尾上右近が黒木瞳に語る「立役と女形の演じ方の違い」

黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(4月29日放送)に歌舞伎俳優の尾上右近が出演。立役と女形の演じ方の違いについて語った。

尾上右近

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。4月25日(月)〜4月29日(金)のゲストは歌舞伎俳優の尾上右近。5日目は、團菊祭五月大歌舞伎について—

黒木)「團菊祭五月大歌舞伎」(5月2日〜27日 歌舞伎座)のご説明をお願いします。

尾上)團菊祭というのは歴史ある公演で、私が所属しております音羽屋にとっても尾上家にとっても非常に重要な公演でございます。第三部の「弁天娘女男の白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)」という演目で、弁天小僧菊之助という主人公として出演させていただきます。

黒木)弁天小僧菊之助。

尾上)この「弁天娘女男の白浪」という演目は音羽屋にとってとても重要なお家芸でもありまして、これを20代最後の月にやらせていただきます。いままでの舞台の経験や熱量をすべてぶつけていきたいと思います。役柄は、盗賊の役なので悪い小僧なのですが、清々しい悪を演じてパーッと散っていきたいと思います。

黒木)弁天小僧にかける意気込みを教えてください。

尾上)自分のなかでは1つの奇跡だと思っていますし、この喜びは私にしか出せないエネルギーだと思います。自分の公演では1度、弁天小僧をやらせていただいたのですが、これが歌舞伎座という大舞台で團菊祭という歴史ある公演で、そして何よりも若手一同で出させていただけるということで、全力で自分にしかできない舞台をつくりたい。そして歌舞伎というものをご存じない方でも、観ていただけたら、「もう1度観よう」と絶対に思っていただける舞台にしようと思っています。

黒木)お顔がとても端正でいらっしゃるので、立役も女形も両方おやりになるではないですか。やはり違うものですか?

尾上)これは違いますね! 性を越えていくには修業が必要なので、女形には時間が掛かります。自分の声を見つける、自分の体のいい角度を見つけるなど、技術的な部分でとても時間が掛かりますね。

黒木)どの辺りの声で出していくかとか、そういうことですか?

尾上)そうです。どういう声の出し方で、どの辺がいちばん合うか、さらに役柄に合った声と自分の楽なところの共通部分を見つける作業をします。ただ歩くだけでも大変なのですよ。

黒木)仕草もまったく違うではないですか。

尾上)そうなのですよ。

黒木)両方おやりになる歌舞伎俳優の方はすごいですよね。

尾上)男のときはある意味、日常に少し日本舞踊的な美意識が加わった動きで済むところがあります。女形の方が最初は緊張していたのですが、経験を積んでいくと武装の仕方を覚えるというか、自分で1つの役に入るためのフィルターを通すことができます。

黒木)女形では。

尾上)立役の場合は、自分が出るので楽な分、怖いというか。最近は特にそんな風に感じます。立役の方が自然にできると思いながらも「自然」ということを深めていくことは、また別なので、立役の方が緊張しますね。最近は女形の方が楽ですね。

黒木)そうなのですね。女形のときのお写真などを拝見すると本当に綺麗ですよね。

尾上)いやいや、ありがとうございます。

黒木)今回は弁天小僧ですから立役なのですね。

尾上)そうです。女装して万引きと見せかけて美人局という悪い手口を使って、お金をお店から奪い取っていく。結局バレてしまって、楽屋で女形さんが衣装を脱いで男になるというようなことを舞台上でやります。いい意味での下品さを持ちながら舞台上で男になってしまう。

黒木)両方楽しめるということですね。

尾上)そうです。両方やらせていただいている身としては、どちらも見ていただけるので。

黒木)見どころ満載ですね。

尾上右近

尾上右近(おのえ・うこん)/ 歌舞伎俳優

■1992年5月28日生まれ。清元宗家七代目・清元延寿太夫(きよもとえんじゅだゆう)の次男。曾祖父は六代目尾上菊五郎、母方の祖父には俳優 鶴田浩二。
■2000年、7歳のとき、歌舞伎座『舞鶴雪月花』の松虫て?・本名の岡村研佑て?初舞台。12歳で・新橋演舞場「人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)」の長兵衛の娘・お久役ほかて?二代目尾上右近を襲名。2018年1月、清元栄寿太夫を襲名。
■2017年『スーパー歌舞伎IIワンピース』では主役ルフィを演じた。
■俳優と清元の両立が注目を集めるほか、テレビ・映画・バラエティなどでも活躍。大河ドラマ『青天を衝け』などに出演し、初出演映画の『燃えよ剣』では、会津藩藩主・松平容保を演じ、第45回日本アカデミー賞』新人俳優賞を受賞。
■5月2日〜27日には、歌舞伎座で『團菊祭五月大歌舞伎』。第三部「弁天娘女男白浪」で、弁天小僧菊之助を演じる。
※團菊祭は、近代歌舞伎の確立に貢献した、九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎の功績を称えるために、昭和11年から始まり、近年の歌舞伎座では五月興行の恒例の祭典として上演。

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