田中れいな、息づかいにも心を乗せて… 「赤毛のアン」は“新しい自分”への扉

田中れいな、息づかいにも心を乗せて… 「赤毛のアン」は“新しい自分”への扉

2019年のミュージカル「赤毛のアン」アン・シャーリー役に選ばれたモーニング娘。OGの田中れいな

毎年夏に公演が行われている「2万人の鼓動TOURSミュージカル『赤毛のアン』」が、今年も開催になる。「2万人の鼓動TOURSミュージカル」は、「1人でも多くの方にミュージカルの楽しさや素晴らしさを伝えていきたい」という主催エステーの思いから、1998年にスタート。全国主要8都市を巡るツアー形式、全席無料招待制での実施となっている。

「赤毛のアン」は2003年から始まり、今年で17年目。その主演アン・シャーリー役に選ばれたのは、モーニング娘。OGの田中れいなだ。

“赤毛のアン”と言えば、読書が好きで、空想に思いを馳せるおさげの素朴な少女。一方、“田中れいな”と言えば、博多弁でストレートな物言いをするモーニング娘。の派手なヤンキーキャラ。世間から持たれるイメージは本人も承知の上で、だからこそ新しい引き出しを得られるチャンスだと言葉を繋ぐ。

田中はモーニング娘。在籍時、エースとしてプラチナ期を支え、卒業後もライブ活動を継続させながら、舞台、ミュージカルに出演している。ミュージカルでの評価は特に高く、演技、歌唱ともに大きな期待を寄せられている彼女は、今作にどんな思いを抱いているのか。“赤毛のアン”という大役に臨むその胸中を聞いた。

■ 絶対に「アンじゃない」と言われると思ったけど

――主演決定の知らせはサプライズだったそうですね。

そうなんですよ。お誘いいただいたエステーさんの忘年会で、突然、スクリーンに映し出されて。でも、その瞬間は「やった!」ではなく、「え、どういうこと!?」みたいな感じでした。だって、私が“赤毛のアン”だなんて、絶対に合わないと思ったから。後から嬉しさが込み上げてきましたけど、その時は「え、私で? 本当に良いんですか?」って、まずそれが先にきちゃいましたね。

「ふしぎ遊戯」でも中学生の美朱を演じたし、歳が合わないからやりづらいとか、役に合わないとかを言われたことはなかったんですけど、アンはだいぶ違う気がして。年齢がではなく、アンは、今まで経験してきたどの役よりも心が奇麗で純粋な女の子、というイメージがあったんです。「私にできるかな?」という不安より、見られる皆さんが、「なんで、田中れいななんだよ」って違和感を覚えないかなって。そういう心配ですね。

――アンと言えば、素朴な少女ですからね。作品の時代背景も大きいですし。

そうなんですよね。私、やっぱり顔が派手だと言われるので。でも、顔を素朴にするのは難しいなあって(笑)。田中れいなイコール、派手な髪と顔で、元ヤンキーみたいなイメージを持たれてるじゃないですか。まあそうだし(笑)、モーニング娘。の時からそういう感じできたから仕方がないんですけど、絶対に「アンじゃない」と言われるだろうなって。

でも、こんな素敵なチャンスは二度とないかもしれないし、選んでいただいたからには精一杯やり遂げて、今の私にはない表現の引き出しを増やしたいです。

――アン役は、モーニング娘。OGでは高橋愛さんも演じられています。高橋さんとはアンについて何か話されましたか?

愛ちゃんは、「良かったじゃ〜ん!(#^^#)ぱちぱちぱち」こんな感じでした(笑)。「おめでとう〜♪」みたいな。「すごく楽しかったよ。良い雰囲気だったよ」って、当時の雰囲気を楽しそうに話してくれましたね。「全国各地に行けるのも楽しいよ」って。愛ちゃんのそういう言葉を聞いて、心配もありますけど、楽しみな気持ちも大きくなりました。

――公演を行う8都市で、楽しみにされている場所はありますか?

