「食×エネルギー」について学生たちがアイデアを創出!

イノベーション(変革)を「エネルギー」という視点で読み解くことで未来を考えてゆくメディア「EMIRA」は27日、早稲田大学パワー・エネルギー・プロフェッショナル育成プログラム(以下、PEP)とともに、ビジネスアイデアコンテスト企画第二弾「EMIRAビジコン2021 エネルギー・インカレ」をオンラインにて実施した。

本大会は、EMIRAと、早稲田大学を代表校に13大学が連携する5年一貫の博士人材育成プログラムであるPEPが共催。今回は、生きていく上で欠かせない「食」の課題について、エネルギーの視点から挑戦するビジネスアイデアを全国の大学生・大学院生から募り、この日、182チームの頂点が決定した。

最優秀賞を受賞したのは、「食の不均衡をエネルギーの視点で〜食品ロスから食品とエネルギーを〜」について発表した東北大学大学院のチーム「宏塾」。最優秀賞を発表した早稲田大学理工学術院 教授 同大スマート社会技術融合研究機構 機構長 同大卓越大学院PEPプログラム プログラムコーディネーター林 泰弘氏は、「廃棄物をドライフルーツ化して提供することと、廃棄するものをしっかりコストとして考えるという多面的な考え方が高く評価されました」と語った。

大会後、EMIRA最優秀賞を受賞した東北大学大学院のチーム「宏塾」、および今回の審査員である東京電力ベンチャーズ株式会社代表取締役社長・赤塚 新司氏と出前館エグゼクティブアドバイザー・中村 利江氏にインタビューを行った。

<「宏塾」インタビュー>

――最優秀賞を受賞した、今の率直な感想を聞かせてください。

長谷川:普段から浦田と共に、環境問題についていかにビジネスを使って解決するのかと話していたので、今回私たちのアイデアが認められたということが非常に光栄です。

浦田:認められて嬉しい一方で、他のチームの発表を聞くと、課題というものは常に連動して動いていくものだと感じました。今回は食×エネルギーというテーマに着目しましたが、まだまだ見なくてはいけないことがあるなと感じました。

――今回のテーマである、「食の不均衡をエネルギーの視点で」という内容に着目したきっかけはなんですか。

長谷川:茨城県で育ち、農家がまわりに多かったのですが、幼い頃から道端に捨てられている農作物を目にすることが多くありました。大学で環境の勉強をしていくうちに、「あれがフードロスだったんだ」と気付いて、課題意識を持つようになりましたね。加えて、ドイツのミュンヘンに研究留学をしていたときに、日本の環境技術のレベルの高さを実感しました。この技術を使って何か解決していきたいという思いもあってこのテーマを選びました。

浦田:直接的にフードロスという問題に繋がったわけではないのですが、アフリカでコンサルティングのインターンをしていた時に、市場のまわりにはかなりの量の食品が捨てられていることを目の当たりにしました。その一方で、貧しい故に痩せ細った子供たちの姿も目にしたので、食品が捨てられていることと飢餓、まさに「食の不均衡」というテーマにたどり着きました。

――実際にこの事業を進めていくとしたら、課題はどのようなことになると思いますか?

浦田:質疑応答でも挙がっていましたが、フリーズドライ加工をする上でのCO2の排出だと思います。試算では、2050年に掲げている削減割合としては可能であると思いますが、2030年の段階では、フリーズドライ加工の技術の問題でCO2を排出してしまうので、そこの理解を得られるかという点が壁としてあると思います。

――今回、The Waste Transformersなど海外での事例も取り入れていましたが、留学先での経験や知見が生きているのでしょうか?

浦田:その経験もかなり大きいです。やはり「食の不均衡」と聞いて一番に思い浮かぶのは飢餓状態の方だと思いますので、アフリカでの経験が生きていると思います。

――コロナ禍で研究を進めるにあたり、どのような点に苦労しましたか?

