岡本太郎は何故、「太陽の塔」を作ったのか。

【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第489回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、9月29日公開の『太陽の塔』を掘り起こします。


大空に向かってそびえ立つモニュメントの魅力と謎に迫るドキュメンタリー


京王井の頭線渋谷駅とJR渋谷駅を結ぶ連絡通路で、一際異彩を放つ巨大壁画。渋谷の観光スポットにもなっているこの壁画の正体は、日本人なら誰もが知る画家・岡本太郎による「明日への神話」。第五福竜丸が被爆した際、水爆が炸裂する瞬間がモチーフとなっており、悲惨な体験を乗り越えて再生する人々のたくましさを描いたとされる作品です。

そんな「明日への神話」と対をなすと言われている、もうひとつの岡本太郎の代表作とは何か、ご存知でしょうか。


それは、1970年に開催された大阪万博の“顔”となった建造物「太陽の塔」。“人類の進歩と調和”がテーマとなった祭典が行われた当時の姿をそのままに、現在も大阪府吹田市にそびえ立っています。

今年3月、48年ぶりに内部展示「生命の樹」の一般公開が始まるやいなや見学希望者が殺到するなど、再び注目が集まっている歴史的芸術作品をフィーチャーしたドキュメンタリー映画が完成しました。


様々な意味で規格外な映画『太陽の塔』に関して、まず驚きなのが、本作の監督を公募したということ。結果的に選ばれたのは、これまで多くのMVやCMを手がけ、カンヌ広告祭での受賞経験を持つ映像クリエイター、関根光才監督。

あえてナレーションを使用せず、岡本太郎に影響を受けた総勢29名へのインタビューを敢行。その言葉はどれも情熱的で、芸術論だけではなく、社会学・考古学・民俗学・哲学とあらゆる観点から岡本太郎が語られ、「太陽の塔」に込められたメッセージを解き明かしています。


「太陽の塔」制作にまつわるエピソードに終始せず、現代を生きる日本人へのメッセージが込められた本作。高度経済成長に沸き立つ当時、岡本太郎がこの巨大モニュメントに込めた本当の思いとは何だったのか。いま改めて「太陽の塔」と向き合うべき時が来ているのかもしれません。


太陽の塔
2018年9月29日から渋谷・シネクイント、新宿シネマカリテ、シネ・リーブル梅田ほか全国公開
監督:関根光才
音楽:JEMAPUR
登場人物:【インタビュー出演(50音順)】赤坂憲雄、安藤礼二、糸井重里、植田昌吾、大杉浩司、奥山直司、嵩英雄、唐澤太輔、小林達雄、コンチョク・ギャムツォ師、佐藤玲子、椹木野衣、シェーラプ・オーセル師、ジャスティン・ジェスティー、菅原小春、春原史寛、関野吉晴、舘鼻則孝、千葉一彦、Chim↑Pom、土屋敏男、中沢新一、長野泰彦、並河進、奈良利男、西谷修、平野暁臣、マユンキキ 【出演】織田梨沙
?2018 映画「太陽の塔」製作委員会
公式サイト http://taiyo-no-to-movie.jp/

八雲ふみね しゃベルシネマ

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