フィギュアスケート 今季注目のジュニア男子選手【後編】

フィギュアスケート 今季注目のジュニア男子選手【後編】

須本光希、ショートプログラムの演技

■ 「トリプルアクセルを完成させたい」須本光希

昨シーズン、急成長を見せた須本選手。今季の仕上がり具合は良好とのことだが、この試合に関しては不本意な出来栄えに終わってしまったようだ。ショートプログラム後に話を伺ったところ、「6分練習で氷に乗った時、いつもと感覚が違い、滑りは納得が行きませんでした」

とても素敵な演技で、観客の反応も良かったのだが、「練習ではもっと出来ています。(ホームリンクの)臨海スポーツセンターの氷は柔らかく、今日のリンクは硬かったので、感覚が合いませんでした。公式練習がなかったことも影響しました」

大会スケジュールの都合から、試合会場での公式練習が設けられておらず、氷の感触に敏感な選手は特に苦労したようだ。

フリースケーティングにおいてはショートプログラムよりは気持ちよく滑れたというが、ジャンプの出来栄えに悔いが残ったという。この1か月、必死で練習してきており、特に試合前の1週間はフリーの曲かけ練習で一度もミスをしていなかったとのこと。シーズン初戦として、決して悪くないスタートだと感じたのだが、本人にとっては納得の行かない演技だったようだ。

ジュニアグランプリのチェコ大会に出場が決まっていた須本選手にとって、この試合は直前の調整との意味合いが大きかった。そして先週開催されたチェコ大会において、彼はノーミスの素晴らしい演技を披露した。必死に練習してきたという、その成果が実を結んだ形だ。ただ、総合成績は5位。世界の上位選手にはどうしても技術点で差を付けられてしまうのが現状だ。その理由も須本選手は十分に理解している。

「全日本ジュニアまでには、トリプルアクセルを完成させて、3+3も後半に入れられるようになりたい」

世界ジュニアに出場し、トップ選手達と戦うためには必須のことだ。スケーティングの美しさにはかねてより定評のある須本選手。更なる得点の上積みを目指し、着実に進化を遂げていることを感じさせるシーズン序盤の戦いぶりとなった。

■ 表現力が魅力の三宅星南

今週末のジュニアグランプリ日本大会に出場する三宅星南。昨シーズンよりも体格が大きくなり、同時に滑りも大きくなったように感じる。この大会での演技は、ミスはあったが、三宅選手らしい表現力で会場を沸かせてくれた。

「最近、調子は落ちていたんですが、これからジュニアグランプリに向けて仕上げていきます。トリプルアクセルの確率が今はあまり良くないんです。まだスタミナが足りないと感じています。フリーの後半は体力不足で膝に来ていました」

伸びた身長をまだ持て余しているようにも感じるが、足の長い、スタイルの良い選手へと成長している。体力が追い付いてくるのが実に楽しみだ。

三宅選手といえば、表現力が魅力の選手だ。以前は尊敬する高橋大輔の色を強く感じる演技が多かったが、今シーズンは段々と、自分の色が出せてきているように感じる。

「プログラムを理解して表現するために、題材になった本を読んだり、映画を観たりして研究しています」

今季の目標として、トリプルアクセルを決めて自己ベストを出すこと、そして全日本ジュニアで表彰台に乗り、全日本に出ることを挙げてくれた。まずは今週末のジュニアグランプリ。成長した姿を観られることを楽しみに待ちたい。

■ 「スケート人生を変えるために優勝を狙う」山隈太一朗

最後に取り上げるのは山隈太一朗。昨シーズン、全国中学校大会で優勝し、復活を遂げた選手だ。全中優勝で再度注目を浴びたが、この春から不調の時期が続き、注目がプレッシャーになっていたという。ただ長光先生からは「大きな試合を勝った後は調子が落ちるものだ」と言われ、今は過去の話だと吹っ切れているという。

今年、高校1年生の彼だが、とても背が高くなった。

「今は172〜3センチあります。身長が伸びて、自分の感覚と、実際に自分がやっていることとのずれがどんどん激しくなって、ジャンプのリズムが狂っている状態です。ただ身長が伸びたことで、体を大きく使う、ダイナミックな表現が出来るようになったと思います」

今季の目標は、全日本ジュニアで優勝することだという。

「今まで全日本ジュニアでは良い演技が出来ていないんです。これからのスケート人生を変えるために、自分をレベルアップさせて優勝を狙いたいです」

今現在は不調だが、夏の間にトレーニングを積み、試合を重ねて感覚を研ぎ澄まし、全日本ジュニアまでには今よりもレベルアップしたいと語る。その強気なコメントに、必ず秋には素晴らしい演技を披露してくれることと意を強くした。【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】

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