『リボルバー・リリー』行定勲監督が語る、女優・綾瀬はるかの魅力

【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1133回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

今回は、現在公開中の『リボルバー・リリー』と『ふたりのマエストロ』をご紹介します。

『リボルバー・リリー』

映画館で観たい!『リボルバー・リリー』 ~S&W M1917リボルバーが、日本映画界の新たな時代を射抜く!

ハードボイルド作家・長浦京による第19回⼤藪春彦賞受賞作「リボルバー・リリー」。

二転三転する予測不能なストーリーや読み応えのある骨太なアクションシーンの描写で人気を集めた小説が、実写映画となりました。

男たちが乱れ狂った時代に降臨するダークヒロイン・小曾根百合を中心に、人々の“思惑”と“銃弾”が飛び交う戦闘をかつてないスケールで描いた、エンターテインメント・アクション超⼤作が誕生しました。

『リボルバー・リリー』

『リボルバー・リリー』のあらすじ

1924年、大正末期。東京は関東大震災からの復興を目指していた。街には鉄筋コンクリート造りのモダンな建物が増え、人々は活気にあふれていた。

そんな東京の下町に位置する花街・玉の井で、カフェー“ランブル”の女主人として暮らしている小曾根百合。彼女は16歳からスパイ任務に従事し、東アジアを中心に3年間で57人の殺害に関与したという経歴の持ち主だった。

あるとき、百合の前にひとりの少年が現れる。彼の名は、細見慎太。陸軍に家族を殺害された慎太は、消えた陸軍資金の行方に関する鍵を握っていた。

行動を共にする2人は、やがて巨大な陰謀の渦に呑み込まれていく……。

『リボルバー・リリー』

『リボルバー・リリー』行定勲監督が、その全貌を語る!!

主人公・小曾根百合役の綾瀬はるかを中心に、長谷川博己、羽村仁成(Go!Go!kids/ジャニーズJr.)、シシド・カフカ、古川琴音、清水尋也、ジェシー(SixTONES)、佐藤二朗、吹越満、内田朝陽、板尾創路、橋爪功、石橋蓮司、阿部サダヲ、野村萬斎、豊川悦司といった豪華俳優陣の共演でも話題となっている本作。

メガホンを取ったのは、情感あふれる映像と、深みのある人物描写に定評がある行定勲監督。これまでラブストーリーや人間ドラマを数多く手がけてきた行定監督ですが、アクション映画に携わるのは今作が初めてとなります。

「最初にスタッフに伝えたことは、耽美的なアクション映画をつくりたいということ。大正時代の物語だし、アクションにも間合いというか、日本人が持つ情緒のようなものが重要なのではないかと。だからフィジカルな動きだけに終始するのではなく、ドラマ的な間合いも取り入れたいなと考えたんです」

アクションシーンをつくり上げていく工程は、行定監督にとって、とても刺激的だったとのこと。

なかでも特徴的なのが、綾瀬はるか扮する小曾根百合と羽村仁成演じる細見慎太が、陸軍兵と対決するクライマックスのシーン。行定監督ならではのアイデアが形になったということで……。

「前が見えず、敵の姿も確認できない。そんな深い霧のなかを、百合と慎太が進んでいく。このシーンは、モダンバレエみたいにつくろうと思いついたんです。そこで振付師の方に、2人の動きを舞踊的に表現してもらいました。それを元にして、リアルに戦うとするならばどうなるのか、アクションコーディネーターが殺陣をつけていく。

彼らはエキスパートだから、みんな嬉々として、僕が持っているイメージ以上のアイデアを、次々と提案してくれるんですね。『え、この振り付けがこんな風に変化するの?』って、僕にとっては驚きと発見の連続でした」

『リボルバー・リリー』

そして、本作を語るにおいて外せないのが、やはり主演・綾瀬はるかの存在。

綾瀬さんの映画初出演作は、行定勲監督の短編映画『JUSTICE』(『Jam Films』の一作として、2002年公開)で、実に約20年ぶりのタッグとなりました。再び作品づくりを共にした女優・綾瀬はるかは、行定監督の目にはどのように映ったのでしょうか。

「百合が、森のなかにある国松(石橋蓮司)の小屋を訪ねるシーン。足場の悪い環境なのにもかかわらず、体が上下に揺れたり重心がブレたりすることなく、まっすぐ歩いてくる。僕がいちばん好きなカットなんですけれど、カメラテストの段階で『あ、小曾根百合というのはこういう人間なんだ』ということが伝わってきました。

