「声」だけだからこそ、つながる「気持ち」 永田崇人×石井杏奈×土田英生 ラジオ×朗読劇『リスナーたちの星空』インタビュー

“ラジオ”がテーマの新しい朗読劇『リスナーたちの星空』が、4月27日から5月1日にかけて紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて上演される。

ラジオを愛する劇作家の土田英生氏が脚本・演出、現役のラジオ構成作家・宮澤一彰氏が脚本協力を務めた本公演には、ミュージカル俳優から、声優、タレントまで、幅広いジャンルのラジオを愛する男女ペアが出演。番組がきっかけで結ばれた伝説のカップルの恋の行方を軸に、番組の存続を願うリスナーたち奮闘、そして、それぞれの人生が番組への“投稿”を読む形で物語が紡がれてゆく。

今回、ニッポン放送NEWS ONLINE編集部では、初日の4月27日公演に出演する永田崇人、石井杏奈にインタビュー。土田氏にもリモートで参加してもらい、まだ稽古に入る前のお互いの印象や本公演の見どころ、さらにラジオの魅力について語ってもらった。

永田崇人、石井杏奈

■「ラジオ」「パーソナリティ」を介するからこそ伝わる愛の言葉

――本作のオファーを受けた際のお気持ちを聞かせてください。

永田:デビューしたばかりの頃に出演した作品で土田さんに演出していただいたので、またご一緒できることが本当に嬉しかったです。あの頃から7年が経って、僕の成長した姿を見てもらわなければ!という少し責任感も感じました。(土田さんに)僕のこと覚えてますか?

土田:もちろん、覚えてるよ!

永田:良かった〜(笑)。

石井:私は2年前に初めて朗読劇をやらせていただき、今回は1年ぶり3度目となります。以前は初めての朗読劇ということで緊張してしまい、あまり自分の姿を客観視できなかったので……。今回、再び挑戦できるということで、以前よりもしっかり演じなければと思いました。

――土田さんは今回のオファーを受けて、どのようにストーリーを構築していったのでしょうか?

土田:ニッポン放送主催の朗読劇ということで、すぐに「ラジオ×朗読劇」という組み合わせは浮かびました。僕は朗読劇の演出が本業ではないのですが、以前に草なぎ剛さんとやらせてもらった朗読劇でのオペラとの融合(※2002年「Reading『椿姫』with 草g剛 VOICE〜私が愛するほどに私を愛して〜」)を見て、声だけで広がる世界があるという手ごたえは感じていました。そして今回は、「ラジオ」との融合。ラジオに寄せられたリスナーからのメール、という非常に遠回りしたやり取りをメインに、肝心な部分を一切見せないという構成が、想像力を掻き立てるのではないでしょうか。

――そんな物語を読んでみて、役者の2人はどんな印象を持ちましたか?

永田:とてもロマンチックでステキなお話だと思いました。「ラジオ」という舞台を活かした構成になっていて、普通だったら愛の言葉を伝えたり言われるのって少し照れ臭いことだと思うのですが、パーソナリティという第三者を挟むことで、ストレートな言葉もストンと胸に収まるんですよ。

石井:それは私も思いました。ラジオを介してパーソナリティが読む手紙、という何個もクッションがある中で伝わる愛の形がとてもステキ。まだプロットしか読めていないのですが、それだけでも頭の中に物語の世界観が広がりました。

土田:ありがとうございます。僕も、ここまでド直球な愛のセリフを書いたのは初めて。直接的なやり取りじゃない「ラジオ」を介した恋愛物語“だからこそ”の物語が出来上がりました。

石井杏奈

■“初めまして”感がない 石井杏奈-土田英生

――すでに稽古は始まっているのでしょうか?

永田:いや、まだ始まっていないんですよ。

土田:そうなんだよね。実は、稽古で1つ不安に思っていることがあって……。

石井:え? 何ですか?

