“映画の祭典”が華やかに開催!「第35回東京国際映画祭」レポート

【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1083回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

10月24日~11月2日まで開催された、アジア最大級の映画の祭典「第35回東京国際映画祭」。私は毎年、司会者として映画祭のサポートをさせていただいています。

昨年(2021年)より開催地を日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区に移し、3年ぶりにレッドカーペットが復活。コロナ禍の制限により来日が叶わなかった海外の映画人も各国から訪れ、一気にお祭りムードが戻ったかのような印象を受けました。

そこで今回は、八雲ふみねの視点から「第35回東京国際映画祭」を深掘りします。

第35回東京国際映画祭(シネマアナリスト・八雲ふみね)

日比谷の街を華やかなレッドカーペットが彩る

映画祭の幕開けを告げる、レッドカーペットイベント。全長は165メートル。東京ミッドタウン日比谷の日比谷ステップ広場から東京宝塚劇場まで抜ける日比谷仲通りを、マスコミや観客の熱視線を浴びながら、国内外130人を超える豪華ゲストが闊歩しました。

そんななか、多くのゲストがニッポン放送「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」のカメラの前に立ち止まり、映画祭に参加する喜びを語って下さいました。

第35回東京国際映画祭

放送スタート55周年を記念して、東京国際映画祭で特集上映された「ウルトラセブン」。

真っ赤なカーペットには、ウルトラセブンと主人公のモロボシ・ダンを演じた森次晃嗣さんが登場。揃ってポーズを決めて下さいました。

第35回東京国際映画祭

ディズニーオリジナル『ガンニバル』を引っさげて登場したのは、柳楽優弥さん。

実は、東京国際映画祭は初参加とのこと。賑やかなレッドカーペットの雰囲気を、存分に楽しんでいらっしゃるご様子でした。

第35回東京国際映画祭

互いの気持ちのすれ違いに葛藤する娘と母の感情を綴った人間ドラマ『わたしのお母さん』。

タキシード姿の杉田真一監督について「タキシードに帽子を被ろうとして、スタイリストさんに止められたんですよ」と、茶目っ気たっぷりに裏話を披露して下さった井上真央さん。その輝く笑顔は、レッドカーペットに集まった映画ファンを虜にしていました。

第35回東京国際映画祭

34年ぶりに上映されることになったJスプラッターの傑作『DOOR』(デジタルリマスター版)。

「行方不明だったフィルムが見つかって、そのデジタルリマスター版が上映されることになったんですよ」と、満面の笑みを浮かべる高橋伴明監督。「フィルムが存在する限り、何十年経っても観ることができるのが映画のよさですよね」と語る、主演の高橋恵子さん。

日本映画界を代表する監督と女優の登場に、会場のボルテージも最高潮に!

第35回東京国際映画祭

瀬戸内寂聴、井上光晴、そしてその妻。男女3人の特別な関係を描いた『あちらにいる鬼』。

「久しぶりのレッドカーペット。やはり気持ちがいいですね」と笑顔を見せる、豊川悦司さん。ダンディな姿は、華やかなレッドカーペットで一際輝いていました。そして豊川さんの奥に見えるのは、着物姿が艶やかな広末涼子さんです。

第35回東京国際映画祭

エッセイスト・高山真氏の自伝的小説を映画化した『エゴイスト』から、松永大司監督、宮沢氷魚さん、鈴木亮平さん。

「東京のど真ん中で、こんな映画祭が開催できるなんて最高です!」と話す鈴木亮平さんの笑顔も、最高でした!

第35回東京国際映画祭

2021年に続き、ビジュアルプロデューサーを務めたコシノジュンコさん。「大変な時代ではありますが、そんなこととは関係なく前向きに。日本が元気になるために、映画は必要だと思います」と、力強くコメントして下さいました。

第35回東京国際映画祭

ちょっぴり可笑しな大人のラブストーリー『窓辺にて』から玉城ティナさん、稲垣吾郎さん、中村ゆりさん、今泉力哉監督。

主演の稲垣吾郎さんは「共に作品をつくったメンバーで、レッドカーペットを歩くことができて嬉しいです」と、笑顔いっぱい。

第35回東京国際映画祭

2年連続でフェスティバル・アンバサダーに任命された橋本愛さん。「多くの人に、映画との素敵なご縁が訪れますように……」と語るその瞳は、キラキラと輝いていましたよ。

第35回東京国際映画祭

コンペティション部門審査委員長を務めた、演劇・オペラ演出家、映画監督として活躍するジュリー・テイモアさん。「ここに来ることができて、本当に素晴らしく思っています」と、審査員を代表してコメントを下さいました。

第35回東京国際映画祭(シネマアナリスト・八雲ふみね)

これぞ映画! 八雲ふみね厳選の4作品

10日間にわたって、169本の作品が上映された「第35回東京国際映画祭」。そのなかでコンペティション部門は、107の国と地域から1695本の応募があり、15作品が会期中に上映されました。

