霜降り明星せいやが語る“純度100%のお笑い番組”の面白さと難しさ「『ドキュメンタル』というバケモノに好かれる芸人になりたいです!」

霜降り明星せいやが語る“純度100%のお笑い番組”の面白さと難しさ「『ドキュメンタル』というバケモノに好かれる芸人になりたいです!」

せいや=1992年9月13日生まれ、大阪府出身。高校生漫才コンテストで知り合った粗品と、2013年にお笑いコンビ・霜降り明星を結成

松本人志企画・プロデュースの下、芸人たちが一つの部屋に集まり、賞金1000万円を懸けてあらゆる手を使って笑わせ合う「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」のシーズン7が、現在 Amazon Prime Videoで配信中だ。今シーズンでは、松本が“皇帝”と評するハリウッドザコシショウをはじめ、宮迫博之(雨上がり決死隊)、たむらけんじ、後藤輝基(フットボールアワー)、ハチミツ二郎(東京ダイナマイト)、ノブ(千鳥)、そして初参戦となる小籔千豊、加藤歩(ザブングル)、みちお(トム・ブラウン)、せいや(霜降り明星)の10人が出場し、過去最高といっても過言ではない熱い笑わせ合いバトルを展開。ドキュメンタルファンの間でも好評を博している。

そこでザテレビジョンでは、10人の精鋭たちの中から、「M-1グランプリ2018」(テレビ朝日系)も制覇した期待のホープ、霜降り明星のせいやを直撃。念願だったという「ドキュメンタル」初出場の感想を改めて聞いた。(以下、ネタバレがあります)

■ 収録が始まるまでずっと恐怖と喜びのはざまにいました

──まずは、「ドキュメンタル」から招待状を受け取ったときの気持ちを改めてお聞かせください。

芸人やったら、みんな大好きな番組なんで、「ついに来たか!」という感じでしたね。何よりでかかったのは、“松本人志さんが選んでくれた”ということ。「(人志松本の)すべらない話」(フジテレビ系)に出させていただいたときもそうだったんですけど、松本さんが自分に期待してくれているというのが、やっぱり一番うれしかったです。

でも同時に、「ドキュメンタル」っていう番組は、本番が始まるまで他に誰が出るのかほんまに分からないので、怖さもありました。ここで失敗したら、松本さんに「せっかく呼んだのに」ってがっかりされるんちゃうかっていう恐怖(笑)。「ドキュメンタル」のファンの熱さももちろん知ってますし、シーズン7まで続いてるこの番組を、僕のせいで台無しにするわけにはいかないぞと。だから、収録の日まではずっと、恐怖と喜びのはざまにいたっていう感じですね。

──では本番当日、部屋に入って共演者の顔ぶれを知ったときは?

僕が部屋に入ったときにまず、後藤(輝基)さんとノブさんのお2人が見えたんですよ。「やった!」と思いましたね。「ドキュメンタル」って、ツッコミの役割がめっちゃ大事やと思うんです。特に僕はボケですから、ツッコミの人がどれだけ活躍しようが、自分とかぶることがないんで。しかも後藤さんとノブさんといえば、“ツッコミの2トップ”やないですか。これはすごい回になるなと思いました。

ただ、そこにもう一人、加藤(歩)さんの姿が目に入ってきて、「ヤバい、最悪や」と(笑)。これは僕とぶつかるぞ、と思ったんです。本番前までは、自分はおそらく一番若手ですし、先陣を切ってボケまくっていこうと思ってたんですね。でも、加藤さんは絶対パワー100%で来るやろうから、僕はボランチ的な動きもした方がいいんかなと、急きょ頭を切り替えて。で、さらに(ハリウッド)ザコシショウさんが入ってきたときに、「これ、俺がトップでボケるの無理やな」って諦めました(笑)。

やっぱり、出演するメンバーによって“出方”って変わるんですよ。それが「ドキュメンタル」の奥深さというか。視聴者の方にしてみたら、「こんな人が出るのか」っていうサプライズの楽しみがあると思うんですけど、プレイヤーからしたら、本番当日にメンバーが分かるまで何も計算できないっていうのは、なかなかつらいんですよね。

■ “泥臭く”っていうのはまだ甘い。泥どころか、ヘドロぐらいにならないと(笑)

──とはいえ、招待状をもらってから本番当日まで、いろいろと準備はされたと思うんですが、準備していたのに披露できなかったネタなどはありましたか?

あ、それはいっぱいあります。ただ、事前にいろいろネタを考えたんですけど、シーズン6までを見返すと、「これ、もうやってるんや」っていうこともいっぱいあって。けっこう出尽くしてるんですよね。だから、番組の中でも言いましたけど、ここはもう、自分にできることをひたすら真っすぐ、泥臭くやろうと思いました。番組に合わせて準備するというよりは、元々自分ができることを持っていったっていう感じです。

──その「真っすぐに、泥臭く」という当初の目標は、本番で達成できましたか?

案の定、ザコシショウさんと加藤さんのパワーに押し負けた感じで…(笑)。やっぱり「ドキュメンタル」はそんなに甘くないなと。お2人に負けずに自分も前に出なあかん、自分なりのマックスを出そう、という気持ちで頑張るんですけど、「ドキュメンタル」の規模に負けてしまうんですよ、自分のボケが。収録の最初の方は、計算しながら攻撃を仕掛けていけるんですけど、中盤を過ぎると、皆さん手数がなくなってきて、“地肩”の戦いになっていくんです。だから、“泥臭く”っていうのはまだ甘いんですよ、泥どころか、ヘドロぐらいにならないと(笑)。

■ ゾンビになったときのメンタルって、ほんまにエグいんですよ(笑)

──今回、せいやさんにとって一番手ごわかったプレイヤーは…?

