<いだてん>杉本哲太、“ミスター肋木”永井道明を熱演「生徒たちへの愛を感じます」

<いだてん>杉本哲太、“ミスター肋木”永井道明を熱演「生徒たちへの愛を感じます」

厳しくも愛のある永井道明を熱演している杉本哲太

放送中の大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)。宮藤官九郎のオリジナル脚本で描く本作で、主人公・金栗四三(中村勘九郎)らが通う東京高等師範学校の厳しく頑固な舎監・永井道明役を杉本哲太が演じている。

四三らが、日本初参加となるオリンピックのストックホルム大会に挑んだ「ストックホルム青春編」は、3月31日の放送回で終幕し、4月14日(日)放送の第14回「新世界」から時代は明治から大正に移り、物語は新たな展開へ向かう。

そんな新章の中で、“弟子”の二階堂トクヨ(寺島しのぶ)も登場し、四三らのオリンピックでの敗北を受け、永井の心境に変化も見られる。演じている杉本に、本作のこれからの見どころなどを語ってもらった。

――永井を演じる上で意識していることはありますか?

ほとんど怒っているか、大きな声を出しているか、要するにテンションの高いすごく厳しい舎監の役ですよね。

でも衣装が、生徒と同じ黒い学生服なんです。それに、実際に永井さんが寮の生徒たちと同じ服を着て、満面の笑みで一緒に映っている写真が残っていて。そういうのを見ると、生徒たちへの愛を感じます。

どこか父親のような思いもあったのかなと思うんです。だから、その裏返しで怒ったり…あれが愛情表現というか。不器用な人なので、親心があるからこそ怒ってしまうんだと思って演じています。

――確かに怒ってるシーンは多いですが、古舘寛治さんが演じている可児徳との共演シーンは、コントのような感じもあります。

そうですね。2人のシーンについては、一度、古舘さんからプレッシャー掛けられました(笑)。

役所(広司)さん演じる治五郎さんとの東京高師の校長室のシーンを集中して撮影していたときの空き時間に、古舘さんが隣に座ってきて、「哲太さん、明日はあのシーンがありますね。楽しみだなぁ。あそこは、ちょっとアドリブで哲太さんとやれたら、楽しいなぁ」なんて言うんです。

2人で酔っぱらって、くだを巻くシーンについて、楽しく面白くふくらませてやっていこうよ、ということでした。実際やってみて楽しかったです。

■ 勘九郎さんの表情と、四三の登場には、ちょっと鳥肌が立ちました

――永井は日本のオリンピック参加には反対を主張していましたが、そこからの心境の変化を、どのように演じられたんでしょうか。

永井はただ反対しているわけではなく、当時の日本人の体格、体力、技術などを含めて見て「無理ですよ」と言っているんですよね。

永井自身が、(海外で)「スウェーデン体操」を習ってきて、ロンドンオリンピックも現地で見てきて。、当時、マラソンの走法や、体の鍛え方は、西洋に比べてまだまだ確立されていなかったですし、マラソンは一歩間違えたら危険なスポーツということを重々分かっている人なんです。

永井が羽田の予選会(2月3日放送第5回)のときに言っていた「死人が出るぞ」っていう言葉は、大げさにも聞こえるかもしれませんが、オリンピックを見てきたからこそ出てきた言葉だったと思うんです。

その気持ちの変化のきっかけは、やっぱり四三の登場だと思います。

羽田の予選会で、(世界記録を大幅に更新する)あれだけのタイムが出たことで、「参加できるんじゃないか」と、可能性は十分あることを永井も確信したんじゃないでしょうか。

――永井から見て、四三はどんな存在だったと思いますか?

そういう描写はありませんが、かわいがっていたと思います。愛情があるゆえの厳しさというか。

僕も放送を見ていて、羽田の予選会のシーンで勘九郎さんが隈取のような姿で登場したとき、笑っちゃいましたけど、感動もしました。

他にもたくさんありますけど、あのシーンは忘れられないですね。勘九郎さんの表情と、四三の登場には、ちょっと鳥肌が立ちました。

――ストックホルムから帰国した四三に、オリンピックの敗因を問い詰めるシーンがありますが、その撮影はどのような気持ちになりましたか?