まず、各地で公演するということ自体が楽しみで仕方がないです。モーニング娘。を卒業してから全国を巡るということが少なくなったので、すごく久しぶりだなって感じます。その中でも特に嬉しいのは、地元の福岡にも行けることですね。

親戚やおばあちゃんにも見にきてほしいんです。歌のステージだとライブハウスになるから、お年寄りの方を呼ぶのは難しくて。でも、「赤毛のアン」ならゆっくり見てもらえるから。実は、お芝居をしている私をあまり見てもらったことがないんですよね。舞台の公演で福岡に行けるというのはそうそうないことだと思うので、そこは本当に嬉しいです。

[■ つい裏方目線で見てしまって

――作品へはどのような印象を受けましたか?

原作ではなく、昨年(2018年)の公演を見た印象なんですが、やっぱり歌がたくさんあるのがとても印象的でした。私、歌がくるとどうしてもそこに集中してしまうんですよね。あと、裏方目線で見てしまったり。アンの衣装、髪形チェンジが多い印象で、「今どうやって早替えしたのかな?」とか。自分もモーニング娘。で経験しているから、ついそういうところに興味がいってしまって。

――印象的なシーンではどうでしょう?

色々あるんですけど、ダイアナ(アンの親友の少女)にぶどうジュースと間違えてワインを飲ませてしまった場面は、「ええ、どうして!? みんな分かってあげてよ!」って、叫びたい気持ちになりました。「間違えただけじゃん! アンは喜んでほしかっただけなのに!!」って、声は出せないから、心の中ですっごい抗議してました(笑)。ダイアナの酔っぱらったお芝居も面白かったです。

――「赤毛のアン」は、田中さんがこれまで多く経験されてきた2.5次元系のミュージカルとは違う、クラシカルな作品です。そこへの対応で考えられていることはありますか?

その時は自分がアンを演じるという目線で見ていなかったから、対応とかは正直まだ答えにくいんですけど、多分、思っている以上にお芝居の表現は違ってくるだろうなと感じています。悲しい時は悲しい、楽しい時は楽しい、そういう感情を今まで以上に大きく、はっきり表現しないとアンにはならないんじゃないのかなって。今は漠然とそういう風に考えています。

■ ミュージカルが大好きになった今、アンをできることが本当に嬉しい

――演者としてはモーニング娘。の時から舞台、ミュージカル、映像に声優までこなしているわけで、キャリアとしては十分ではないですか?

どうなんでしょう。1つ良かったと思えるのが、今のタイミングでアンを演じられることです。私が舞台、ミュージカルを見ることに興味を持ち始めたのはここ2、3年のことで、自分がステージに立つことにはすごく意欲があったんですけど、他の方の舞台を見に行くというのをあまりしていなかったんですよ。今は演じるだけでなく、見ることの楽しさも知って、最近たくさんの作品を観劇してるんです。

もし以前の私のままだったら、やる気はあっても、もっと良くしたいと思う気持ちに大きな差があったと思うんです。今は演じるのも見るのも大好きになった分、今まで以上に考えてアンに向かえると思います。カラーが違うから最初は戸惑うに違いないし、色んな壁もあるだろうけど、乗り越えるものがなければ達成感は得られないし、この期間は精一杯ぶつかって、新しい経験をたくさんしたいですね。

――演じられるアンへの印象、ご自分との共通点で何か気付くことはありましたか?

印象は、やっぱり自分とは違うなというところです(笑)。でも、正反対ではない部分もあって、物事を真っすぐに受け止めてしまうところは同じだなと思います。私も昔はストレートに受け止めがちだったんですけど、今は大人になったことで、「そのままでは受け止めないぞ」って、まずワンクッション置くようにしてるんです。でも、本当は今でも素直に受け止めてしまう性格なんですよ。

――こちらからすれば、見ていると元気をくれる性格、お喋りが好きで、お洒落も好きなど、共通点はたくさん感じます。

ありがとうございます。自分では言えないです、そういうのは(笑)。

[■ 息づかいも歌の表現として届けたい

――ミュージカルであり、歌唱の部分で田中さんに掛かる期待は大きいと思います。一番頑張りたいと思うのもそこでしょうか?

