Hilcrhyme/TOC、二名義でのアルバム同時リリースを経てたどり着いた“境地”「人を喜ばせたい」

Hilcrhyme/TOC、二名義でのアルバム同時リリースを経てたどり着いた“境地”「人を喜ばせたい」

Hilcrhymeとソロ名義のTOCが、9月28日にニューアルバム「SELFISH」と「FOOLISH」を2枚同時発売し、2組がそれぞれニューアルバムを掲げたツアーを10月8日から全国6箇所で同時開催することが決定しました。 同一人物が、別名義の2つのプロジェクトのアルバムを同時発売するのは前代未聞の快挙となります。 2009年のHilcrhymeのメジャーデビューから13年の間に、Hilcrhymeのアルバム11枚、ソロ名義TOCのアルバム5枚、合計16 枚のオリジナルアルバムをリリースしている“多作”な彼。 そんな彼が、“Wリリース&Wツアー”という驚きの挑戦をしたその真意と、思い、そしてこれからについてなど、たっぷり語ってくれました。  

◆アルバム同時リリース&ツアー発表という“挑戦”「自分を追い込みたかった」 

ーーTOC名義とHilcrhymeのアルバム同時リリース&ツアー発表には、ファンの方も驚いたと思います。反響の声を聞いてみてどのようなお気持ちですか。   TOCさん(以下:TOC):喜んでもらえてとても嬉しいし、有り難いです。

デビューからコンスタントにアルバムリリースをしてきて、長年のファンの方々はリリースのスパンなども把握してきていると思ったので、ただリリースをするだけでは正直、刺激が足りないのではないかと思いました。

創作でとことん自分を追い込みたかった事と、ファンの皆様に驚いて、そして喜んで頂きたい、その2点がモチベーションでした。

完成できたことにホッとしているし、やり遂げたことと、作品の内容にとても満足しています。   ーー同時リリース&ツアーはいつ頃から構想を練られていたのでしょうか?   TOC:計画は去年の9月くらいから練っていました。

HilcrhymeとTOCどちらも一人のプロジェクトとなった現在、それを最大限に活かせることはなんだろうと考えたときにWリリース&Wツアーというアイデアを閃きました。自分自身、とてもワクワクしたのと、それと同じくらいのプレッシャーを感じたことを覚えています。

Hilcrhymeが期せずしてソロになったことをネガティブに考えずに、逆に武器としようと捉えることが大事でした。

「どちらもソロならTOCの活動に意味はあるのか?」そんな声が周囲から聞こえてきた時があったのですが、その「意味」をしっかりとわかりやすい形で示したかった。だからこその「同時発売」「同時開催」なのです。

ぜひどちらもアルバムを聴いて頂き、その「意味」をご理解頂けたら嬉しいです。

◆ “毎日に絶望した”創作の苦しみを打破したきっかけとは?

ーーアルバム制作をする上でキーポイントになった曲や難産だった曲などはありますか?   TOC:Hilcrhymeでは「限界突破」という曲がキーポイントでした。前作「FRONTIER」の発表から一年で、二名義で二枚のアルバムを出すというのは未知の領域でした。

「FRONTIER」のツアー最中から制作を始めなければ到底間に合わないと思っていたんですが、なんとそのタイミングで作詞のペンが完全に止まってしまったのです。

理由は、Hilcrhymeでは「誰かに伝えるメッセージ」 というテーマを大事にしてるんですが、それが枯渇してしまったんです。書きすぎてしまったという印象です。多作であるが故の出来事だったと思います。結局、作詞の手が進んだのは4月くらいからでした。

約半年間、何も進まなかった。その時は地獄の底にいるような感覚でした。毎日に絶望して、書けない自分を情けなく思い、とても苦しみました。

その時に「何も進まないなら、この苦しんでいる自分を描いてみよう」と思い、それがきっかけで一気にペンが進んで完成したのが「限界突破」です。

そこで、今自分が何を書きたいかに気付き、とことん自分について書いてみようと思って、そこからSELFISH(我がまま)というタイトルを思いつきました。   ーー選曲、曲順で基準になったことはありますか?   TOC:Hilcrhymeは、M1「Introduction -Morning Routine-」で夜明けをイメージし、そこから「あと数センチ」のダンスチューンに入り、テンションを上げる。そして「Be one feat.NITE FULL MAKERS」でガラッと空気を変えストイックな方向に持っていく。ここら辺はライブを強く意識して構成しました。そして終盤は「アクセサリ」で個性の大事さを訴え、「SELFISH」でこのアルバムの定義を示す。

9曲というボリュームは今、自分にとって、とてもいいサイズです。曲単体に関しても3番まで展開してるものは少なく、とにかくタイトに密に仕上げたかったです。

TOCの方は超攻撃的な一枚に仕上がりました。5曲というEPサイズなので曲順の流れはそこまで重視しませんでしたが、ちゃんとアルバムとして帰結するものにしたかった。全体的には解像度の高いオールドスクール的なものを目指していたので、年齢層問わず楽しんでもらえるのではないかと思います。TOCのツアーはライブハウス縛りなので、とにかくライブハウスを揺らすような音にしたかったんです。   ーーどちらもイメージカラーがグリーンですが、色合いに込められた意味はどんなものなのでしょうか。   TOC:テーマカラーを設けて作品づくりを久しぶりにやってみたかったんです。Hilcrhyme 4枚目のアルバム「LIKE A NOVEL」は青がテーマカラーでしたが、今回は自分が今シックリくるカラーが緑だったので二名義とも共通して緑にしました。

色に込めた意味は、TOCのアルバムに「MIDORI」という曲で語っています。愛しい女性に見立て歌っているその歌詞は、22年ドップリ浸かっているHIP HOPへの愛を謳っています。