やっぱりザコシショウさんですかね。手ごわいというか、松本さんもおっしゃってましたけど、あの人は“皇帝”なんで。自分が出る回に皇帝がいたっていうのは、運がいいのか悪いのか…(笑)。番組の中でも言いましたけど、ザコシショウさんの映像ネタなんて、あんなもん罰金1000万円でも笑うやろっていう(笑)。あれで笑わないなんて、僕は今世では無理ですよ、生まれ変わって別の人間にならない限り、絶対に耐えられないです(笑)。

──「ゾンビタイム」(※退場者がゾンビとなって復活。出場者全員を笑わせることができたらノーコンテストになるというルール)では、坂田利夫さんの物まねを披露されていましたね。坂田師匠が次々とダメ出しをしていくというネタでしたが、あれはご自身の中でも達成感があったのでは?

いやいや。番組の中で松本さんはめっちゃ笑ってくださってますけど、現場では誰一人笑ってないですから(笑)。

「ゾンビタイム」って、めちゃくちゃ独特の時間で。正直、“負けた”っていうヘコみもありますし、えげつないくらい自分を奮い立たせないとダメなんです。「ドキュメンタル」は基本、自分が笑かされそうなときでも、相手に隙ができたら、そこを攻めて逆に笑かしにかかるっていう反撃のチャンスがあるやないですか。でも、「ゾンビタイム」というのは、生き残ってる人からしたら、防御に徹することができる時間なんですね。ゾンビを笑かす必要はないわけですから。だからゾンビの側は、ただただ攻撃するしかない。そのときのメンタルって、ほんまにエグいんですよ(笑)。正直、あのときは全部地肩で行くしかないって肚を決めて、一切計算なしに、思いつくまましゃべってました。頭真っ白で、駄々っ子みたいに半泣きになりながら(笑)。言うたら、坂田師匠が乗り移ってたような気がします。

──あとで先輩の芸人から怒られたりしませんでしたか?

あ、そこは誤解しないでいただきたいんですけど、あの物まねは、決して坂田師匠をバカにしているわけではなくて。「坂田師匠がそんなこと言うわけないやろ」っていうような的外れなことを言う、という芸なんですよ。単なる物まねではなく、そこに“的外れなダメ出し”というボケが1個乗っかってるんです。宮迫(博之)さんや後藤さんという圧倒的に実力のある先輩方に、的外れな説教をするっていうボケが。ですからあの物まねには、坂田師匠に対しても、宮迫さんや後藤さんに対しても、毒っ気は一切ないんです。

■ 「ドキュメンタル」の笑いって、実はめっちゃ繊細なもんなんやと思います

──大ファンだった「ドキュメンタル」に出演してみて初めて分かったこと、発見したことはありましたか?

松本さんがよく「『ドキュメンタル』は二次災害が起こる」とおっしゃってるんですけど、今回も二次災害が何回か起こってて。で、二次災害の笑いっていうのは、狙って起こるものではないんだなっていうのは、改めて思いました。熱量を持って、真っすぐ笑いに向き合っているときに起こるものなんやろうなって。

今回、ピザの出前を取るくだりがあって、僕が電話をかけて、それが意外な結果になったんですけど(笑)、あれも僕としては、ただ普通に注文しようとしてただけなんですよ。あれこそが「ドキュメンタル」の面白さなんやと思いますね。極限状態から生まれる意図のない笑い、というか。あと、それを堪えている、みんなの顔の面白さ(笑)。狙ってやる笑いも、もちろんおもろいんですけど、狙ってない笑いのすごさが味わえるところが「ドキュメンタル」の真髄のような気がします。とは言うても、狙ってない笑いを意識し過ぎると、それは狙った笑いになってしまうし、そこで「俺、笑いの運持ってるわ」なんて思ってしまったら、全然おもろくなくなるし。そこらへんが難しいんですよね。だから、「ドキュメンタル」の笑いって、実はめっちゃ繊細なもんなんやと思います。

──「ドキュメンタル」は2018年のAmazonランキング大賞のPrime Video部門のプライム会員特典TV番組ランキングで1位を獲得するなど、大人気のコンテンツですが、その人気の高さの理由はどういったあたりにあると思われますか?

「余計なものが一切ない、純度100%のお笑い番組だからやと思います。それって、日本人がそれだけおもろいものが好きで、おもろいものを求めてるってことやないですか。素晴らしいことやなと思いますし、そんなおもろいものを生み出した松本さんって、やっぱりすごいなと思います。

でも、無駄なものがない面白さ100%の番組って、見る分には楽しいんですけど、プレイヤーからすると、こんなに難しいものはないんですよね。ただただ、ひたすら地肩の強さが求められるっていう、バケモノのような番組で(笑)。でも、他の芸人の地肩を間近に見ることができるのは、絶対にプラスになることですから。僕もぜひまた呼んでいただきたいですね。そしていつか、「ドキュメンタル」というバケモノに好かれる芸人になりたいです!(ザテレビジョン)

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