ソラマチに昭和を再現 「三丁目の夕日」が広がる展覧会

庶民の暮らしを描く物語からミステリー、SF、アクションまで心を揺さぶるさまざまな物語を描いてきた漫画家・西岸良平氏の画業50周年を記念し、西岸氏初の展覧会「三丁目の夕日と鎌倉ものがたり ~昭和レトロとSFミステリー~」が、スカイツリーに隣接する商業施設「東京ソラマチ」(東京都墨田区)の5階ギャラリー「スペース634」にて11月18日より開催。

味わい深い絵柄で、思わず涙しそうになったり、くすりと笑わされたり、「人ってなんなんだろう」と考えさせられたり。1972年から商業誌に初の連載を開始した西岸氏の生み出すストーリーは、これまで多くの人たちの心を動かしてきた。その魅力がぎゅっと詰まった展覧会。ひと足先に行ってみた。

黒幕をくぐると、西岸氏から来場者へ向けたメッセージが壁に飾られ、ガラス棚には代表作の一つ「鎌倉ものがたり」の劇中に登場した蓄音機や鉄道模型、万年筆やカメラなどが並ぶ。さらに進むともう一つの代表作である漫画「三丁目の夕日」のエリアがお目見えした。

家々や電柱の影が夕焼けによって浮かび上がる壁紙、ビー玉やおはじき、ブリキのおもちゃや真空管ラジオなどの展示が、来場者を一気に昭和の世界へと没入させる。ボタンを押すと「お母さんのカレー」の香ばしい匂いがするギミックもあり、懐かしくてなんだか泣きたくなるような気分だ。

壁には「三丁目」の構想から下書き、原稿までを追体験できる比較展示がずらりと並ぶ。西岸氏がどのようにクリエイションを進めているのかよくわかる。関係者によると、構想(ネーム)はコピーではなく“生モノ”。西岸先生、こんなに字がおきれいなのね……という、思わぬ発見も。

ゾーンの最後には、第1巻から最新刊である69巻までのカバーイラスト(複製原画)が整列。こうして1枚1枚まじまじと見ると、緻密に計算された構図や色使いに改めて驚かされる。

角を曲がると、死者や魔物の類が闊歩(かっぽ)する不思議な鎌倉を舞台にした漫画「鎌倉ものがたり」のエリアが見えた。ここでは「三丁目」ゾーンと同じく比較展示やカバーイラストが並ぶ一方で、主要人物である「一色先生と亜紀子さん」や人気キャラ「猫王」と一緒に写真が撮れるスポットもある。

そこから先は、氏の初期作品である単行本未収録作品「ラドン」の原稿の特別展示や、これまで発表してきた多彩な作品の紹介などもあり、“西岸ワンダーランド”はまだまだ続く。売店のコーナーでは、ラジカセや茶碗、レトロな洋服など昭和の生活をそのまま持ってきたような品が並ぶ。しかもこれ、ほとんどが購入できるという。

不思議な、あるいは懐かしい世界にいざなう展示品や仕掛けが並ぶ展覧会。出口を出るとき、「まだ現実には戻りたくない」と思わず振り返ってしまった。会期は27日(日)まで。ぜひ足を運んでみてはいかが?

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