志尊淳は激熱俳優!激甘マスクも中身は骨太…出演映画「HiGH&LOW―」10・4公開

志尊淳は激熱俳優!激甘マスクも中身は骨太…出演映画「HiGH&LOW―」10・4公開

激甘マスクも中身は骨太な志尊淳(カメラ・小泉 洋樹)

 俳優の志尊淳(24)が出演する映画「HiGH&LOW THE WORST」が10月4日に公開される。シリーズ6作目で人気漫画「クローズ」の続編「WORST」とのコラボ作品。鬼邪高と敵対する鳳仙学園のアタマ(上田佐智雄)を演じているが、自ら演出プランを提案するほど思い入れも強く「大好きな作品に自分の思いを乗せられた」という。今年は映画「劇場版おっさんずラブ〜LOVE or DEAD〜」、ドラマ「潤一」など出演作が続き、10月からは野田秀樹氏が演出する舞台「Q:A Night At The Kabuki」も控えている。志尊が求める俳優像やこだわりに迫った。

 念願かなっての出演だった。昔から「クローズ」シリーズの大ファンで、俳優デビュー後も映画のオーディションを受け続けていたという。

 「クローズ、WORST大好きです。まずは僕の生まれ育った環境とは全然違っていて『この人の気持ち分かる』というより『なんてカッコいいんだ、このセリフ』っていう世界観への羨望が強かったです。いつか作品に出たいとマネジャーさんにも伝えていて、実際(映画版)クローズのオーディションにも応募しましたが毎回書類でダメ。『そのルックスじゃ無理だよ』って。芝居すら見てもらえない悔しい思いもあって『絶対いつか、オファーが来る俳優になってやる』という自分を鼓舞する気持ちはありました。お話を頂いた時はうれしい気持ちとやっとできる夢のような思い、プラス達成感ありましたね」

 映画ではアクションが売りの一つ。ブラジリアン柔術やボクシング、総合格闘技を身につけていたことで逆に難しさもあったそうだ。

 「やっぱりけんかの場面ですよね。クセで僕のフォームが固まっているんで、それを変えるのも大変だったし、かといって見せる方に突出しちゃうとリアルにけんかしている気持ちにならない。だから相手に『当てるよ』ということもなく半分当ててました、けがない程度に(笑い)。当てると手首とか持っていかれるし筋肉や骨に当ると痛いんですが、それを含めてのけんかですから。現場の規模感もすごくて、本当にカッコよく撮ってもらいました」

 上田佐智雄の人物像を考え抜いた。主人公の言動に説得力を持たせるため“作り手”としても重要シーンに携わっていたようだ。

 「佐智雄が何のためにけんかをするのか、何のためにアタマを背負っているのか。そのバックボーンを固めていないと薄っぺらくなるから、そこは大事にして毎日、キャストやスタッフとディベートしました。脚本も上がっている中で、浮かんだアイデアをすぐに言うのは大変生意気なことですから、僕らが演じていく上で『もっとこうした方がいいんじゃないか』というのをしっかり固めた上で監督さんに言いに行きました。それを受け入れてもらって生きる場面もありました」

 ―思い入れのあったシーンはどこか。

 「(鳳仙四天王の)沢村(葵揚)が鬼邪高にやられて入院する場面、当初はICUの前で佐智雄がメラメラしているという台本でしたが、自分の中で鳳仙と鬼邪高が戦う理由を考えると、何もしていない沢村がやられたことにアタマとしてケリをつけなきゃいけないという気持ちが湧いてきました。戦う理由はすごい大事で、やられたから『オラー』って行くんじゃなくて、もっと深いところでないと表面的に見えちゃう。僕はそれが一番嫌いなんです。沢村の血だらけの制服をそこで見たいと(監督に)打診しました。『ここに戦う理由がある』と感じたからです。内緒で制服を持って仲間が待つ病室に戻ったんですよ。テストの時に。そしたらみんなの震え上がりようが前と違っていて『俺らはこのために戦っている』と共通認識ができて、芝居も全然変わりました。あとラストシーンにも注目してください」

