【掟ポルシェの食尽族】第27回:ラーメン、カレー、寿司……2021年に食べて美味しかったものあれこれ

自称「食べもののことになると人格が変わる」ほど食に執心する“食尽族”でミュージシャンの掟ポルシェ(ロマンポルシェ。、ド・ロドロシテル)が、実際に食べてみて感動するほど美味しかったものや、はたまた頭にくるほどマズかったもの、食にまつわるエピソードについて綴る連載。読んで味わうグルメコラムがここに!


第27回:ラーメン、カレー、寿司……2021年に食べて美味しかったものあれこれ


< 2021年 今年食べて美味しかったものあれこれ >

【ラーメン部門】
★東京・荻窪『人と羊』の『番紅花そば』、『ひつじそば』、『羊中華』
(東京・荻窪『ねいろ屋』の『かすらーめん』)
★東京・花小金井『麺尊RAGE RENEGADES』の月曜限定『特製鴨鯖そば』
★福岡・福岡市 九大学研都市『安全食堂』の『ラーメン』
★東京・中野『LABO麺』の『あさりとしじみの塩トリュフラーメン』
★東京・新宿『ひろちゃんラーメン!』の『もり中華』

【カレー部門(うどん?部門)】
★東京・五反田『かれーの店うどん?』の『オイスタースーパー薬膳グレイト』

【寿司部門】
★福岡・福岡市 赤坂『いでの上料理店』の『熟成ヒラメ握り』、『海老味噌漬け海老握り』(8,000円コース)
★東京・中野『にぎにぎ一』の『特大シャコ』、『小肌(四枚付風)』、『海峡サーモン』、『子持ち昆布』

 大変たいへん! 2021年、おわっちゃう〜! でも全〜然問題なし! ご時世的に厳しい状況下ではありましたものの、なんだかんだで美味しいものたくさんいただきましたんで思い残すことはなんもありまっしぇん! というわけで今回の『食尽族』は、『掟ポルシェが2021年に食べたもので美味しかったもの』を、ジャンル別にダラっと並べるだけの年末っぽい企画! ほぼいままでご紹介した店を巡回マシーンなので記事的な目新しさは皆無ですが、軽度の食べログ的なちょっといい店情報羅列方式で2021年をジュジュッと総括! ラーメン&カレー&寿司、3部門に絞ってやったるわい! まずはこっからイクわよ〜〜〜!

【ラーメン部門】

 その昔、ラーメンってものがそんなに得意じゃなくてですね。いや、もちろんインスタント含めて好きは好きなんですが、自分の中の外食におけるプライオリティのかなり低いところにありました。以前も書きましたけど、東京のラーメンと言えばその昔はかなりの薄味で、北海道出身で味の濃いラーメンを食べて育った自分にとってまんじりともしない味でして。それが近年、『ラーメン凪』の大量の煮干しをこれでもかと煮詰めたウルトラ濃厚激ショッパラーメンにカルチャーショックを受けて以降、ラーメンという食べ物に心奪われるようになり、さらにここ数年東京ラーメンでひとつのジャンルを築きつつある清湯スープのラーメン(ちょっと書くのが恥ずかしくすらある“淡麗系”)が好みだとわかってからは、外食時「○○駅 ラーメン ランキング」と食べログで検索するように。また、それとは別に東京の某ラーメン店の味に2020年以降死ぬほどドハマリしてしまい、週1回は必ずラーメンを食べる生活スタイルを確立。その流れで2021年もアホほどラーメンを食べました。

★東京・荻窪『人と羊』の『番紅花そば』、『ひつじそば』、『羊中華』
 当連載でも死ぬほど大絶賛! 現在掟ポルシェがドハマリ中のラーメンが荻窪『人と羊』の『ひつじそば』です(当連載第18回参照)。珍しい羊出汁のラーメンなのですが、何故羊を出汁に使ったラーメンがほとんど存在していないのか、食後絶対不思議に思うほど料理として完成されており唸ります。ラムの白湯スープに大量のラム挽肉を入れてタンパク質を吸着させてとった羊コンソメスープが素敵にウマすぎて軽く静脈注射したいぐらい(当然ですがダメ絶対)。今年食べたもののベスト1はこちらの限定である『番紅花そば』(「サフランそば」と読みます)! この羊コンソメ+ままかり煮干と鮪節の羊+魚介Wスープの必勝パターンに卒倒。澄み切ったサフラン色の黄色いスープに中細麺、トッピングにじゃがいものオムレツと新鮮な春菊、スパイシーなラムテリーヌ+ラムコンフィ等を乗せた、食べ終わるのが世界一嫌なパーフェクトラーメン to me。俺が死んだら棺桶をこのスープでヒタヒタに満たしてほしいと半分冗談半分本気で思っているのです。来年も食べます食べさせて下さい懇願無限大! メインのひつじそば、そして今年長らく月曜限定として愛された醤油味の『羊中華』も素晴らしく美味しくて、品のない話ですが食後に自分の胃から上がってくる羊の匂いだけでうっとりできるのです。最高。

