デザイナーにアイデアが伝わっていなかった……?〜レッド・ツェッペリン『レッド・ツェッペリン III』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載

音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。


番外編(第65回):デザイナーにアイデアが伝わっていなかった……?


性格の悪い時間(ヒドすぎるジャケット紹介)がやってまいりました。まあ月の最終水曜日は僕にとっての生理だと思ってもらえれば。

レッド・ツェッペリン『レッド・ツェッペリン III』(1970年)

今回はロック界でもビートルズに次ぐ影響力を持つレッド・ツェッペリンを。ロック好きに対しては今さら説明の必要もない存在だが、彼らの何がすごいのかというと、まずバンドとして初めて“ハードロック”という概念をロック界に生み出したこと。そして各楽器隊それぞれが個としても華のある天才的なプレイヤーであり、なおかつその4人の個性がぶつかることにより瞬時に彼らとわかる唯一無二のツェッペリンサウンドが生まれること。彼らと同等の影響力を持つビートルズやクイーン、また同じハードロック界における二大巨頭として彼らと肩を並べるディープ・パープルなどと比べると決して楽曲はキャッチーとは言えず、歌メロも曲構成も妙に複雑なものが多いので、現代でも誰もが聴いたことがあるくらい有名な曲というのは意外と少ないのだが、それでもこれほどの存在となり得ているということはそれだけハマると抜け出せない中毒性のようなものがツェッペリンサウンドにはあるということだろう。確かにあまりにコクがありすぎて気分によっては重く感じてしまうときもあるが、いざのめり込むと永遠にこのカタルシスから抜け出すことはできないんじゃないかとすら思わせる魔力が彼らの音楽にはある。

その魔力をもってロック界に鮮烈な登場を果たした彼らだが、今回紹介するサードアルバム『レッド・ツェッペリン III』は発売当時世間から酷評を浴びた問題作であった。というのもファーストアルバム『レッド・ツェッペリン I』、セカンドアルバム『レッド・ツェッペリン II』において骨太なハードロックサウンドを展開し評価された彼らが、このサードアルバムでは多くの曲でアコースティックサウンドを取り入れ、その結果「ツェッペリンは軟弱になった」という印象を与えてしまったからだ。その背景には当時売れに売れたセカンドアルバムの影響でまったく休みなく働いていたメンバーが休暇もかねてウェールズの田舎を訪れ、その美しい自然に囲まれた環境からインスピレーションを受け、この『レッド・ツェッペリン III』にみられる自然の温もりを感じるアコースティックサウンドを展開するようになったという流れがある。(次ページへ)

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