ウケを狙って曲をつくったことは誓ってありません〜亀田誠治

黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に音楽プロデューサー・ベーシストの亀田誠治が出演。現在の音楽のあり方について語った。

亀田誠治

黒木)今週のゲストは音楽プロデューサー・ベーシストの亀田誠治さんです。令和の時代の音楽産業ですけれども、いま若い世代の方々がレコードを聴く機会が増えているということですが、それはなぜですか?

亀田)彼らがメインで聴く音楽は、配信やサブスクリプションという形のない音楽なのです。それに対してアナログレコードはジャケットがあって歌詞カードが入っている、リアルなあの感じ。針を落とす瞬間の感じ。

黒木)ジリジリジリという。

亀田)レコードの入っているビニールの匂いも好きです。そういういろいろな五感、六感に訴えるものがアナログレコードにはたくさん詰まっています。一方ではテープの需要も増えて来ていて、カセットテープで音楽を聴きたいという若者も増えています。

黒木)多様化しているのですね。

亀田)配信で聴くということが主軸になったからこそ、綺麗に枝葉が分かれて行ったのだと思います。「もう1つはこっちを聴いてみようかな」という感じではないでしょうか。大人から言わせると、レコードは本当に音が暖かくていいですけれどもね。丸みがあって。 

黒木)欧米と日本のストリーミング配信を比べると、日本は遅れていると。その辺りはどう考えていらっしゃいますか?

亀田)日本人はものを大切にする気持ちが強く、「惚れた人には一生ついて行く」というようなところがあって、「やはりCDで買おう」という人が多いのだと思います。私個人としては、定額配信、サブスクリプションの方に移行をしています。もちろんアナログやCDが残ってもいいのですが、無料のトライアルで聴くのではなく、有料の会員になってもらって、若いアーティストや時代をつくられたレジェンドのアーティストの作品に対しても、利益が還元されて行く。「利益が還元される」と言うと、「亀田音楽プロデューサーはお金の話ばかりしているじゃないか」と皆さん思うかも知れないのですが、違うのです。そのことによって、作品をつくるチャンス、さらに新しい音楽が生まれる可能性が広がるということなので、私はいいことだと思います。スマホやパソコンというデバイスができてしまった以上、こういう聴き方が主流になることは仕方のないことです。であるならば、そこにしっかりとお金を払って、そこから購入するということが大事だと思っています。

黒木)「この曲はどうかな」とピッとやって、「次、次」とイントロ当てクイズみたいにして聴くことも悪くはないのですか?

亀田)イントロ当てクイズのような聴き方をされてしまうことのいちばんの弊害は、イントロ当ての聴き方をしてしまうユーザー、聴き手の方に問題があるのではなく、「こういうイントロをつくれば受けるだろう」とつくり手側が考えてしまうことが問題だと思います。つくり手側は凛として、つくりたいものをつくるべきなのです。そこに、イントロ当てをしてもらって、好きであれば、拾ってもらえれば当たって、そこから1曲広がって行く。そのストーリーは永遠のものですから。「亀田さんは意識した曲づくりをするのですか」とよく聞かれるのですが、誓って言います。一生に一度もやったことがないです。自分はその曲がいい曲になるということを頑張ってやるだけです。

亀田誠治

亀田誠治(かめだ・せいじ)/音楽プロデューサー・ベーシスト

■1964年生まれ。音楽プロデューサー・ベーシスト。
■椎名林檎、平井堅、スピッツ、GLAY、いきものがかり、JUJU、エレファントカシマシ、大原櫻子、石川さゆりなど数多くのアーティストのプロデュース、アレンジを手掛ける。
■2004年に椎名林檎らと東京事変を結成(2012年解散・2020年再生)。
■2005年より「ap bank fes」 にBank Bandのベーシストとして参加。
■2007年に第49回、2015年に第57回の日本レコード大賞で編曲賞を受賞。
■2019年にフリーイベント「日比谷音楽祭」の実行委員長を務め、10万人を動員。

<日比谷音楽祭>
■亀田誠治さんが実行委員長を務めるフリーライブイベント。入場・参加は無料。会場は日比谷公園、東京ミッドタウン日比谷。
■2019年に初開催。
■2020年は新型コロナウイルスの影響で現地での開催を中止。生配信を中心にアーティストのトークやリモートセッションなどが実施された。
■2021年は5月29日・30日に開催されることが決定。各ライブは無料で鑑賞可能。日比谷公園大音楽堂でのライブ鑑賞は抽選制チケット。またオンラインで生配信されることも決定。

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