松井玲奈の挫折と葛藤 女優・作家・YouTuberと前進しながらも「置物やロボットではない」

松井玲奈の挫折と葛藤 女優・作家・YouTuberと前進しながらも「置物やロボットではない」

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9月21日にTwitterで「主演映画が立て続けに2本も発表に。ありがたいです。本当に」とつぶやいた松井玲奈。映画『幕が下りたら会いましょう』(11月26日公開)と『よだかの片想い』(2022年公開)で主演を務め、TBS系火曜ドラマ『プロミス・シンデレラ』(9月14日最終回)では悪女役を演じて注目を集めた。アニメ好きな松井がハマっている『アイドリッシュセブン』の百(もも)役や『機動戦士ガンダムSEED』のキラ・ヤマト役で知られる声優・保志総一朗は、7月に松井玲奈について「俺は最初のマジスカのゲキカラから好きなんよね。こんな芝居おれは出来ん思ってビビって見てたよ…」とツイートしているように、アイドル時代から迫力のある演技で存在感を放っていた。しかしそんな松井も今の人気を得るまでには紆余曲折あり、ブログやSNSで何度か胸中を吐露している。


2011年7月に放送された密着ドキュメントバラエティ番組『スター姫さがし太郎』(テレビ東京・2011年9月終了)で、SKE48メンバーに松井玲奈の印象を聞いたところ「基本的に静か」、「心が広い」、「弱音をはかない」と答えていた。グループを牽引してきた松井は2015年8月にSKE48を卒業して本格的に女優の道に進むが、その頃が最も悩んだのではないだろうか。同年10月に当時運用していたブログで「たくさん本を読んで頭のなかに言葉が溢れて幸せ」と近況を綴りながら「やりたいことも、新しい目標もみえた。人生挫折というか、悔しいと思ったときが新しいスタートなのだ」と吐露している。松井の卒業シングルとなったSKE48『前のめり』(2015年8月)の歌詞に「挫折してもやり直そう」というフレーズがあり、もしかするとそれになぞらえたのかもしれない。だが弱音を漏らすことが少ない松井の意味深な投稿は、「挫折って何で挫折したのかな? きっとそれが明かされる事はないんだろうけど…」とファンの反響を呼んだ。

2016年は新しいスタートを思わせるかのように福田雄一監督が脚本・演出を手掛けるドラマ『ニーチェ先生』(読売テレビ)で主人公を好きなあまり奇行に走る塩山楓というユニークな役柄に挑戦したり、舞台『新・幕末純情伝』で主演を務めて新境地を開いた。そうやってドラマに映画、舞台と主演やメインキャストを務める作品が続くなか2017年10月にはSNSで「悩みながらの毎日ですが前進できると、新しい扉を開けると信じて頑張ります。体力回復せねば」と明かしているが、そこには「挫折」という言葉を用いた頃のような迷いは感じられなかった。そして今年は竹中直人・山田孝之・齊藤工(斎藤工)が映画監督として共同制作したヒューマンコメディ映画『ゾッキ』(4月全国公開)で「幽霊のような女」役を務め、YouTubeチャンネル「松井玲奈」で4月9日にアップした『【衝撃】特殊メイクしました【松井玲奈】』のなかで「死というものについて考えた」と心境を話している。その言葉のわけは動画のなかで明らかになるが、ネガティブな発想ではない。

そんな松井玲奈について作品で関わった人たちがSNSやブログで発信している。『ニーチェ先生』で共演した佐藤二朗は酔っていたのかもしれないが「おいコラ玲奈」、「大好きな後輩俳優、松井玲奈が…」とツイートするほど親しみを覚えているようだ。佐藤が乃木坂46の西野七瀬を推していると明かして、松井からいじられたこともあった。福田雄一監督は2016年7月に舞台『新・幕末純情伝』を観劇して「凄い女優になるよ、玲奈さんは! 映像のみならず舞台でもガンガン上がっていくよ!」と絶賛しつつ「そして俺の仕事はやってくれなくなるよ、きっと!」とツイートしており、『新・幕末純情伝』で松井と共演した石田明(NON STYLE)は千秋楽を終えてブログで「いつも助けてくれてありがとう。ちゃんと心でぶつかりあってくれてありがとう…座長に支えてもらいました。松井玲奈に癒されました」とメッセージを送っていた。

