<だいたひかるインタビュー>自身の命&お腹の中の命と向き合い「物より何より人間が一番すごい」 乳がんになって始めた片づけ生活

<だいたひかるインタビュー>自身の命&お腹の中の命と向き合い「物より何より人間が一番すごい」 乳がんになって始めた片づけ生活

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お笑い芸人・だいたひかる(46)の著書『生きるために、捨ててみた。』が、12月8日に幻冬舎より刊行された。2016年に40歳で発覚した乳がんにより右胸を全摘出しただいたは、それをきっかけに「1日1捨」の片づけ生活をスタート。同書にはだいたの片づけ術の具体例だけでなく、再開した不妊治療による45歳での妊娠や、病を経て変化した心境や暮らしぶりなど約5年間のだいたが詰め込まれている。テックインサイトではだいたにじっくり話を聞いた。


■片づけはいい、病気も不妊治療も人生のちょっとした起伏
―今回の出版は何がきっかけでしたか?
だいたひかる(以下、だいた):乳がんになって人生を初めて見つめてみたところ、やらなきゃいけないことで一番手前にあったのが片づけでした。それを5年間続けた記録をまとめてみたかったということですね。

―だいたさんにとってこの5年間は闘病や不妊治療など他にも大きな出来事がありましたが、なかでも片づけをテーマに選んだのはなぜですか?
だいた:生きていれば誰もがいつかは病気になる可能性があるし、不妊治療も全部ひっくるめて傍から見たら大変なことかもしれない。だけど、それも全部、人生のちょっとした起伏でしかありません。でも、片づけは毎日のこと。そう思って「1日1捨」をやってみた結果、「片づけするのはいいな」というところに辿り着きました。やらないよりやった方がいいし、1日1個でも捨てたら前進するし、それを積み重ねていけば悪いことは起きないんじゃないかなって思っています。

―「片づけはいい」と実感されたのですね。片づけをして一番良かったことは何ですか?
だいた:居心地が良くなったということですね。衣食住が成り立って充実していると幸せじゃないですか。部屋が汚いとか物が多いとそれをどうしようと考える時間ができてしまう。その時間は人生のなかであまり楽しいことじゃない。その点、片づけて無駄な時間が減ったのは良かったなと思っています。

■片づけで捨てた物、捨てなかった物
―本書には洋服や靴、バッグ、趣味の文房具などいろいろな物をだいたさんがどう選別したか、どう捨てたかが書かれていますね。昔からキャラクターグッズがお好きなようですが、それらも処分されましたか?
だいた:子供ができて(妊娠して)ほとんど捨てましたね。子供の新しい物が続々と入ってくるし、自分が子供だったときの物を持っていても役に立たないですから。物として残そうとするんじゃなくて、写真で残すということに切り替えました。最近処分したのはパティ&ジミー(サンリオのキャラクター)の45年前のバッグ。状態も良くて可愛いんですけど、結局使うか使わないかと言えば使っていないわけなんで、捨てることにしました。

―逆に片づけで残したものはありますか?
だいた:私は捨てたかったんですけど、夫が捨てるなと言ったネタ帳は残っていますね。一応自分の歴史でもあるから残しておくかと。ネタを記したノートがすごいいっぱいあるんです。使い切ってないものもあるし、数も多いんですけど。

■ステイホームも片づけに影響
―片づけと言えば、コロナ禍で片づけをした人が多いと聞きます。だいたさんにもその影響はありましたか?
だいた:ありましたね。外に出るとつい物を買っちゃうタイプなのですが、コロナ禍で家から出られなくなったこともあり、物欲を抑えられて買い物が減りました。それで家の中でやることは片づけだったので、かなり捨てましたね。コロナ禍になっていいことは少ないけど、自分においては物が減ったのは良かったですね。

■乳がん闘病、再発、妊娠…この5年間は?
―ところでだいたさんにとってこの5年間には乳がんの発覚や再発、そして妊娠といろいろありましたね。振り返っていかがでしたか?
だいた:今までで一番「生きている」という感じがしていました。命っていつまでもあるような、普通にみんなと一緒に80歳とか90歳ぐらいまで生きるんだろうなと勝手に思っていたんですけど、思ったより早めに病気になったことで命というものと初めて向き合って、「生きている」「生まれる」ってすごいことなんだなと初めて気づきました。

そう思って暮らし出したら、「ご飯が美味しい」とか「天気と元気があれば充分だな」という初めて謙虚な気持ちが生まれてきて、人間らしくなりましたよね。肉体の面でも、傷口がどんどん良くなっていくし、初めて人間のすごさを知りました。これまでいろんな物を好きでいっぱい買ってきたけど、物より何より人間が一番すごいんだなと思いました。

