チャン・イーモウ監督が「三国志」を水墨画の世界観で描く

【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第685回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。支配人の八雲ふみねです。シネマアナリストの八雲ふみねが観ると誰かにしゃベりたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

 

今回は、9月6日公開の『SHADOW/影武者』を掘り起こします。

自分が本当に撮りたい物語と巡り合った…

中国映画界の巨匠チャン・イーモウ監督が『HERO』『LOVERS』の主要スタッフとタッグを組み、再び挑んだ歴史活劇『SHADOW/影武者』。

「三国志」の<荊州争奪戦>をダイナミックにアレンジし、武侠アクションの新時代を切り開く傑作エンターテインメントが日本に上陸しました。

古代、戦国時代の中国。沛(ペイ)国が領土の境州を強大な炎国に奪われてから、20年が経過していた。若き王は炎国と休戦同盟を結んだものの、平和ではあるが屈辱的な日々に甘んじていた。そんなとき、頭脳明晰で武芸の達人である重臣・都督(トトク)は、王の許しを得ず、敵の将軍・楊蒼(ヤン・ツァン)に境州での対決を申し込む。

彼の勝手な行動に怒り狂う王だったが、実は王の目の前にいる都督は影武者。境州を奪還する計画を進めている本物の都督は、自分の“影”に、任務を全うした暁には身柄を自由にしてやることを条件に、楊蒼を殺すことを命じていたのだ。そして王も、ある策略を秘めていて…。

構想からクランクインまで3年半、撮影期間は5ヵ月にも及んだ本作。チャン・イーモウ監督が何よりもこだわったのは、中国らしさをしっかりと前面に打ち出すということ。衣装やヘアメイクはもちろん、小道具やセットすべてにわたってきめ細やかな指示を出し、少しでも監督の意にそぐわないと一から作り直し…という徹底ぶりで、独自の世界観を生み出しました。

中国伝統の水墨画からインスパイアされたという、白と黒を基調としたグラデーションは斬新かつ美しく、観る者の目を釘付けにします。

本作では、沛国の重臣・都督とその影武者の1人2役を演じるダン・チャオが鋭い刃で作られた傘をふるう“傘武術”をはじめ、これまで誰も見たことがないような超絶アクションが繰り広げられます。

<柔よく剛を制す>の精神で巨大な敵に立ち向かう影武者の姿は、変幻自在に形を変え、決して壊されることがない水のごとし。光と影のコントラストを巧みに使った演出も素晴らしく、チャン・イーモウ監督の作家性に、あらためて圧倒されることでしょう。


『SHADOW/影武者』

2019年9月6日(金)から全国ロードショー
監督・脚本:チャン・イーモウ
撮影監督:チャオ・シャオティン
出演:ダン・チャオ、スン・リー、チェン・カイ、ワン・チェンユエン ほか
(C)2018 Perfect Village Entertainment HK Limited Le Vision Pictures(Beijing)Co.,LTD Shanghai Tencent Pictures Culture Media Company Limited ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト http://shadow-movie.jp/


八雲ふみね

映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。
機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。
初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。
トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com

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