彼女は、小曾根百合という役を頭で考えず、身体で捉えようとしていましたね。アクションプランを完全に体得することで、百合の精神性まで掴み取っていく。その気迫が現場を動かしていくような感もあって、これは間違いなくいい作品になるという確信を持つことができました。小曾根百合は綾瀬はるかにしかできない役だったと思います」

『リボルバー・リリー』

先日、書籍「映画女優(ヒロイン)のつくり方」を刊行した行定勲監督。著作のなかでは、『リボルバー・リリー』で主演を務めた綾瀬はるかはもちろん、吉永小百合、薬師丸ひろ子、長澤まさみなど、日本を代表する女優たちとの知られざるエピソードが語り尽くされています。

映画監督と映画女優の関係性は数多あれど、行定監督は自作の主演女優にとって、どのような立場でいたいと願っているのでしょうか。

「映画監督の仕事って何だろうって、自問することが度々あるんですけれど……。俳優たちは、これまで生きてきた環境や体験を通じて、自分が演じる人物を理解していく。その過程で迷いが生じたならば一緒に考え、彼女たちが出した“答え”が、最終的にこれでよかったんだと思える“道しるべ”になれればいいのかなと。結局は“見守っている存在”、“いちばんのサポーター”ということなのかな(笑)」

『リボルバー・リリー』

行定勲監督自身が「大きな冒険をさせてもらった作品」と語る、映画『リボルバー・リリー』。

2023年の夏をさらに熱く盛り上げる、エンターテインメント超大作。その全貌は、是非、映画館で目撃して。

『ふたりのマエストロ』

コチラも映画館で観たい!『ふたりのマエストロ』 ~親子とは、愛おしくも複雑なもの

父も息子も指揮者という、デュマール親子。輝かしいキャリアを誇り、その道の大ベテランである父・フランソワに対し、息子・ドニは“いまをときめく指揮者”としてクラシック音楽界の注目を集める存在だ。

ある日、父の元に1本の電話がかかってくる。それは、世界最高峰<ミラノ・スカラ座>からの音楽監督への就任依頼。父は生涯をかけて掴んだ栄誉に大喜びするが、実は、その依頼は息子宛の誤報で……。

第94回アカデミー賞で作品賞を受賞した『コーダ あいのうた』の製作陣が贈る、ヒューマンドラマ。

同じ職業がゆえ、なかなか相手を認めたくない。そんな不協和音が鳴り続けている父子の関係性を中心に、家族の葛藤を巧みに描いた秀作。

ベートーヴェン「交響曲第9番」やシューベルト「セレナーデ」など、彼らの心の機微を代弁するかのようなクラシックの名曲たちにも注目ですよ。

『リボルバー・リリー』

『リボルバー・リリー』

全国東映系にてロードショー
出演:綾瀬はるか、長谷川博己、羽村仁成(Go!Go!kids/ジャニーズJr.)、シシド・カフカ、古川琴音、清水尋也、ジェシー(SixTONES)、佐藤二朗、吹越満、内田朝陽、板尾創路、橋爪功、石橋蓮司、阿部サダヲ、野村萬斎、豊川悦司

原作:長浦京『リボルバー・リリー』(講談社文庫)
監督:行定勲
脚本:小林達夫、行定勲
音楽:半野喜弘

企画・プロデュース:紀伊宗之
配給:東映
(C)2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ

『映画女優(ヒロイン)のつくり方』

『映画女優(ヒロイン)のつくり方』

幻冬舎新書より発売中
著者:行定勲
定価:990円(本体900円+税)
(※価格は紙書籍のものです)

『ふたりのマエストロ』

『ふたりのマエストロ』

2023年8月18日(金)からヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下、シネ・リーブル池袋 ほか全国順次公開
監督・脚本:ブリュノ・シッシュ
製作責任者:フィリップ・ルスレ
出演:イヴァン・アタル、ピエール・アルディティ、ミュウ=ミュウ、キャロリーヌ・アングラーデ、パスカル・アルビロ、ニルス・オトナン=ジラール
原題:MAESTRO(S)
配給:ギャガ
宣伝協力:ミラクルヴォイス
(C)2022 VENDÔME FILMS ‒ ORANGE STUDIO ‒ APOLLO FILMS

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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