『番紅花そば』
『ひつじそば』
『羊中華』

★(東京・荻窪『ねいろ屋』の『かすらーめん』)
 『人と羊』は現在荻窪『ねいろ屋』で月曜火曜18〜21時間借りのラーメン店。その『ねいろ屋』でもラーメンを作っている『人と羊』店主が作成した限定かすらーめんがこれまた美味くて泣きます。大阪のかすうどんの牛脂かすや尾道ラーメンの揚げ背脂を鶏に置き換え、煮干醤油ラーメンの上に鶏脂と鶏皮を揚げたのを乗せた逸品。煮干と動物系のWスープに弱い俺が嫌いなわけがない! 煮干複数種に鶏脂かすで風味付けてありおもしろいったらありゃしない! イカ煮干か魚醤を入れて煮たような風味の熟成メンマも大変美味。このスープも病気になったら点滴でちょっとずつ静脈に(以下略)。

『かすらーめん』

★東京・花小金井『麺尊RAGE RENEGADES』の月曜限定『特製鴨鯖そば』
 2021年4月、福岡から東京都下の飲食店全滅の町に引っ越してきて、外食するたび死相を浮かべていた俺に一筋の光明、それが花小金井の『麺尊RAGE RENEGADES』。自転車で狂ったように爆走すれば15分程度でなんとか辿り着ける憩いのパラダイス。特に初回食べた月曜限定の特製鴨鯖そばは、鴨出汁+鯖節という動物魚介Wスープの俺KO法則にクリティカルヒット。本当に救われました。ありがとうございます! 置いてるビールのセレクトも優秀で、緑のラベルの小江戸ビール毬花をここで初めて飲みましたが、毬花(ホップ)の苦味がキリリとしまっていて大人の味。それ以来自宅に常備していますちょっと高いのよでもうまいのよ〜。

『特製鴨鯖そば』

★安全食堂(福岡市・九大学研都市)の『ラーメン』
 2021年4月、福岡から東京都下の飲食店全滅の町に引っ越す前、俺が住んでいた福岡市西区の今宿周辺もまぁ飲食店ほぼ全滅の町だよなと思っていたんですが、ラーメンだけは世界一のとんこつラーメンである『安全食堂』がありますので、昼メシには困ったことがありませんでした。引っ越す前に食いだめしとこうと思いバカみたいに日参したものの、数ヶ月経ったら案の定禁断症状が起きています。シンプルであっさりしたとんこつラーメンなのに、他店であの味だけは真似ができないと言われている模様。当連載第6回(https://33man.jp/article/column43/007926.html)を読み返して枕を濡らします。よし、無理矢理福岡で仕事入れよう。

『ラーメン』

★東京・中野『LABO麺』の『あさりとしじみの塩トリュフラーメン』
 福岡在住時の6年間、東京は中野に仕事場マンションを借りていたんですが、中野から引っ越す数日前にこんな上品なラーメンがあることに気づき愕然。気づくの遅すぎだよ俺! バカバカ俺のバカ! しじみとあさりの貝出汁に昆布の出汁+クラリフェした清湯豚骨に伊豆大島の伝統海塩『海の精』を使用したスープに驚嘆。美味すぎて気絶するかもしれません。そしてトッピングの鮭マリネのチャーシューはタンパク質が凝固しないよう50℃で低温調理するミキュイというフレンチの技法が生かされており、「こんなの食べたことない!」という食の驚きを何より優先する俺に優勝をもたらしましたありがとう優勝です優勝もうダメ最高。当連載第17回(https://33man.jp/article/column43/009501.html)参照。

