SMAP分裂で飯島さんも退社…ジャニーズ事務所への就職を考察|平本淳也のジャニーズ社会学

SMAP分裂で飯島さんも退社…ジャニーズ事務所への就職を考察|平本淳也のジャニーズ社会学

Photo by Pixabay(写真はイメージです)

 ジャニーズに入れるチャンス! そんな歓喜的な声が上がったのは「マネージャー」の募集広告。ジャニーズとは言っても今回はスタッフの方だ。ジャニーズの募集が大手転職サイトに掲載されたのは初めてのことだろう。その昔、アルバイト雑誌にも掲載されていたが、ジャニーズの人気も安定してきたと同時にタレント以外にもスタッフ志望者も急増したことから今回の一般募集は珍しいケースとなった。

 ジャニーズは人気企業なのであえて外部に募集をかけることもなく、ジャニーズのホームページでは「スタッフ募集」も随時に公開中なので募集そのものは特に珍しいこともなかったが、社外の専門企業(リクルート)に委ねたところでジャニーズも人手不足の波に押されているのかと心配される声もあがっている。

 SMAPと同時に30年も仕えて屋台骨ともなっていた飯島さん(元チーフマネージャー)を失い、また事務方トップクラスの大御所さんから中堅クラスのスタッフ退社や移籍も相次いだ中での”一般公募”だったので、ネット界隈ではちょっとした話題になっていた。

 ジャニーズ事務所は基本的に来るものにおいては拒まぬ主義で敷居は意外と低い。「ジャニーズに入りたい!」という意気込みが本気であれば割と話を聞いてくれるほうで、また書類があれば預かってくれるというところもある。余程の失礼かオカシイ言動でもない限りは門前払いなどしない親切な会社なのだ。

 ただ、その門戸は広いのだが正式(雇用)に選ばれるかは話が別となる。そこはタレント(ジュニア)に負けず劣らず人気があるジャニーズ社員への就職なので致し方がないが、芸能界の最大手にもなると強い責任感を持つ人物でないとならない。ジャニーズは応募者の数からすると選ばれるのは特に優秀と認められた人材ということだ。

 ジャニーズは過去にも同様(マネージャー募集)の募集広告を打っていたこともあるが、基本的な応募条件は運転免許証(運転経験必須)などほぼ同じで、表面的な大きな違いは”大卒”という学歴が加わったという点で大手なら当然か。また国策に従い、雇用の年齢制限を広くしたいところだが、そこは下積みとしてキャリアを積んでもらうという理由から30歳までと制限しているのも致し方ないところだろう。

 体質的にブラック企業だと揶揄されるジャニーズ事務所だが、企業体としては非常に健全かつ優秀で、世間に批判されるようなことはない。ジャニーさん&メリーさんが好き勝手なやっているような印象もあるだろうが、規模としては大手芸能プロダクションであり、その地位を長年保持し続ける優良企業だ。

 そんなジャニーズ事務所だから、業界内の経験者にもスタッフとして入りたいという人は多く存在する。テレビや新聞などの大手メディアとのみ付き合い、1回で数万人を動員できるホールやスタジアムでのイベントを基本とするジャニーズの仕事は魅力的であり、得られる経験値も業界人にとっては大きな財産となる。だが、経験者だろうとも芸能界はコネクションで形成されている世界なので、移籍雇用の大半も紹介や伝手(ツテ)によって賄われることが多い。

 実際、ジャニーズ事務所の中途入社組には優秀なスタッフが揃っている。以前は芸能プロや制作会社やレコード会社のプロデューサー、ディレクターといった日本エンタメのトップが揃っている。例えば、(株)ジャニーズ・エンターテイメントの代表、小杉さんは大手レコード会社の名プロデューサーからジャニーズ入りしている。

 こうした優秀なスタッフはタレント並みの扱いにもなり、非常に高い評価と待遇を得ている。特にコンサートやイベントに関するスタッフで直接雇用する場合は、制作の全般を理解できる即戦力が必要とされるので一般公募からのチャンスは薄い。かの飯島さんも過去にソニーのプロデューサーだった酒井さんからの紹介でジャニーズ入りしている。また制作やマネージャーなどは基本的にトップクラスの経験者が優遇されて移籍してくるが、多くは伝手あってのことで今回のように一般からの応募ではない。また業界関係者からの紹介は雇用する側も安心材料にもなるので一般公募より容易だ。

 人手不足も深刻だが、ジャニーズも企業として人を育てないとならない立場であり、今では広く募集をかけて雇用の相互的なチャンスを伺っていると言える。コネクション内だけではどうしても人材不足になり、即戦力と同時に生え抜きも欲しがるのはプロ野球が好きなジャニーさんならではの考えだ。