歌は大好きだから頑張りたいのは当然ですけど、歌もお芝居も、1つだと思っています。歌だけど歌じゃない。お芝居の流れの歌だから、感情を乗せながら、歌とお芝居の区切りをいかに消して作っていくかを大事にしないと。「ふしぎ遊戯 -蒼ノ章-」もそういう感じのミュージカルでしたけど、「赤毛のアン」にはそれをもっと強く感じました。

――「ふしぎ遊戯」の1作目「朱ノ章」の時、ミュージカルのリズムがない(遅い)歌は苦手と話されていましたが、今はどうですか?

歌にもよりますけど、今はもう苦手意識はないですね。リズムがないならないで、感情をしっかり込めて歌えます。

ミュージカルって、息づかいまでマイクに乗ってくれるので、悲しく歌いたい時はため息交じりに息多めに、何かを告げようという歌は、わざと大きく吸い込んで。そういう“息”での感情表現も歌と一緒に届いてくれるのがすごく好きなんです。もっと喋っているように歌ってみようとか、そういう風に考えられるようになって、ミュージカルでは悲しい歌、静かな歌が結構好きになりました。

――息づかいまで考えて歌われてたんですね。今度から意識して聞いてみます。

「赤毛のアン」でも、そこは聞いてほしいところです。

――今まで色々な方がアンを演じられてきましたが、ご自身はどういうアンを演じていこうと考えていますか?

事細かい課題は台本が届いて、稽古が始まってから出てくると思いますけど、私は私なりの、「これが田中れいなのアン」という、元気で真っすぐなアンを演じたいと思います。伝え方が難しいんですけど、変に芝居のテクニックを考えず、純粋に、思うままの気持ちを表現できるように。自分が本当のアンになって演じていきたいです。台本が届くのが本当に待ち遠しいです。

――この「赤毛のアン」は、表現者の田中れいなとして、大きなステップアップになりそうですね。

そうなるように頑張らないと。すごく楽しみな反面、「どうなるんだろう?」というドキドキもたくさんあります。「これで平気かな」というレベルで終わらせず、「これなら絶対に大丈夫!!」と思えるまで稽古を積んで、アンになった姿をお見せするつもりです。見ていただいた方々にだけでなく、私自身「夏の公演、本当に良かったな」と振り返られるような結果を残したいです。

でもその前に、「悪ノ娘」(4月公演)、「信長の野望・大志」(5月公演)もあって、この2つも同じくらいの気持ちで臨まないと。舞台もライブも、昨年からたくさんのお仕事が決まっていて、今、絶好調だと自分で思ってて(笑)。頑張り甲斐がある、ずっと先の目標まで見えている状態なんです。

ファンの方にも、「田中れいな、そろそろ飽きてきたなー」と思われないように、「赤毛のアン」から先も、新しいことにどんどん踏み込んでいきたいです。

「2万人の鼓動TOURSミュージカル『赤毛のアン』」は、8月17日(土)〜29日(木)、北海道(札幌)を皮切りに、東北(仙台)、関東(埼玉・大宮、東京・港区)、東海(名古屋)、近畿(大阪)、九州(福岡)、中国四国(広島)にて開催。全席無料招待制で、チケットが当たるオープンキャンペーンは4月より実施される予定。また、共にミュージカルを作り上げるキッズキャストのオーディションが全国で実施される。

【「今も昔もハロプロの曲が大好き!」田中れいな、上を見るからこその自己評価 へ続く。同記事は3月13日(水)昼5時アップ予定】(ザテレビジョン・取材・文:鈴木康道)

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