橋本奈々未「ないものねだり」個人PVにあるストレートな作品性【乃木坂46「個人PVという実験場」第6回 5/5】

橋本奈々未「ないものねだり」個人PVにあるストレートな作品性【乃木坂46「個人PVという実験場」第6回 5/5】

橋本奈々未

乃木坂46「個人PVという実験場」

第6回 乃木坂46の映像作品に『可笑しみ』をもたらした山岸聖太 5/5

■記号として解釈される以外の個人としての生

 山岸聖太の映像作品は時折、シュールという言葉で説明される。本連載も過去4週にわたって山岸作品をとりあげるなかで、オフビートな可笑しみや不条理という表現を使いながら個人PVやMVについて綴ってきた。もちろん、それらの言葉は山岸特有の空気感やテンポを示すものではある。けれども、彼の作品をそうしたキーワードに押し込めることは、作中に登場する人物たちの振る舞いをことごとく特定の記号として解釈してしまうことにもつながる。

 はたから見れば飄々としていて、シュールな一場面を構成する要素であるような人物にも、各々にその瞬間に至る背景があり心理の機微がある。そうした想像力を喚起するのが、たとえば2019年の24枚目シングル『夜明けまで強がらなくてもいい』に収録された、齋藤飛鳥・堀未央奈・山下美月のユニットによる楽曲『路面電車の街』MVである。

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