数年前からJ-POPとHIP HOPの境目が曖昧になってきて、「あれはヒップホップだ、これはヒップホップじゃない」論争をすっかり聞かなくなりました。

しかし、自分はそこを通ってきた世代のアーティストなので一度はこういう曲を書いてみたかったです。

◆ “ラップで食べていく”と決意した瞬間「愚かでなければ夢は見れません」

ーー今回のアルバム名にちなんで、アーティスト人生で一番、愚か(FOOLISH)だったと思うエピソードはありますか?   TOC:23歳の時に「新潟でラップで食っていく」と決めて職場に辞表を出しに行ったんですが、それが最も「愚か」だったと思います。

確率で言ったら1%に満たない夢でしたが、今現在も僕以外では新潟にはいません。今、考えてもゾッとするし、周りの反対も多かったし、嘲笑されることもあった。

それでもそんな声が全く気にならない程、夢中でした。無謀で愚かな賭けでしたが、馬鹿と天才は紙一重という言葉の通り、愚かでなければこの立ち位置にはなれなかった。

愚かでなければ夢は見れません。   ーーでは、アーティスト人生で一番、我儘(SELFISH)を言ったエピソードはありますか?   TOC:ステージトラブルが続き、ライブでマイクを一度だけぶん投げた時があるんですが、若かったですね(笑)今ならば絶対にしないことですが、当時の僕は我儘だったじゃないかと思います。

しかも、そのまま帰ろうとする始末。そこまでしたら我儘を通り越してただのヤナ奴になってしまうので歌い切りました。   ーーそんな多忙な日々を送られているTOCさんのモチベーション維持になっているのは何でしょうか?   TOC:この2枚同時リリースを経てたどり着いた境地があって、「焦らない自分」を保てるようになりました。

今まではとにかく「作らなきゃ、やらなきゃ」という強迫観念に近いものがメジャーデビューから常にあったんですが、それがなくなり今はとても良い精神状態で日々を過ごしています。そうすると心に余裕ができて周囲に気を配れたり、自分よりも周りの笑顔が大事になってくる。つまり「共有」の方が幸せに感じるんです。

人を喜ばせたい、楽しませたい、それがモチベーションであり、その対象はもちろんファンの皆様です。

◆ “相思相愛な関係”のファンたちにメッセージ

ーーHilcrhymeがホール、ソロがライブハウスのツアーも開催されますが、それぞれのライブ演出の違いなど現時点で教えていただけることがあればお聞かせください。   TOC:Hilcrhymeは歌い上げるシーンも多々あるので、ゆっくり聴いていってほしいという意味で椅子のある会場を選びました。また単純にステージのサイズが大きいので、久しぶりに映像の演出もしたかった。

TOCはバックDJとしてAGETETSUがついてくれるので1DJ1MCならではのテンポの良いライブを見せたいなと思います。こちらの方はひたすら盛り上げるつもりです。

今回はとにかくHilcrhymeとTOCとのバランス取りが大事で、会場選びも演出も構成も対比しながら作り上げています。スタッフ含め、気合入りまくっているのでぜひ楽しみにしていて下さい。   ーー10月4日にはアーティストブック『Hilcrhyme OFFICIAL YEARBOOK 2022-2023 「R」』も発売になります。見どころを教えてください。   TOC:5冊目となるアーティストブック「R」は「RHYME」をメインテーマに置いて仕上げました。今までで最も作家としての自分を深く掘り下げている内容になっています。

Rhyme=押韻ということで、愛韻家として名高い LITTLEさんと対談させていただきました。リリック作りはそれぞれのやり方があると思うのですが、それを互いに話し合っていってとても新鮮なトークでした。

自分自身、気付かなかった事を指摘して頂いたり、ラッパーとしての姿勢やスタンス、思想など、深いところまで談義しています。ぜひ、読んで頂ければ幸いです。   ーー16年以上のキャリアを持ちながら、今回の同時リリース&ツアー発表以外や声優にも初挑戦など、新しいことを続けるTOCさんですが、今後の活動ビジョンなど挑戦したいことはありますか?   TOC:有り難いことに、ここ最近は声優や役者などをやらせて頂く機会があったのですが、ご縁があればまたやらせて頂きたいですね。どんな事をやるにせよ、全ての活動がアーティスト業に帰結すればいいと思っています。

今、一番興味があるのは教育です。子供や若い世代に寄り添って、共に何かを作り上げることをしてみたいです。教えることは自分でやるよりも遥かに難しい。だからこそ自分も成長できると思うんです。

それが音楽なのか、それとも全く違う何かなのかはわからないですが。僕はスタジオ運営をしているんですが、そこに通っている子たちを見ると、小さなコミュニティでも生み出されるエネルギーは凄まじいです。

思えばHilcrhymeもそうやって生まれたので、地方発信は変わらず、クリエイティブを色んな可能性を持った子たちと追求してみたいです。   ーーファンの皆さんへのメッセージをお願いします。   TOC:いつも変わらぬ応援をありがとうございます。Wリリース&Wツアーのアナウンスをした時は、恋人にサプライズを用意する感覚でした。

そして喜んでくれた皆さんの反応を見て、改めて僕はファンの皆さんと恋愛をしているんだなと思いました。これからも相思相愛な関係でいるために沢山のサプライズを考えたいと思います。

ツアーでお待ちしています。デートに来るような感覚でオシャレをして来て下さい。

【アルバム情報】

◆Hilcrhyme「SELFISH」 発売日:2022年 9月28日(水) 形態:初回限定盤(CD+DVD):4,400円(税込)

通常盤:3,300円(税込)

◆TOC「FOOLISH」 発売日:2022年9月28日(水) 形態:初回限定盤(CD+DVD):3,300円(税込)

関連記事(外部サイト)