土田:コロナ禍に入って、別作品の稽古をしていた時に、休憩から帰ってきたら僕の椅子の周りの全方位にアクリル板が置かれていて。最初は正面だけだったのに「土田さん、すごく動いちゃうから」と閉じ込められてしまったんです。今回は閉じ込められないようにしなきゃ!

永田:(笑)アクリル板なら良いですけど、気付いたら土田さんだけリモート参加になっちゃってたりして……。

土田:そうしたら、僕の良さが発揮できなくなっちゃうから(笑)!

――(笑)土田さんと永田さんは共演経験がありますが、石井さんは今回が初対面だとお聞きしました。

石井:そうなんです。お2人とも今回が「初めまして」なので、こんな楽しい方々とご一緒できることが今から楽しみです(笑)。

土田:僕は最近『金魚妻』(※石井出演のNetflixドラマ)を見たばかりなので、なんだか石井さんと「初めまして」という気がしないんですよね。

石井:実は私も、土田さんとお話する前に永田さんからたくさん土田さんのエピソードを聞いていたので、とても親近感がわいて、“初めまして”感がないんです。

永田:僕の言った通りの人だったでしょ(笑)?

土田:なんか変なこと言ってるんじゃないの〜?

永田:言いませんよ(笑)!

永田崇人

■とても良い形で成長している 永田崇人-土田英生

――石井さんには、土田さんがどんな人だと伝えていたのですか?

永田:僕に「演劇のイロハ」を教えてくれた方だと伝えました。7年前にご一緒した際、朗読劇の稽古なのに、ワークショップまでつけてくださったんですよ!「お風呂上りの人の芝居をしてください」と言われて、すごく難しかったという記憶がまだ残っています。

土田:崇人くん、ちょっと待って。お風呂上りってなんか誤解を生まないかな? 今、演劇業界でパワハラ・セクハラが問題になっているから……。僕は誰よりもそこらへんに気を付けているので!

永田:(大爆笑)大丈夫です! 服は着たままでしたよ。

土田:リラックスした状態を演じられるのかを見たかったんです。誤解しないでくださいね(笑)!

――わかりました(笑)。そのお話を聞いて、石井さんは土田さんにどんな印象を持ちましたか?

石井:そのお話を聞く前は、プロットがとてもステキなラブストーリーだったので「きっとロマンチックな方なんだろうな」と思っていたのですが、ギャップがすごいです(笑)。永田さんのお話や、今のやり取りで「面白い人だな」という印象に変化しました。

――土田さんは、石井さんに対してどんな印象を持ちましたか?

土田:初めてご一緒する方って、すごく怖いんですよ。テレビで見た印象で「愛想が良いな」と思っていても、実際に会ったら違うというパターンもあるので……(笑)。しかし、石井さんはこの短い時間のやり取りだけでも気遣いのできる素晴らしい方だとわかったので、稽古でお会いできるのが楽しみです。

石井:うわあ、嬉しい! 私も稽古が楽しみです。

――ちなみに、7年前を振り返っての永田さんの印象もお聞きしたいです。

土田:最初にあった時は、あまりにも真っ直ぐで純真な少年だったので「大丈夫かな?」と心配になりました。この仕事は楽しいこともあるけれど、大変なこともたくさん経験するじゃないですか。変な先輩に染まっちゃわないと良いな〜と思いました。

永田:それ、7年前に直接言ってくださいましたよね。「変なやつには絶対に気を付けろ!」って。

土田:本当に心配だったからね。この7年の間にドラマなどで活躍する姿を見て、とても良い形で成長しているなと感動しています。

『リスナーたちの星空』

■「いい声」とは「伝わる声」

――本作の大きな要素を担っている「ラジオ」に関しても聞かせてください。永田さん、石井さんの好きなラジオ番組や、ラジオ関するエピソードがあれば教えてほしいです。

永田:他局で申し訳ないのですが、最近『BITS&BOBS TOKYO』(J-WAVE)にハマっています。深夜にとてつもない孤独を感じた瞬間があって、そんな時にたまたま聴いたのがこの番組だったのですが、“何か”が埋まった気がしたんですよ。これまでの人生であまりラジオを聞いてこなかったので、ようやくラジオにハマりだした時に、さらにこの朗読劇のお話をいただいて。「運命かもしれない」と思いました。