浦田:コロナ禍ということでできなかったのは、現地調査ですね。他のチームの発表を聞いて、自分たちもやれればよかったなと思う一方で、実行するのは難しかったかと思います。

長谷川:加えて、取り組みへの苦労とはズレてしまうかもしれませんが、今回僕たちの事業計画にはコロナ禍であるということを考慮できなかったので、実現性を考えたときにこういった事情も考慮できれば良かったなと思いました。

――この研究の今後について、どのようにお考えですか。

浦田:このあと社会人になってから実現していきたいと思っていたアイデアなので、実現できればいいなと思っています。

長谷川:もともと環境活動に貢献したいという思いで専攻を選んだのですが、環境問題は技術的な問題だけではなくて、どうビジネスとして回していくのかというところに行き着きました。こうした制約のある中でビジネスを考える面白さを今回改めて感じたので、将来的にもそういったところで働きたいと思っています。

<東京電力ベンチャーズ株式会社代表取締役社長・赤塚新司氏インタビュー>

――5組のアイデア、特に最優秀賞のアイデアについてどのように感じられましたか?

赤塚:審査員の中にも専門性の違いがあって各チームに対して様々な評価がありましたが、それでもやはり、最優秀賞の「宏塾」はアイデアの構成もしっかりしていて、かつ定量的に整理されていました。加えて、自分たちのモデルを実際にどういうところで展開するのかまで検討していた具体性が評価されたと思います。

――新たなビジネスの創出について、学生のアイデアから何か感じるものはありましたか?

赤塚:学生の皆さんはすごく多面的な視点を持っていらっしゃると感じましたね。特に事業性だけではなく、社会課題に向き合って“どう自分たちで解決していくか”という観点から、社会性を踏まえたモノの考え方をしている方が多いと感じました。

―――ご自身は「エネルギー×食」というテーマに対して、どうお考えですか?

赤塚:全ての人にとって、「エネルギー」とともに「食」は非常に身近なものであり、そして、「エネルギー」と「食」は非常に近い領域です。今回寄せられたアイデアは全体として、食品の廃棄をいかに減らすか、あるいはそれをどう有効活用するかというポイントに着目したものが多かった。私としてもここに一つのビジネスチャンスがあるんじゃないかなと再認識した、いい機会だったと思います。

―――コロナ禍で勉学に励む、全国の大学生・大学院生に一言お願いします。

赤塚:以前と比べて思うように物事を進めづらかったり、いわゆるキャンパスライフもままならなかったりする中でも、皆さん自分の将来に向けて頑張っていらっしゃると思います。WEB環境やデバイスの進化もあり、自分がやりたい事は逆にやりやすい環境ができているとポジティブに捉えて欲しいです。わからないことがあればインターネットでも調べられますし、距離も気にせず様々な人から教わることもやり易くなっているはずで、いくらでも世界は繋がっています。逆にこの状況も生かしながら、やりたいことを深めていって頂きたいと思います。

<出前館エグゼクティブアドバイザー・中村利江氏インタビュー>

――新たなビジネスの創出について、学生のアイデアから何か感じるものはありましたか?

中村:以前のビジネスコンテストだと自分たちが利益を得るというところが多かったのですが、継続的な社会貢献や持続的な社会に向けての話が随分増え、今の学生の方がビジョンを高く持っているなと感じました。

――シェアリングサービスに繋がるようなアイデアなどもいくつか出ましたね。それについて何かアドバイスとかご意見はありましたか?

中村:シェアリングサービスは運送だけでなく、特に人の関わることではこれからの日本にとって必然のサービスになると思います。そこだけではなくて、皆さんにはもう一捻りやっていただけたらなと思いました。

――コロナ禍を経て、今後どのように「食」の在り方が変化していくと思いますか?

中村:残念ながら今、外食産業はすごく打撃を受けていて、逆にスーパーなどは伸びていて、いろんな変化が起こっています。これは元には戻らないと思うんですよ。新しい生活様式というのはずっと定着していくと思いますが、その中でチャンスってすごくいっぱいあると思います。変化が多い中で大変かと思いますが、そういうところを見つけて実行したところが勝っていくんじゃないかと思っています。

――コロナ禍で勉学に励む、全国の大学生・大学院生に一言お願いします。

中村:講義をする側も”リアル感“がなくて、画面越しだと辛い部分もあります。そこはすごく大変だとは思いますが、逆に現地に出向かなくても日本全国や世界中の講義を受けることができるチャンスが広がっていくと思いますので、そこはぜひうまく活用して進めていただけたらなと思います。

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