池田エライザ「お人形は嫌。泥臭くやってきたらここにいた」…24日、主演映画「貞子」公開

池田エライザ主演映画「貞子」が公開へ 「ぼくらのレシピ図鑑」で監督業にも進出

記事まとめ

  • 池田エライザが主人公・秋川茉優を演じる映画「貞子」(中田秀夫監督)が24日から公開に
  • 池田は「みんな!エスパーだよ!」ヒロイン、米津玄師「fogbound」コーラスなどを担当
  • 映画24区「ぼくらのレシピ図鑑」シリーズの第2弾の作品の監督も決定している

池田エライザ「お人形は嫌。泥臭くやってきたらここにいた」…24日、主演映画「貞子」公開

池田エライザ「お人形は嫌。泥臭くやってきたらここにいた」…24日、主演映画「貞子」公開

本紙インタビューに答える池田エライザ(カメラ・小泉 洋樹)

 女優の池田エライザ(23)が主演する映画「貞子」(中田秀夫監督)が24日から公開される。池田は「最初は台本を見るのも怖かった」というが、消息を絶った弟を捜して貞子に立ち向かう主人公・秋川茉優を熱演している。「自分にも弟がいるので撮影中は絶望感が抜けなかった」という。撮影現場では監督と熱い議論を重ねるそうで「いいモノを作る上で意見の交換は必要。この経験が自分の少ない財産」とも。芸歴10年にして初めて映画監督にも挑戦(タイトル未定、来年公開予定)。活動の幅を広げている中で芝居や大好きな歌への思いも聞いた。

 中田監督から怨霊の“貞子”に立ち向かうヒロインに指名を受けたが、出演にはある負担も感じたという。

 「人ならざるモノというのを題材にした映画をやるというのは、いつか来ると思ってはいました。日本を代表するホラーに呼んでいただいて光栄でしたが、実はこの手の映画は得意じゃなくて、最初は台本をいただいても、すぐに読む気持ちにはなれませんでした。日本のじめっと湿り気のあるホラー映画というのは、一つ、まずは自分がそこに打ち勝って、(主人公の)茉優と肩を並べてたくましくいないといけない。そういう意味ではプレッシャーはあったと思います」

 茉優は失踪した弟を必死に追跡していく強い女性。洞窟で貞子と直接対決するクライマックスは圧巻だ。

 「私自身にも大好きな弟がいます。いつも(役を)自分に当ててお芝居するというか、もし自分にこういうことが起きたら、どこまで行ってしまうのか、どういう気持ちになるのか掘り下げるんですが、弟がいないということ、考えたくもないと思ったのは初めてでした。撮影ではずっと泣き続けたり叫び続けたり。気持ちを途切らせちゃいけないから楽屋に戻っても全然絶望感が抜けない。この3日間は家に帰っても落ちていましたね。ずっと『弟がいない弟がいない、どうしよう。自分が助けなきゃ』というのが頭の中を反すうして、最後カットがかかった後もずっと震えが止まらずにずっと(共演の)塚本(高史)さんに抑え込んでいただいてました」

 ―役にのめり込んでいた。

 「はい。気持ちを落として落とし込んで本番でワーッて全部出るので、それは映画で見て感じていただければと思います。(演技の)技術的なことは今勉強させていただいていますが、まだお芝居始めて時期も浅くて、その中で戦っていくには自分が今まで培った引き出しとか本番までにかけた時間や思いだったり。そこが私の唯一の切り札で、それでしかまだ戦えないのは悔しいことなんですけどね。でもお芝居をすることが結果として自分を豊かにしてくれるのを感じて、その魅力に取り憑(つ)かれている部分があると思います」

 09年にモデルでデビューし、人気モデルとして活躍。15年に「みんな!エスパーだよ!」(園子温監督)でヒロインに抜てきされ役者の才能が開花した。

 「自分がモデルから入ったという意識はないですね。私のダメな部分というか(役者の)オーディションで自分の何を見てもらうかを考えたこともなく、ただ『よろしくお願いします。使ってください』というだけの時間がけっこうありました。それが19歳で園さんに見つけていただいて、かなり粗削りではあったんですけど、そこからいろんな映画の現場に入って、また使っていただいているのが続いている感じです。悔しいですけど園さんとの出会いが大きいですね(笑い)。厳しいんですけど、一番大きな声を出してくださって、私が本番一発目で出せなかった感情を引きずり出してくれる。その感覚が忘れられなくて『まだまだ私、こんな気持ちが出るんだ』って今でも思いますから」