『あさりとしじみの塩トリュフラーメン』

★東京・新宿『ひろちゃんラーメン!』の『もり中華』
 『ラーメン凪』の跡地に次々できている“ちゃん系ラーメン”。塩味&うま味調味料成分がドラッギーなまでに濃厚で油もブカブカ、具材にシンプルなもやしとカタそうなチャーシューという、シンプルでどこか懐かしい感じだけど現代でしかありえない温故知新にして換骨奪胎な現代版ノスラーがこのちゃん系の特徴。新宿歌舞伎町『えっちゃんラーメン。』を皮切りに都内に支店?がたくさんできるなか、新宿西口に2020年にオープンしたのが『ひろちゃんラーメン!』。えっちゃんが塩味ベースであるのに対し、ひろちゃんは濃いめの醤油味で待ってました!な感じ。『もり中華』は所謂つけ麺なんですが、塩分濃度バリバリでビールのつまみにも最適。たまに無性に食べたくなるんで抗えず、かつて中古レコード店を巡った懐かしい新宿小滝橋通りに自然と足が向きます。昔新宿レコードが入ってたビルの1階というとエモくなる方も多いのでは?

『ひろちゃんラーメン!』店頭にて
『もり中華』

【カレー部門(うどん?部門)】

★東京・五反田『かれーの店うどん?』の『オイスタースーパー薬膳グレイト』
 ラーメンばかり食べるようになる以前は、東京でシャバシャバ系のカレーの食べ歩きなどをしておりまして。それでいてスープカレーは野菜が多すぎて具食ってる段階で食べ疲れちゃうのでなんかこれじゃない感があり。そんな時に出会ったのが五反田『かれーの店うどん?』です。当連載第3回(https://33man.jp/article/column43/007451.html)でもガッツリお伝えしましたとおり、パーフェクトでエクセレントなカレーの味もさることながら、まぁよくわからないしきたり&店内トラップだらけでそこもビンビン来てたまらず、気がつけば通い始めて15〜6年。今やカレーはうどん?かメーヤウかココイチくらいしか行かなくなってしまいました。カレー業界からすれば俺なんかラーメンに推し変した最低野郎でございます。それでもやはり、「死ぬ前日何が食べたい?」って訊かれたら「うどん?の季節の夜かれー」と即答することでしょう。2021年はあの幻のメニュー、『オイスタースーパー薬膳グレイト』が2月限定で奇跡の復活! 牡蠣の入った冬の夜かれー薬膳タイプ+牡蠣2個増+生姜という本当に何かに効くやつ。マスターから提供時「ヤバい粉みたいに見えますよね(笑)」とカレー表面の薬膳スパイスをそう言われたように食べると軽くボーッとします。マスター曰く、推奨する食べ方があって、「食べる前と食べている間水分は採らない。そうすると、飛びます(笑)」。そう、カレーで飛ぶ体験が出来るのです! 久々食ったがやはり胃が燃えるようになり少しボーッとしましたね。数年前提供されていたスーパー薬膳グレイトは初体験だとスパイスと生姜の効果で飛ぶ人多く、俺も初食のときはしばらくブックオフでクールダウンしていかないと危なかったほど。生姜は炒めたのと生のと効能が異なる2種入り。生姜の根みたいに見える細いのが炒めたやつで、生のは短冊状。初年度は生のだけが入った『薬膳グレイト』だったが、マスターがテレビ番組で生姜は炒めると効能が変わると知り炒め生姜を追加し『スーパー薬膳グレイト』になったそう。願わくば2022年も我々うどん?ファンを飛翔天女にならせて下さい!