アイドル時代からのファンが、舞台で頑張る松井玲奈を見ようと足を運ぶことも少なくない。松井が4人芝居に挑戦した舞台『ベター・ハーフ』(2017年)の上演期間中にTwitterで「観劇が慣れていない方に。観劇の際は必ず、必ず! 携帯の電源をお切りください。私語や音にお気をつけを。(面白いと思ったら笑っても大丈夫です)物語が終わった時、声の代わりに気持ちの分だけ大きな拍手をいただけたら嬉しいです」とツイートしたところ、同舞台の作・演出を手掛けた鴻上尚史氏がRTして「こういう発言は本当に嬉しいです」と感激していた。その頃、松井は2018年10月発売の『小説すばる』(2018年11月号)で小説家デビューを果たし、2019年4月に短編集『カモフラージュ』(集英社)を出版した。鴻上氏は「松井玲奈短編小説集『カモフラージュ』を読んだ。いやあ、唸った。たいしたもんだ…」と各短編作品に触れてから「小説家じゃんか」と称賛した。

今年1月には恋愛小説集『累々』(集英社)を発売した松井だが、半年以上過ぎた9月17日にTwitterで「置物やロボットではない。私は人間だと理解してもらいたいと思っている。ずっと」とつぶやいた。投稿の真意は分からないが同日発売の『小説トリッパー 2021年秋号』(朝日新聞出版)から松井玲奈の新連載エッセイ『私のもしも図鑑』が始まり、自身のインスタグラムで「初回は30歳を迎えるにあたりよく聞かれた質問から、もしもの自分を紐解いてみました。エッセイは自分と向き合い、新しい発見をもたらしてくれるのでとても楽しいです」と紹介している。

女優のみならず作家としても成長を続ける松井玲奈は、YouTuberとしても意欲的だ。9月18日にはTwitterで「動画のサムネですが、どっちが見たいと思いますか?」と呼びかけて「ラピュタパン食べる」か「30歳オタク女性の日常」で2択アンケートを行い、ファンが「ABテストを仕掛ける女優 AB女優」などとコメントを寄せて和んでいた。アンケート結果を受けてYouTubeでアップした『【日常vlog】手作り食パンでラピュタパンを作るなどする、30歳女性オタクの日常【松井玲奈】』には動画についての感想だけでなく「松井さんはアイドルで唯一好きやったな〜 微力ながら今も応援させてもらってます!」、「累々、あなたの文章は本当に良いですね! 演劇的にも、すごくいいですよ! がんばって続けて」などの反響があった。

松井玲奈が女優のおもしろさを知ったのは、2010年に放送されたAKB48グループを中心とするドラマ『マジすか学園』(テレビ東京)で演じた少年院帰りのヤンキー高校生・ゲキカラ役ではないだろうか。保志総一朗が「こんな芝居おれは出来ん思ってビビって見てたよ。尊敬する。マジすごかった」とツイートしたのをはじめ、Twitter上では、SKE48の松井玲奈を知って女性アイドルにハマったというファンが「今や女優さんだけど、ほんとに努力家でコンプレックスもバネにしてしまうところは今でも尊敬してる」と明かせば、「松井玲奈さんの小説はまず失礼な話で恐縮ながら本人ありきで読んでしまうんだけど、いつも良い意味で期待を裏切ってくれて表に見える以上に知見や人生が深くて尊敬しちゃう」というような声が見受けられる。様々なジャンルで活躍する松井の姿に勇気をもらい「尊敬」に繋がっているのかもしれない。

NHK連続テレビ小説『まんぷく』(2018年)に『エール』(2020年)そしてフジ月9ドラマ『海月姫』(2018年)などでいろいろなキャラをこなす松井だが、『マジすか学園』で培った悪役キャラは『ブラックスキャンダル』(読売テレビ・2018年)さらに『プロミス・シンデレラ』と昇華されていった。Twitter上ではフジテレビ系ドラマ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』(2015年10月期)の橘カラ役など悪女キャラで人気を博した菜々緒と比べたり、共演を期待する声まであるほどだ。ちなみに11月に結果が発表される『第109回ドラマアカデミー賞』(ザテレビジョン)では『プロミス・シンデレラ』もノミネートされているので、成り行きに注目したい。

画像2〜4枚目は『TBS「プロミス・シンデレラ」【公式】 2021年6月5日付Instagram「本日は、#松井玲奈 さんのオフショットを公開」』『松井玲奈 2019年9月22日付Instagram「本日22日午後4時から『佐藤二朗と斎藤工が行きたくない街No.1名古屋のドラマに出演するにあたり色々考えてみた』に出演します。」』『YouTube「松井玲奈」チャンネル 2021年9月18日公開「【日常vlog】手作り食パンでラピュタパンを作るなどする、30歳女性オタクの日常【松井玲奈】」』のサムネイル
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)

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