 俳優の世界に興味を持ったのは街中でスカウトされたのがきっかけだった。

 「原宿や渋谷、池袋でスカウトを受けた時、ほど遠い世界と思っていたけど可能性があるならやってみようかなと。すぐに『事務所に入ります』というのもちょっと違うと思って、まずは養成所に通って楽しさを見いだせたら(俳優を)目指してみようかなと、ぼんやりですけど…。それまで僕、毎月声をかけてくれる編集者さんから依頼されてヘアカタログとか撮ったり、読者モデルみたいなことをしてたんですね。そんな時期にその雑誌とワタナベエンタとコラボしたオーディションがあって、受けたらグランプリを頂いて養成所もただで入れてもらいました。なんかタイミングがそろってましたね」

 ―デビューも早かったが。

 「養成所に入ってすぐぐらいに本部のチーフマネジャーが『志尊に会いたい』と言ってくれて面会した時に『テニミュ(「テニスの王子様」ミュージカル)のオーディションを受けてきて』って言われたんです。1〜5次審査ぐらいあって、合格して養成所生ながらデビューが決まりました。15歳でした。ウチの親は何に対しても反対はなく『やるんなら責任を持ってやりなさい』と。養成所の説明会に来てくれた母は『まぁ淳には(俳優は)ないだろうけど、習い事として楽しんだら』って言ってましたね」

 デビュー以来、「烈車戦隊トッキュウジャー」では主人公の戦隊ヒーロー、「女子的生活」では性同一性障害の役、「帝一の國」では中性っぽい役。さまざまな役を演じてきた。

 「役をやる時には自分の似てるところからアプローチするよりもその役柄に寄り添う感じです。今までは自分とかけ離れている役というか、一回自分を切り離してそっちに乗せていく役が多かったですね。役に対しては僕自身が全く偏見はありません。女性とかゲイ、バイセクシャルとか僕は個人として役を見ています。後はやっぱり挑戦的なものをどんどんやっていきたい気持ちはあります。『できんのか』と思われていることを、いい意味で裏切りたいですね」

 今年、是枝裕和、西川美和両監督らが設立した制作集団「分福」が手掛けたドラマ「潤一」に出演した。孤独を抱えた女たちを渡り歩く無職で宿なしの主人公を演じ、自身初となるベッドシーンも話題に。正式出品したカンヌ国際フェスティバルに出席した。

 「僕ってけっこう理屈的に物事を捉える中で、原作を読んだ時に理屈じゃない何かをすごく感じました。きれいごとじゃないんですよ、話が。心情として人間くさく描かれているのがいいです。潤一に関しては頭で計算できることではなく、ただたたずんでその場で起きることに一つ一つ、本能的に反応していくのをすごく心がけました。この作品は捉える人によって解釈が全然変わってくるし、フランスでも感想がそれぞれ違っていて面白いです。日本でこういった作品をやると『官能的とか、初オールヌードですね』ってよく言われます。そこが引っかかりで見てくれるのはうれしいんですけど『ベッドシーンがすごい刺激的だね』というような作品じゃないです。カンヌで上映されたスペインの作品は性に対する問題を全く取り上げていないけど、日常的にも性行為の場面は普通に出てくるんですよ。性に対する認識が国の文化で全然違う。特にフランスは性をコミュニケーションの一環として感じているからこそ、すごく深いところで見いだしてくださったんだと感じました」

 10月から野田氏演出のNODA MAP公演「Q―」(東京芸術劇場など)に出演する。人気バンド・クイーンのアルバム「オペラ座の夜」の世界観を舞台化したもの。上川隆也と松たか子、広瀬すずと志尊の2組のロミオ&ジュリエットが侍の時代に登場するという設定だが、まだ全容が明らかになっていない。

 「野田さんのオリジナル脚本なので。一個のワードを言ったら『あっ、そういう構成か』となっちゃうんで何も言えないです。ずっと野田マップに出たくて、白井晃さん演出で『春のめざめ』(17年)で主演舞台やった時に、野田マップのクリエイターさんが来てくださって『ワークショップ出たいです』ってお願いしました。野田さんのワークショップは受けられない人がいっぱいなのは業界でも有名で、行ったらそうそうたるメンバーばかり、そこにすずちゃんもいました」

