需要なんてないのさ。でもいいじゃない。一番好きなバンドなのだもの。〜ゴットハード『#13』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載

音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。


第100回:需要なんてないのさ。でもいいじゃない。一番好きなバンドなのだもの。


毎週、細々と上げてきたこの連載『音楽“ジャケット”美術館』。なんと今週で記念すべき100回目を迎える。正直こんなに続けられるとは思っていなかった。そもそも需要があるのかもわからないし、普通にどっかで打ち切りになるんじゃないかと思っていた。しかしここまで続けることができたのもひとえに読者の皆様と、寛大なる耳マンの担当者様、リットーミュージック様、お母さん、地球の大自然のおかげである。万物の皆様本当にありがとうございます。

音楽と美術という自分の好きなことを融合させた連載なので、喜ばしいことにいまだに飽きることなく続けられている。できるならこのまま200回を目指してがんばっていきたいと思っているので、毎度マニアックな内容ではありますがこれからも応援のほどよろしくお願いいたします。ではそんな記念すべき100回目に取り上げるアーティストはもうこれを置いてほかにはないだろう。

ゴットハード『#13』(2020年)

需要なんてないのさ。でもいいじゃない。一番好きなバンドなのだもの。

まあこの連載でも過去に何度か取り上げているし、長くなるので詳しいバンドの情報については割愛するが、世界的な知名度は低いものの母国スイスでは国民的な人気を誇る正統派のハードロックバンドである。

『#13』は2020年に発売されたばかりの彼らのニューアルバム。13枚目のスタジオアルバムだから『#13』。2010年に交通事故で亡くなった史上最強のロックボーカリスト(と僕は思っている)、スティーヴ・リーの後任として加わったニック・メーダー(彼も素晴らしい声を持っている)を迎えての4作目にあたる。

まあしかし毎度毎度見事に外さず名作を量産し続けてくれているゴットハードだが、もうそろそろ駄作がくる頃だろう。普通はここらで一発ハズレをかましてくるだろう。などというこちらの不安をまたしても彼らは木っ端みじんに吹き飛ばしてくれた。ボーカルがニックに代わって音楽性も原点回帰的にオーソドックスでブルージーなハードロックをやるようになったが、スティーヴ・リーというあまりにも偉大すぎる存在を失ったことでより強くなったバンドとしての深い絆が、今も変わらず音に反映されているのがファンとしてはたまらなく嬉しい。決して華やかではないが、とてつもなく味わいの深いアルバムをニック時代のゴットハードは生み出している。強いて言うなら、今回個人的な事情により一時活動を休止しているドラムのヘナ・ハーベッガーがいないことがやはりマイナスポイントにはなっていると思う。それだけ彼のドラムはゴットハードのサウンドを支える重要な役割を占めていたということだ。ただそれでも名盤であることに変わりはない。

そしてジャケットのこの迫力である。闘争心むき出しのデケー牛同士のぶつかり合い。牛の息遣いや角のきしむ音まで聞こえてきそうな躍動感のある瞬間を見事にとらえている。男らしく硬派で骨太なハードロックバンドとしてのイメージにぴったり合ったかっこ良すぎるジャケットだ。エバラ焼肉のたれをこぼしたい。

スティーヴ時代はなぜこのバンドがもっと世界的に評価されないのかと一部の間で言われ続けていたが、現在の渋すぎる音楽性では中々大衆受けは難しいだろう(そもそもハードロック自体需要低いし)。それでも僕はこの小さな島国で彼らの素晴らしさを叫び続ける。彼らを良いと思う僕の目は絶対に間違っていないという自信があるから。

そんなわけでこれからもゴットハード及び『音楽“ジャケット”美術館』及び耳マン及びリットーミュージック及び僕のお母さん及び地球の大自然をよろしくお願いいたします。

平井“ファラオ”光

平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)

ひらい“ふぁらお”ひかる●1984年3月21日生まれ、神奈川県出身。2008年に新道竜巳とのお笑いコンビ“馬鹿よ貴方は”を結成。数々のテレビ/ラジオ番組に出演するほか、『THEMANZAI2014』『M-1グランプリ2015』の決勝進出で大きな注目を集める。個人では俳優やナレーターとしても活躍。音楽・映画観賞や古代エジプト、恐竜やサンリオなど幅広い趣味を持つ。

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