私も時間の許す限り、さまざまな作品を拝見しましたが、そのなかでも特に印象的だった作品をご紹介します。

『ザ・ビースト』

ザ・ビースト

舞台は、スペイン、ガリシア地方の人里離れた村。移住してきたフランス人の中年夫婦が直面する、地元の有力者の一家との軋轢を描いた心理スリラー。

人にとって“正義”とは何なのか。その根源を問う問題作は、最高賞にあたる東京グランプリ/東京都知事賞に加えて、最優秀監督賞(ロドリゴ・ソロゴイェン監督)、最優秀男優賞(ドゥニ・メノーシェ)の3冠を獲得。パワフルにして濃厚! な一作です。

『あつい胸さわぎ』

あつい胸さわぎ

突如、若年性乳がんが発覚した少女と、その母親の姿を描いた『あつい胸さわぎ』。

乳がんという繊細なテーマを取り扱いながらも、優しさとユーモアに満ちた情感豊かな1作です。

『あつい胸さわぎ』舞台挨拶

写真は、上映前に行われた『あつい胸さわぎ』舞台挨拶の様子。右から、まつむらしんご監督、吉田美月喜さん、司会・八雲ふみね。

本作が初主演映画となった吉田さん。彼女が話す姿を感慨深く見つめる、まつむら監督。その関係性は、まるで父娘のよう。その微笑ましい様子に、会場は温かな雰囲気で包まれました。

『窓辺にて』

窓辺にて

コンペティション上映作品のなかから一般観客による投票で決まる観客賞に輝いた『窓辺にて』。

稲垣吾郎が「僕の素に近い」と語る主人公が、とてもチャーミング! ごく身近に居そうな夫婦やカップルの些細な感情や揺らぎを丁寧に描いた秀作です。

『孔雀の嘆き』

孔雀の嘆き

妹の心臓手術のために大金が必要となった主人公が働いたのは、望まれない妊娠で生まれた子どもを外国人に斡旋する組織だった……。

“スリランカの逸材”と呼ばれるサンジーワ・プシュパクマーラ監督が手がけた『孔雀の嘆き』。圧巻の映像美で社会のダークサイドに迫った本作は、最優秀芸術貢献賞を受賞しました。

『孔雀の嘆き』上映後のQ&A

写真は『孔雀の嘆き』上映後のQ&Aに登壇した、サンジーワ・プシュパクマーラ監督、プロデューサーのアミル・アベイスンダラ、スランガ・ハンダパンゴダ。

プシュパクマーラ監督によると、本作を制作するきっかけとなったのは妹の死だったとのこと。「映画に登場する妹の名前はイノカと言いますが、わたしの妹の名前もイノカ。彼女は亡くなってしまいましたが、僕の映画のなかでは生き続けて欲しい」という言葉が印象的でした。

第35回東京国際映画祭(シネマアナリスト・八雲ふみね)

クロージングセレモニーにて、コンペティション部門で審査委員長を務めたジュリー・テイモアは、次のように語りました。

「私たちは馴染みのあるものに慣れてしまっている傾向があり、それは問題だと思います。そうではなく、自分ではない人の人生を経験し、歩むことで自分を豊かにしてくれるのが映画だと思います」

その言葉どおり、驚きと感動に満ちた映画体験を私たちにもたらしてくれた「第35回東京国際映画祭」。

映画には、人と人の心をつなげる力があります。相手の個性を知り、考えを尊重するきっかけとなり得る可能性を秘めています。その“力”を1人でも多くの人に届けたいと、私自身も心新たにした映画祭でした。

 

『ザ・ビースト』

■ザ・ビースト

原題:The Beasts[As Bestas]
監督:ロドリゴ・ソロゴイェン
出演:ドゥニ・メノーシェ、マリーナ・フォイス、ルイス・サエラ
(C)Arcadia Motion Pictures, S.L., Caballo Films, S.L., Cronos Entertainment, A.I.E, Le pacte S.A.S.

『あつい胸さわぎ』

■あつい胸さわぎ

The Lump in My Heart
2023年1月27日(金)から全国ロードショー
監督:まつむらしんご
出演:吉田美月喜、常盤貴子、前田敦子
配給:イオンエンターテイメント、S・D・P
(C)2023 映画「あつい胸さわぎ」製作委員会

『窓辺にて』

■窓辺にて

by the window
2022年11月4日(金)から全国ロードショー
監督:今泉力哉
出演:稲垣吾郎、中村ゆり、玉城ティナ
配給:東京テアトル
(C)2022「窓辺にて」製作委員会

『孔雀の嘆き』

■孔雀の嘆き

原題:Peacock Lament[Vihanga Premaya]
監督:サンジーワ・プシュパクマーラ
出演:アカランカ・プラバシュワーラ、サビータ・ペレラ、ディナラ・プンチヘワ
(C)Sapushpa Expressions and Pilgrim Film

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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