 ―野田作品は初めての出演となるが。

 「ワークショップから帰ってきて1週間後に野田さんからオファーがあったんですね。野田さんと一緒で、しかもこんな素晴らしいキャストの方と仕事できるのはうれしかった。もちろん不安もあるんですけど、自分が求められているのはテクニック的な部分ではないと思ってます。舞台は一度主演していますが、キャパも3倍ぐらいになるし規模感が違うと表現も変わってくるでしょう。だからもう初心に帰って楽しみながらやりたいと思います」

 芸歴9年ながらドラマ、舞台、映画で欠かせない存在になっている。役者の女神に愛されている反骨の男は、これからも天職の俳優業を突き詰めるため貪欲に格闘していくことだろう。(ペン・国分 敦)

 ◆奇跡のメンバー「帝一の國」

 17年に出演した映画「帝一の國」には、現在、第一線で活躍している菅田将暉、間宮祥太朗、野村周平、竹内涼真らそうそうたるメンバーが顔をそろえた。

 「みんな売れっ子でもう二度とスケジュール合わないんだろうなとは思いますよ、あのメンバーは。そもそも(映画を)やるに当たって、なんかバチバチとか相手を敵対視しているワケでもなく、こいつの芝居はどうこうでもない。菅田君を筆頭に『みんなで面白いモノを作ろうぜ』というマインドがあって、それがすごくよかったなと思います。今見ると政治の話ながらもあんなにポップでね、内容的にはけっこう社会的なんですよね。もう素晴らしいクリエイター、キャスト、みんな仲が良かったからこそできた作品だと思います。続編ですか? それはどうですかね(笑い)」

 ◆“好敵手”壱馬の心を開いた

 上田の好敵手として登場する花岡楓士雄を演じる川村壱馬(THE RAMPAGE)とは映画を通じて仲良くなったそうだ。

 「壱馬はかわいいヤツでした。すごく芯が強い子で、自分がやりたいことが明確でそこへの努力を惜しまないのはすごい。今でこそ『淳くん、淳くん、これどうしたらいいんですかね』みたいな感じなんですが、最初はそうでもなかったですよ。みんながいる中で、壱馬一人でお弁当食べていたりしてね。なんか、昔の淳というのも壱馬には失礼かもしれないけど自分もそういう時期もあって、話しかけたいと思って話しかけたら、急に心開いてくれて、そっからですね仲良くなったのは。2人で飯食べに行くことも多かったし、壱馬にも背負っているものもあるんで、そこは『一人で背負う必要はないんだよ』っていう空気にできたらいいと思って接していました」

 17歳の時、自立したい気持ちが強く家を飛び出した経験を持っている。

 「一度自分一人でやることの大変さを理解したかったし、まぁ自立したかったんですね。生活費もギリギリでアルバイトしながら役者もやっていました。僕の中で自分から出て『戻ってきたよ』はあり得ないことで、だったらご飯食べなくても絶対戻らないという気持ちで、覚悟は決まっていました。それから2年後ぐらいに『5時から9時まで』というドラマで『お前らは俺のことも見ないで』と家族に対して気持ちを吐露しているシーンがあって、それを見た家族から『淳もこんな気持ちだったんだな』って連絡をもらって再会しました。今も定期的に会っていますよ。今日、母親の誕生日でプレゼント持って帰ろうかなと考えているところです。やっぱり実家でくつろいでいる時が一番素でいられますね」

 ◆志尊 淳(しそん・じゅん)本名同じ。1995年3月5日、東京都生まれ。24歳。2011年に若手男性俳優集団・D2加入。同年、舞台「ミュージカル・テニスの王子様2ndシーズン」で俳優デビューし、14年「烈車戦隊トッキュウジャー」の主演で注目を集める。以降ドラマ「5時から9時まで〜私に恋したお坊さん〜」「表参道高校合唱部!」、映画「帝一の國」などさまざまな作品に出演。17年に「春のめざめ」で舞台初主演。18年にはNHK「女子的生活」で主演を務め、文化庁芸術祭賞テレビ・ドラマ部門放送個人賞受賞。特技は野球、サッカー、総合格闘技など。身長178センチ、血液型A。