『オイスタースーパー薬膳グレイト』

【寿司部門】

★福岡・福岡市 赤坂『いでの上料理店』の『熟成ヒラメ握り』、『海老味噌漬け海老握り(8,000円コース)』
 福岡を去る前に知古の編集者にご馳走になったことで知った2021年2月オープンの名店。料理は小料理5品に寿司10貫という満足度の高い店主おまかせ8千円のコースのみ。サワラ煮ワサビ沢庵に始まり、フグ+ウニ、茶碗蒸しには明太子と飯が潜み楽しい。イチボの塩漬け+ワサビで第一旨死いただきました! 寿司がことごとく仕事してあり、1貫目の熟成ヒラメの握りはこれまで食べたヒラメでベスト。冷蔵庫で寝かせ強烈旨味アップした熟成ヒラメを数種の塩と昆布でいただくとお口の中がいい旅・夢気分(勝俣州和半ズボン着用)。イカ、金目と来てアジの絶妙なシメ具合、何度も幽体離脱しかけました。海老は開店当初から溜めていた海老味噌と頭のエキスを煮詰めたもので漬けてあり、これぞザ・海老オブ海老。熟成マグロは魚屋で3日&お店で4日冷蔵庫で寝かせてあるとかで、食べたら全身溶けます。ウマトロ。ひと切れだけというのが心憎い海老の塩辛、長崎出身のご主人推薦エソ蒲鉾、ゴマ鯖皿。うずらのピクルスに至るまでハズレが1個もない旨味の連チャンに畏怖。いぶりがっことクリームチーズのよくある組み合わせもクリームチーズ強めで絶妙唸る美味さ、稲荷巻(いなり寿司の皮が少量巻いてある)、ウニ穴子と来て最後ニュウメンでシメ。そして何より美味かったのがガリ! 酢がキツくなくてお土産用買って持ち帰っちゃいました。福岡に住んで6年、最後の最後に本当に美味しい店に出会えました。激オススメ。

『いでの上料理店』店頭にて
『ヒラメ』
『海老』
『マグロ(塩)』

★東京・中野『にぎにぎ一』の『特大シャコ』、『小肌(四枚付風)』、『海峡サーモン』、『子持ち昆布』
 店構えはミニマムな立ち食い、お値段は100円から日本中の珍しい魚が食べられてリーズナブル、それでいてお味のほうは店の大きさと価格の控えめさに反比例して美味しさマキシマム! それが中野の名店『にぎにぎ一』です。好きな食べものは?と訊かれたら迷わず「シャコと小肌の新子の寿司」と答えるのですが、こちらのシャコは特大で子持ちなのに、こぶりなものに比べて旨味までビッグサイズ。海老とカニのいいとこ取りのようなシャコの魅力が存分に味わえます。毎年6〜8月くらいにしかお目にかかれない小肌の新子もこちらでは4枚付け。美味くて柱に頭ガンガン打ち付けそう。新子がないときにお遊びで、薄く切った小肌を新子4枚付みたいに乗せてくれるのが粋で絶品。長崎五島列島で獲れた南国の珍しい魚や北海道の脂の乗った海峡サーモンなどもなんでこの値段なの?ってくらいのありえんロープライスで気軽に食せます。なお、握り手さんが複数いて、若い頃の竹原慎二みたいな人だったら当たりです。赤酢を使ったシャリを小ぶりに握ってくれて、故に調子に乗って何個も食べられちゃう。先程ツイッターの過去ツイ検索したら、夕方ひつじそば食べて食欲に火がついて『にぎにぎ一』寄って寿司食った帰り中野の魚料理のちょっといい店『魚屋ひろし』に寄ってまた飲み直していたり、ちょっと胃袋と頭がおかしなことになってました。そりゃ太るよ……。

『特大シャコ』
『小肌(四枚付風)』

 さて、気づけばとんでもない文章量になってきましたので、本当はもっとうまかったものあるんですが、今月はこの辺で。2022年一発目は今回紹介しきれなかった【掟ポルシェが2021年食べて美味しかったスイーツ】をお送りする予定! 今年は食べすぎて体重増加してしまったため、今泣きながらサウナスーツを着てボディブレード揺らしてます! 意外と効っく〜!

掟ポルシェ 通販サイト開店!

『掟ポルシェ泥棒市場』https://okite.theshop.jp/

掟ポルシェ

おきてぽるしぇ●1968年北海道生まれ。1997年、男気啓蒙ニューウェイヴバンド、ロマンポルシェ。のボーカル&説教担当としてデビュー、これまで『盗んだバイクで天城越え』ほか、8枚のCDをリリース。音楽活動のほかに男の曲がった価値観を力業で文章化したコラムも執筆し、雑誌連載も『TV Bros.』、『別冊少年チャンピオン』など多数。著書に『説教番長 どなりつけハンター』(文芸春秋社)、『男道コーチ屋稼業』(マガジン・ファイブ)、『出し逃げ』(おおかみ書房)、『男の!ヤバすぎバイト列伝』(リットーミュージック)、『豪傑っぽいの好き』(ガイドワークス)がある。そのほか、俳優、声優、DJなど活動は多岐にわたるが、ここ数年はアイドル関連の仕事も多く、イベントの司会や楽曲のリミックスも手がける。

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