やっぱり時期尚早だったのかなっていう悔しい思いですね。まだ未熟だったのか日本人はと。

そもそも、永井がスウェーデン体操や肋木を推奨してたのは、海外のスポーツの現場を見てきて、日本人の体力が西洋人にくらべて劣っている、という意識があったからだと思います。

――四三の登場が永井にとって衝撃だったというお話もありましたが、演じている勘九郎さんの印象はいかがですか?

もうね、ミスターストイックマンです。僕はミスター肋木(ろくぼく)なんですけど(笑)。

この間も、撮影前にジムに行って筋トレとかをして、撮影終わってからジムに行ったって話していて、体作りに余念がないんですよ。

実際、撮影でもほとんど走ってますし、それだけでも大変なことだと思うんですけど、トレーニングだけではなく、もちろん芝居も…どこからどう見ても360°四三さんになってて。

役作りというか、もう乗り移っちゃってる感じがします。四三さんなのか勘九郎さんなのか分からないような、そこに至ることは相当なすごいことだと思うので、ミスターストイックマンと呼ばせてもらってます(笑)。

――体操器具の「肋木」を広めた人物として知られている永井を演じる上で、杉本さんも体作りをされたんでしょうか?

肋木って、けっこう体の柔らかさが必要なんですよ。僕は体硬いんでね、柔軟とかストレッチとかは、一応クランクインする前にやっていきました。

でも、肋木の指導はしてますけど、永井さん自身が実践して見せてるシーンって実はそんなになかったんですよ。

ところがある日、東京高師の食堂のシーンの撮影で、一木正恵さんっていう監督に、現場でいきなり「哲太さん、ここはちょっと肋木に足とかかけて体幹を鍛えながら…的な感じでやりましょう」って言われて。

「そんな突然言われても」って驚きましたよ。大変なことなんです。肋木って地味に見えるけど難しいんです。ぶら下がってるだけでも、自重で手が痛くなって、30秒もぶら下がっていられない。

事前に言っていただいてたら、それなりの準備もできたんですけど、なんとかやりました(笑)。

――肋木には苦労されたんですね。今回の撮影で、他にも苦労されたことはありましたか?

僕は左利きなんですけど、永井は右利きなんです。

永井が、学生時代に“テニスボーイ”だったときの回想シーンの撮影のときは、「左でやらせてもらえませんか?」って小さな声で聞いたら「ダメです」と…。

「CGとか使って反転させて、左で打ってるけど右で打ってるふうな感じにしたらどうですか?」って聞いても「ダメです」って…。

僕、右はまったく使えないので、書くのもおはしも全部左なんです。(大河ドラマ)「龍馬伝」(2010年)に出演したときも、坂本家でご飯食べてるシーンが多くて。だから右で練習しなきゃと思って、あずきを買ってきて、小皿を二つ用意してつまんで移していくっていう地味な練習をしていたんです。

ところが、食べるシーンでは「つまむ」ものって出てこないんですよね。ほとんど魚とか、練習した動きとは違ったので、役に立たなかったです(笑)。

■ オロオロしてる中間管理職的な感じが、あの時代でもいるんだなって(笑)

――魅力的なキャラクターがたくさん登場する作品ですが、杉本さんが好きな人物は誰ですか?

難しいですね。好きな登場人物…みんな個性的でそれぞれ魅力的なキャラが立ってますよね。

わりと、可児さんとか好きです。オロオロしてる中間管理職的な感じが、あの時代でもいるんだなって(笑)。

――第14回からは、永井の弟子・トクヨも登場します。

ああ、弟子が。やっと永井派の人物が出てくるんです! トクヨは永井イズムを持ってる人物ですから(笑)。

寺島さんとは、他の仕事でも何度も一緒になってるから、息が合うんです。きょうだい役を5〜6回やったこともあるくらい。

今回は、男女の関係ではないんですが、ちょっと永井がトクヨに“ほの字”な感じを出しているんです。だから、永井がかわいらしく見えると思います。(ザテレビジョン)

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