主演男優賞は菅田将暉 『ドラマには夢がある、と思えました』【ドラマアカデミー賞】

主演男優賞は菅田将暉  『ドラマには夢がある、と思えました』【ドラマアカデミー賞】

第100回ドラマアカデミー賞で主演男優賞を獲得した菅田将暉

「第100回ドラマアカデミー賞」主演男優賞に輝いたのは、「3年A組―今から皆さんは、人質です―」(日本テレビ系)で高校教師の柊一颯(ひいらぎ・いぶき)を演じた菅田将暉。

一颯は魁皇高校3年A組の担任であり、卒業式の10日前、学校に爆弾を仕掛けて生徒たちを教室に閉じ込める。そこから教室で「俺の授業」を展開し、クラスの女子生徒が自殺した事件を全員で振り返り、生徒たちに「変わってくれよ」と命懸けで訴える。

菅田はそんな姿を気迫あふれる演技で体現。「何を考えているか分からない恐ろしさと涙ながらに授業する熱さに鳥肌が立った」「最終回、屋上の演説シーンに菅田の“全身全霊”を感じた」と、多くの視聴者がその熱演に圧倒された。民放のゴールデン・プライム帯ドラマ単独初主演での受賞となった菅田に、受賞の感想と作品に懸けた思いを聞いた。

■ 異常なまでの熱量…「その様を残しておきたかった」

――主演男優賞を受賞されたご感想をお聞かせください。

ありがとうございます。(民放ゴールデン・プライム帯)連ドラ単独初主演というのもありますが、「3年A組―」は僕にとって初めて企画が始まる段階からプロデューサーさんや脚本家さんとディスカッションしながら作ったドラマ。「これがだめだったら、もうドラマ主演はできないかもしれないな」というぐらいの気持ちで演じていました。

きっとドラマを見た人は異常なまでの熱量と暑苦しさにびっくりしたと思うんですよ。今はそういう暑苦しいドラマがないけれど、人間がびっくりするほど汗をかいていたり叫んでいたりする、そういった様を平成のうちに残したいとも思っていました。だからこそ、今回、こうして反響をもらえてうれしいですね。

――菅田さんから学園ドラマで教師役をやりたいと希望されたということですね。

僕が学生のころは、日本中の中高生が人気の学園ドラマを見ていて、放送翌日はクラスでもドラマが共通の話題になっていました。今回はそういうものが作りたかったんです。俳優の先輩たちが人気の学園ドラマに出ていた姿もたくさん見てきたので、自分が教師役をできる年代になったからこそ、このジャンルを残していかなきゃなという考えもありました。だから、主演男優賞はもちろん、作品賞などをもらえたこともすごくうれしいです。

学園ドラマといっても、衝撃的な題材でもあり、先生が生徒を人質に取り、殴る蹴る刺すというようなことをやっているので、よく最終回まで無事に乗り切れたなとも…(笑) 。そういう表面的に見えるところではなく、作品に込めた熱量が伝わったのかなと思います。

■ 意識したのは「お客さんにどれだけ集中して見てもらえるか」

――生徒を挑発したかと思えば熱く説教をする、変化の激しい演技が注目を集めました。

結果的に、「この人(一颯)はどこまで本気で、何がしたいんだろう」という興味で引っ張れたのかなと思います。伝えたいメッセージはありつつ、ちゃんとミステリーにしたかったし、エンターテインメントにしたかったので、そのバランスが良かったのかな。

現場としてはドキュメンタリーに近い感覚で演じて撮影をし、それをシンプルにお客さんに見てもらおうと思っていました。一颯は生徒と対峙しているわけですが、僕らの戦う相手は完全に視聴者だったので、その戦いに持ち込めただけでも良かったのかなと思います。

――テレビドラマの見られ方を変えたかったということでしょうか?

僕自身もそうですが、やっぱりドラマを見るとき、どうしても“ながら視聴”をしてしまうじゃないですか。そういうお客さんにどれだけ集中して見てもらえるかということは意識しました。そこは本当に挑戦でしたね、

最近、悔しいけれど、僕たちも、スタッフさんも危機感を抱えています。「これからのドラマ、どうしよう」「ドラマにはもう未来がないんじゃないか。夢がないんじゃないか」というような風潮があるけれど、今回この作品をやってみて、最終的に「夢があるな」と思えたので、それだけでもやった甲斐がすごくありました。そう思えて幸せですね。

■ 真っ向勝負だった生徒たちとの“セッション”…「みんな愛しかった」

――一颯の病気が進行しやせ細っていく様が印象的でした。体重はどのぐらい落としたのですか?

病気になってやせるというのは実はリアルではないかもしれないけれど、それをやったのは単に“誠意”ですね。見る人にひとこと、ふたことのセリフをちゃんと聞いてほしいから、「そのためだったらなんでもします」と思って、僕なりの誠意でやったことでした。体重は正確には計っていませんが10キロちょっとぐらい落として、ズボンのベルトの穴は5個ぐらい減りました。でも、やっぱり体重が減ると体力もなくなるので、大変でしたね。

インフルエンザなどが流行っていた時期で、冬で免疫力が落ちる中、撮影では同じスタジオで3ヶ月間、叫んでいたりするわけです。でも、僕が風邪をひくわけにもいかないので、なんとか乗り切るしか…。本当に初めてだったんですよ、お芝居していて鼻血が出るなんてことは。終盤、黒板に手を置いてナイフで刺すシーンでは鼻血が出ちゃって、生徒役の子たちもびっくりしていました。血を流す場面で鼻血って、狙いなのかリアルなのか分からない(笑)。きっと僕の鼻の免疫が限界になったんでしょうね。

――生徒役の30人のキャストとの共演はどうでしたか?

いや、みんな愛しかったですね。「かわいくて仕方ない」という感じ。僕としても、座長として、また年上の先輩として立ち振る舞えるようになったのは今回が初めてでした。

クランクインしたときはどうしようかなということだらけだったんですよ。教室に入ると、みんなが「こいつ食ってやる」って目で見てきて。僕も「お、いいぞ。でも、俺が絶対一番面白いから」って大人気なく(笑)。やっぱり1対30なので、僕は30人がいつどんな球を投げてきても返せるようにしなきゃいけなかった。生徒たちを黙らせなきゃいけないけれど、言うことを聞くような年代ではないし、そこでのセッションが面白かったですね。

クランクアップしてからもみんなが連絡をくれたり、「ご飯、連れてってください」とか言ってくれたりします。本当に先生と生徒のような距離感というか、そういう眼差しで接してくれる関係というのは“一生もん”だと思っています。(ザテレビジョン・取材・文=小田慶子)

関連記事(外部サイト)