今まで見ていた景色も充実度が違うというか、集中力が変わるんですね。たとえば旅行に行って景色を見ても、「もう二度と見られないかもしれない」という気持ちが出てくるので、集中力も変わってきますよね。だらだら生きていたのが少しいいメガネをかけたみたいな感じになって。クリアに見えるようになってきましたね。

■「死んでもいいからやってみたい」不妊治療への思い
―本書には『「死んでもいいからやってみたい」不妊治療へのチャレンジ』という項目がありますが、「死んでもいい」という表現が衝撃的でした。がん治療をお休みして不妊治療を再開させたわけですが、ご主人はだいたさんの体を思って反対しませんでしたか?
だいた:やっぱり夫も最初は「生きていればいいから。子供は無理しなくてもいいんじゃないか」という感じでしたよ。再発とか転移する可能性が出てくるので、できればやめて欲しいと。だけど、せっかく生きているなら夢を持って生きていたいじゃないですか。実は、がんが発覚して不妊治療を中断したときに、受精卵を1つだけ凍結していたんです。私はどうしても後悔したくないから、「その卵を子宮に戻せば気が済むから」と夫に伝えてみたら、彼も「だったらやってみよう」と応援してくれました。

とはいえ、妊娠するかどうかは、私も正直、99.9%ダメだろうと思っていたんですよ。ただ、卵を凍結しておいても、自分が年を取ったときに後悔すると思ったんですね。だからとりあえず冷たいところから温かいところに戻したかった。それさえすれば自分も気が済んで、あとは子供がいない人生を2人で楽しめればと。そのためのきっかけとして不妊治療を復活したということもあったんですね。もう踏ん切りをつけたかったんです。それがまさか着床するとは思わなかった。それまで今より若いときに何度も挑戦してダメだったのに、最後の1個だけが命になったというのはすごいことだなと。諦めなくて良かったなと思っています。

■我が子が生まれたらやってみたいこと
―さきほど「物より何より人間が一番すごい」という言葉がありましたが、その通りですね。いよいよ来年1月末に出産予定とのことですが、お子さんが生まれたらしてみたいことはありますか?
だいた:旅行にいっぱい行きたいですね。病気したことで、「地球そのものがテーマパークで、楽しいところに産んでもらったんだな」って思ったんです。夫も旅行が好きなので、せっかくだからいろんなところを子供に見せたい。キャンプもしたいですし、とにかく思い切り遊んで欲しいですよね。奈良もいいし、京都もいいし、沖縄も北海道もいいし、どこに行っても素晴らしいところがあるので、全国見せてあげたいですね。

―お子さんが生まれたらお仕事はどうされるんですか? だいたさんのネタもまた見たいと思っているのですが。
だいた:やっぱり子育てしてみたかったので、しばらくは子育て中心の生活になると思います。子供の成長の過程って二度と見られないことじゃないですか。私の場合、もう二度と妊娠することもない。最初で最後の子なので一分一秒見逃したくないんです。でも、「どーでもいいですよー」とか「私だけでしょうか?」のネタで自分の存在を知ってもらったので、いつかまたちゃんとみなさんの前でやりたいなと思っています。その日のためにネタを溜め込んでおきますね(笑)。

■片づけは「死ぬときに恥ずかしくないように」
―最後に片づけをしたいのに、なかなかうまくいかない人へアドバイスをお願いします。
だいた:気持ちはよく分かります。だけど、それを残したまま死ねるか…と考えてみたら、どうでしょうか。たとえば自分では肌触りがいいからって何十年も着ている毛玉だらけのTシャツとか、年齢に見合わない洋服とか。自分が死んだあとに片づけてくれる人に、こんなの着てたのかって思われちゃうわけじゃないですか。死ぬときに恥ずかしくないようにしておきたいですね。あとは、死んだあとに迷惑をなるべくかけたくない、という考えも。また、いいことが舞い込みそうなのは、やっぱりきれいな空間だと思うんです。だとしたら、楽しい未来を想像して、とにかく手を動かしてみたらいいかなと。

とはいえ、私もまだ完全にはできてないから、片づけを頑張っている方とお揃いの気持ちなんです。日々片づけの本とか読んで鼓舞して「よし、あれ捨てよう」の繰り返しです。ここにも、「楽しく生きるために頑張って片づけている仲間がいるよ」って言いたいですね。

(TechinsightJapan編集部 取材・文:関原りあん)

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