 ―現場で監督とやり取りは大事にする。

 「監督さんは『自分はこの画(え)の中でこういう動きを撮りたい』という。私は『自分はこう思って、前のシーンがこうだから、こういう動きになる』とか思っている。お互いがソロで練習してきてセッションとなりますが、その前にチューニングがしたい。自分が考えていたものを監督に『まだまだ』って言われると、10代のときは『じゃあ、教えてよ』と思っていましたけど、今は『マジ。もっと行けっかな〜』って面白がっちゃう。監督が何を言うかも興味があるし、そこで学んだ事が次の作品に絶対生きていますから。私、相手の本質が分かると楽になるんです。『なんでこんなに追い詰めてくるんだろう』ではなく、『もっとこれが欲しいんだな。ちょっと待って、今頑張ってやるから』っていうタイプだと思います」

 母親はフィリピン人のプロ歌手で、自身も17年には米津玄師の「fogbound」にコーラスとして参加している。音楽の素養を生かし昨年から音楽番組の司会にも挑戦している。

 「親がシンガーですからね。歌は興味があるどころか歌がなくなると生きていけない。だから歌を仕事にして嫌いになったらどうしようって思うと怖くて、それは慎重になります。お母さんは『悲しくなったら歌え、うれしくなったら歌え』と教えてくれました。歌うのが当たり前の環境で、適当な言葉ででも歌い続けるのがクセになっています。でも私、喉弱いんですよ。お母さんもハスキーな声ですが、かれても歌い続ける。私もそのタイプで1曲ごとにかれて5分後に復活する感じです。『歌手やってみたら』と皆さん言ってくださるんですけどね…。けっこうラナ・デル・レイとかノラ・ジョーンズみたいなのが好きです。『先に売れ線じゃない』と宣言して『私が楽しいから、みなさんもうっかり楽しんでくれたら幸せ!』というぜいたくな環境ならやりたいです。同じ方向を向いた仲間を集めて、好きなモノを作るのもいいですね」

 女優に司会、モデルもこなし監督業にも進出。これからどこに向かうのか。

 「お人形さんは嫌。ぬるま湯は性に合わなくて、泥臭くやってきたらここにいた感覚なんです。表現することが昔から大好きで『みんなに見てほしい』と思っていた少女から何も変わっていない。それはこれからも変わらないと思うけど、だからといって自分の生活をないがしろにしちゃいけない。今、池田エライザという一人の女性としての時間が足りていないと思ったら、空っぽになったコップに水を入れなきゃいけないと思うし、もっと表現したい気持ちが満ちてきたら、自分の本能に応じるべきだと。そんなわがままな環境を事務所も協力してくれて作ってきました。血の固まった場所でやらせていただいているので、表現が難しいですがこれからも臨機応変“ふらふら”とやっていきます(笑い)」

 逃げずに戦うことが血肉になることを知っている。これからも覚悟を持って世間に惑わされることなく自分を貫いていくだろう。23歳にして引き出しはけっこう持っていると思うが…。(ペン・国分 敦、カメラ・小泉 洋樹)

 ◆監督にも挑戦

 各地の自治体とタッグを組んで製作する映画24区「ぼくらのレシピ図鑑」シリーズの第2弾の作品を監督する。

 「もともと映画監督はやりたかったです。小さい頃は小説家志望で高校の時はクラウドファンディングで雑誌の編集もしました。もちろんクリエイティブなことが好きなこともありますが、映画って現場では録音、撮影、照明さんら全員一つのチームでモノ作りをして、私が関わるのって撮影の期間だけで、それはちょっと寂しいなと思うことも多かったです。一緒にお弁当食べている時にアシスタントさんから『自分はこんな映画撮りたい』とか聞くと『え〜、やりたいね』ってなったりね。みんなと同じ方向を向いて作り上げるのが好きなんで、私自身もこれからが楽しみです」

 ◆池田 エライザ(いけだ・えらいざ)1996年4月16日、福岡県生まれ。23歳。父が日本人で母がスペイン系フィリピン人。2009年に「ニコラ」のモデルオーディションでグランプリを獲得し芸能界入り。11年に「高校デビュー」で映画デビュー。15年「みんな!エスパーだよ!」でヒロインに。その後「となりの怪物くん」や「億男」など話題作に出演。16年から雑誌「ダ・ヴィンチ」で書評を担当。18年からNHK BSプレミアム「The Covers」で司会を務めている。初監督作品が来年公開。身長169センチ、血液型B。