 またコネという意味では、ジュニア上がりのスタッフという入り口もある。小学生や中学生くらいからジュニアになれたはいいものの、食うに困るレベルのアイドルというのも辛い。そこで退所して就職するならば、ジャニーズ事務所のスタッフという選択も悪くない。20歳を超えると多くがぶつかる大人への階段、というより壁か。学生ならまだしも高卒や専門なら就職先も有名大手は難しく、また条件にしても満足感には少々欠けるだろうが、芸能プロとして、またエンタメ業界の有名大手のジャニーズなら文句はないはずだ。

 夢と現実をスパっと切り替えられる賢い子であれば、ジャニーさんに相談して付き人や雑用のほか、コンサートイベントスタッフや営業などから修行に入るのが王道のコースだ。そうしてキャリアを積んでマネジメントや制作を任せられる業界の一流を目指すことになる。若いうちは辛いことが多いが、なんとかもう少し、あと1年と続けていくことで粘り続けたい。

 だが、それ以前にスタッフとしても、ジャニーさんが認めないとどうにもならないのが実際のところだ。一般からの応募だとジャニーさんやメリーさんも関与しないが、ジュニアからスタッフとなるとそうはいかない。ある程度の年齢になって人間性や信頼性を認められるとジャニーさんから、「ユー、付き人、やってみない?」とか「作る方に興味ある?」という声がかかる子もそこそこいる。

 つまり、ジャニーズではタレントとしては使えそうにないが、真面目で責任感もあるのでスタッフに向いているかも……という人材にはそういった路線変更もあるということだ。名選手が名コーチとも限らないという考えもある。またスタッフといっても事務系、営業系、制作系と様々だが、ジャニーズの場合は”指導系”というのもある。例えば、ダンスが抜群に上手いがタレント性がないという場合、振付などを含めた指導者の選択もあるわけだ。

 実際に、人気タレントから転身してジャニーさんの運転手となり、その後会社を賄えるまで出世した者もいる。ジャニーズにおいてはタレント一考でもなければ裏方への道もあるので、それもチャンスと捉えたら人生も楽しいものになる。一度、ステージに立ってしまうと、タレントかスタッフかの選択には悩むところだが、求められる役割はこれまでの正反対になる。優秀にこなせないとタレント時代と同じでうまくいくはずがない。また、スタッフになりたいという本人の意向があっても実際に雇用となるのは簡単ではない。ただし、ジャニーさんは基本的に優しいので、「とりあえずやってみなよ」というチャンスはくれる。しかし一度の失敗、例えそれが数分の遅刻であっても許してはもらえないし嫌われたら一発退場である。

 また、「元ジャニーズ」という肩書きはタレントより、スタッフのほうが重宝される傾向が多く見られる。簡単に言えばジャニーズからの天下りだ。天下のジャニーズにいて、そこで培った業務とコネクションは貴重であり、そんな財産を持つ人は他のプロダクションから引く手数多になる。ジャニーズの影響力はスタッフにも通用するブランドになるのだ。

 個人の能力にもよるのは当然だが、そこは一般世間と同じ。研究開発の分野では研究者の取り合いだし、優秀な幹部候補はどこでも欲しがるゆえ芸能界もそこは同様だ。しかも芸能界はブラックである。超が付くほどのブラック業界だ。ブラックじゃない芸能界なんて存在しない。9時〜5時で終わる仕事なんかないし、特にマネージャーとなれば商品であるタレントを取り扱うので面倒も嫌気も他より数百倍だ。おそらく想像を絶するかと思う。

 24時間365日の見えない拘束感からは脱しきれないし、ワガママで面倒を起こす子供たちを相手にするのは気苦労が絶えない。憧れだけでは決して務まらないのがこの世界だが、務まらなかった連中の愚痴がうるさく蔓延しているので業界全体が暗黒のような印象になっている。

 それでも面白く楽しいと黒を白と言える、あるいは必然としてそう感じられる人間に合っている世界だが、入れるならやはりジャニーズがいいし、働けるならジャニーズより面白い環境はなかなかない。僕がいた当時は赤坂のマンション一室だったジャニーズ事務所。今ではどこが本拠地かわからないほどのビルを多く所有する超優良企業のジャニーズで働いてみる、こんな面白いチャンスは滅多にない。迷っている人がいるなら僕も背中を押す。

著者プロフィール

ジャニーズ出身の作家

平本淳也(ひらもと・じゅんや)

ジャニーズ出身の作家で実業家。著書34冊のベストセラーを誇る売れっ子の物書きとして、テレビや雑誌など多くのメディアに記事やコメント提供。実業家としてはコンサルティング会社や芸能プロダクション、レコード会社などを運営し、タレントから起業家まで幅広い活動の支援を行っている。http://vjsv.com/

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