菫ちゃん、初対局の男性棋士に勝利「勝ててうれしい」…父より年上の古田四段、頭抱え「しんどかった」

 囲碁の史上最年少プロ棋士・仲邑菫(なかむら・すみれ)初段(10)が16日、大阪・梅田の日本棋院関西総本部で打たれた7大タイトル戦の一つ、第59期十段戦予選Cで、古田直義四段(50)に235手までで白番1目半勝ちした。4月のデビュー以来、初めて対局した男性棋士に勝利。公式戦3連勝とした。

 接戦を見事な逆転勝ちでものにした。

 師匠で父の仲邑信也九段(46)より年上で、40歳も年齢が離れたベテランにじりじり差をつけられたが、相手のミスにも乗じて反撃。お互い秒読み勝負となった終盤、わずか1目半差の大逆転に成功した。囲碁の7大タイトル戦(棋聖、名人、本因坊、王座、天元、碁聖、十段)の予選初参戦を勝利で飾った仲邑初段は、「勝ててうれしい」と、はにかんだ。

 立会人の後藤俊午九段(52)は、「古田さんの必勝形だったが、人間だから緩んだのでは。菫ちゃんは苦しかったが、粘り強かった」と目を細めた。古田四段は「盤上以外も含め、いろんな意味でしんどかった」と、20社40人の報道陣を前に顔色を失った。

 持ち時間は、これまで女性棋士と対局した3戦(2勝1敗)の各1時間とは違い、各3時間の長丁場も初体験だった。対局時間は8時間17分。大阪市内の小学校の1時間目開始から6時間目終了までの約6時間40〜50分を軽く超える熱闘となった。

 日本棋院を通じたコメントでは、「長かった。でも、思ったより長くなかった」と、勝負に熱中したようで、「結構疲れました」。

 パワーの源は公式戦初体験の昼食休憩(午前11時45分〜午後0時半)で食べた母・幸さん(39)の手作り弁当。“勝負メシ”にチンジャオロースーと卵焼きをリクエストし、完食した。報道陣の「おいしかった?」の問いには、笑顔でうなずいた。

 娘の勝利を控室から祈っていた幸さんは、「内容は悪かった。ミスも多かった。しっかり勉強させたい」と話したが、終局後は母子で笑顔。小学5年生の進撃は、まだ始まったばかりだ。

 ■10歳6か月対男性勝利最年少

 10歳6か月の仲邑初段は、2010年6月10日の棋聖戦予選で神田英九段(57)に勝利した藤沢里菜女流4冠(20)の当時11歳8か月の記録を更新する史上最年少の対男性棋士戦勝利に。10歳0か月での入段(プロ入り)、10歳4か月での初勝利も、藤沢の11歳6か月入段、11歳8か月勝利を塗り替えており、最年少記録の“3冠”を達成した。ただ、藤沢は2戦目で男性に勝利。4戦目の仲邑は最短記録とはならなかった。

 ■本戦までは9連勝も

 十段戦の次戦(年内対局)は、またも男性の山田至宝七段(51)。予選Cをあと2連勝して予選B入りしても、その後は予選A、最終予選、本戦が待っており、本戦入りには組み合わせ次第でも8、9連勝は必要になる。公式戦の次戦は羽根彩夏初段(17)とあたる23日の若鯉戦。初手から1手30秒、1分単位で合計10回の考慮時間があるルールの早碁で、勝ち上がれば1日最大3局を打つ可能性がある。