小学校中退から東大植物学を支えた秀才 朝ドラ主人公・牧野富太郎とは

6月5日(日)、女優の戸田恵子がパーソナリティを務めるラジオ番組「戸田恵子 オトナクオリティ」(ニッポン放送・毎週日曜14時〜14時30分)が放送。2023年度前期に放送されるNHKの朝ドラ『らんまん』で、俳優の神木隆之介が演じる主人公、植物学者・牧野富太郎(まきの・とみたろう)について特集した。

「日本植物学の父」「植物の神様」と言われる牧野博士。日本全国の野山を歩いて集めた標本はおよそ40万点、名前を付けた植物がおよそ1500種類。それまでは、食べられる植物や、鑑賞される花や草には名前が付いていたが、その他は雑草や野草として扱われる「名もなき植物」だった。

■小学校を辞め、花や草を観察する日々

牧野博士が生まれたのは1862年。鎖国が解かれ、ヨーロッパやアメリカ等から異国の文化がどっと押し寄せた時代。高知県の村の名家に生まれたが、幼い時に両親を亡くして祖母に育てられた。子どもの頃は痩せて病弱だったが、花や草を見るのが好きで、野山を歩くうちに体力がついたそう。

村の“お坊ちゃま”で、寺子屋に通って読み書きを習い、やがて塾に通って年上の塾生と肩を並べて勉強。その後、学校制度が始まって小学校ができるが、その時はすでに13歳。「授業の内容が馬鹿馬鹿しい」と、2年生で中退。それからは家で本を読み、野山を歩き回って気になる草木を観察したり、絵を描いて過ごしたりしていたそう。村の医者が持っていた薬草の専門書に夢中になり、祖母に頼んで全20巻を購入した、という話もある。

■“雑草”という草は無い!

植物の分類学に目覚めると、19歳のときに上京。上野で開催された博覧会を見学し、最新の顕微鏡や貴重な本を手当たり次第に購入。一度は故郷に帰ったものの、「雑草なんて草は無い! 自分の手で日本の植物の全てを明らかにしたい!」という思いから、家業を継がずに再び上京。

いきなり東京帝国大学(東京大学)の植物学教室を訪ね、自分が作成した植物図や標本を見せると、その正確さや本格的なことに驚いた矢田部教授から認められ、教室の自由な出入りが可能に。東大の植物学教室で貴重な資料を見られるようになり、どんどん知識を吸収し、それまで大学でも名前を付けられないままだった標本も、次々と分類して成果をあげていく。

■同業者からねたまれ、東京大学「出禁」に

学歴のない若者の活躍に、ねたむ声や批判の声もあがり、ある日突然「今日からは教室に出入りするな」「大切な資料も貸すことはままならぬ」というお達しを受ける。

失意のどん底に落とされ、さらに、借金が膨れ上がるなどのつらい経験も。しかし、仲間や結婚した妻の支えもあり、再び研究に打ち込み、一度は「出禁」となった東京大学にも講師として復帰。数々の研究の成果が広く知られ「博士号を贈ろう!」という動きも出て、昭和2年、東京帝国大学理学部教授会で満場一致で博士号が贈られた。

この日の放送を振り返って、戸田は「牧野さんが描いた絵とか、ウェブでいろいろ見たんですが、ヨーロッパの絵葉書みたいな感じのタッチの絵なんですよ。ポストカードになっていたら、是非買ってみたいなと思うくらい素敵な、柔らかい感じの描き方で。葉っぱ一枚にしてもすごく細かくて、素晴らしいなと思いました」とコメント。

「雑草」と呼ばれていた草の一本一本を愛し、名前を付けた牧野博士。最近は朝ドラに向け、彼にまつわるさまざまな企画展が開催されるそうなので、のぞいてみては。

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