石井:私もラジオにはあまり馴染みがなくて。お正月に祖母の家に行くとよく流れている、という印象を持っていました。なので、今回このお話をいただいたことで「ラジオってこんなに奥深いものなんだ!」と知り驚いているところです。メイク室などでラジオが流れていると、ついつい耳を傾けるようになりました。

――映像作品をメインに活躍しているお2人が思う、「声」の魅力とはなんでしょうか?

永田:最近、映画監督の濱口竜介さんの「カメラの前で演じること」という本を読んだのですが、その中に“いい声”みたいなものがあると書かれていました。単純にキレイな声という意味ではなく、フィクションに信憑性を持たせてくれる声のことだそうです。役者として、その「いい声」を出せるようになってみたい。芝居って、その「いい声」を探す旅なのではないかと思いました。

石井:私はよく電話をするのですが、それは電話の方が気持ちを素直に言えるから。顔を見ながら話すことも確かに大事だと思いますが、耳だけで声を聞いた方が相手の表情や心情が想像できるんですよね。目で見えていないものだからこそ、より相手のことを考えられると思っています。

――他公演では、声の芝居を本業としている声優さんも出演されます。他公演の方々と何か違いを演出しようとは考えていますか?

永田:う〜ん、そこまで深くは考えていません。朗読劇の良さは、役者の持っているものをそのまま発揮できるものだと思っているので。自分と近いところを演技できたらと思っています。でも、もしかしたら土田さんに「真逆のことをやってくれ」と言われるかも(笑)。

土田:そんなこと言わないよ(笑)。崇人くんが言った通りで、朗読劇は隠してもその人の個性が出てしまうものだと思います。俳優さんの持っている個性や良さを活かした演出をつけていけば、結果的に“違い”に繋がるんじゃないかな。

『リスナーたちの星空』

■演者の良さを活かした朗読劇に

――最後に、公演を楽しみにしている方に向けてメッセージをお願いします。

石井:まだ稽古に入っていないので、どういう作品になるのかわからないのですが、楽しいお2人とご一緒できることがとても楽しみです。きっとステキなラブストーリーになると思いますので、是非見に来てください。

永田:ラジオの良さが伝わる朗読劇になれば良いなと思っています。実際に僕も最近ラジオの良さを実感した人なので、「ラジオってこんなに良いものなんだぞ」という僕の思いも滲ませられたら良いな。そして、これをきっかけにラジオ番組に出演して、土田さんに毎週ショートストーリーを書いてほしいです(笑)。

土田:それは良いんだけどさ、また「誰?」ってなるんじゃないの? 僕は以前、崇人くんのファンイベントに出て、場を静めさせてしまった経験があるんです。あの後Twitterでエゴサしたら「知らないおじさんが出てきた」と書かれていて……。

永田:ちょうど演劇『ハイキュー!!』をやっていた時期で、その俳優さんが出るとみんな思い込んでいたんでしょうね。僕が「シークレットゲストだー!」と呼び込んで、ババーンと出てきた土田さんに、みんな「え? 誰?」みたいな反応をとってしまって(笑)。

土田:あの時のことは一生忘れない。水を打ったように静かになったんですよ(笑)。

永田:でも、イベントが終わるころにはみんな土田さんのファンになっていましたよ! あのイベントは3部構成だったのですが、土田さんのトークが面白すぎて、土田さんゲスト回がダントツで盛り上がりました。

土田:それなら良かった(笑)。そんな崇人くんや石井さん、他の演者さんの良さを活かした朗読劇にしようと思っているので、ぜひ楽しみにしていてください!

――ありがとうございました!

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