間にとっては、本作がsora tob sakanaのメンバーとして最後の作品となる。(ザテレビジョン・取材・文:鈴木康道)

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