鈴鹿央士、初時代劇で討ち入りじゃ!…「俳優人生考え挑戦」の映画「決算!忠臣蔵」22日公開

鈴鹿央士、初時代劇で討ち入りじゃ!…「俳優人生考え挑戦」の映画「決算!忠臣蔵」22日公開

映画「決算!忠臣蔵」で時代劇に初挑戦の鈴鹿央士(カメラ・小泉 洋樹)

 俳優の鈴鹿央士(19)が出演する映画「決算!忠臣蔵」(中村義洋監督)が22日に公開される。デビュー作「蜜蜂と遠雷」(石川慶監督)に続く映画出演で、主演の岡村隆史(49)演じる赤穂藩勘定方の息子・矢頭右衛門七(えもしち)役で登場している。今後の俳優人生を見据え時代劇に挑戦したそうで「戸惑いもあったけど言葉が関西弁だった分、助かりました」と振り返った。「蜜蜂―」では天才ピアニスト・風間塵を演じきった。ピアノはド素人からの出発で、プロの指の動きをビデオで学習し、練習ノートを作成して役作りをしたそうだ。デビューまでの経緯や苦労話も聞いた。(国分 敦)

 「忠臣蔵」といえば吉良邸討ち入りが山場となるが、今作は赤穂浪士が討ち入りまでにかかる予算、お金に焦点を当てたコメディータッチの内容だ。鈴鹿にとっては初の時代劇で「蜜蜂―」で演じたピアニストから180度違った役どころとなった。

 「着物を着て刀を差して髷(まげ)になっていても、しゃべっているのが関西弁なので意外とすんなり入れました。それに僕、地元(岡山)が赤穂に近いんですよ。(JR)赤穂線の終点が播州赤穂で、その路線の途中駅に住んでいたから台本を読んでいて『こういう言い方、方言あるな』みたいな感じでした。語尾とかはちょっと違いますが、イントネーションは関西と同じだったり。言葉がハードルを下げてくれたのかなとは思います」

 ―時代劇はやりたかった。

 「マネジャーさんに『これからの俳優人生を考えていろんなことを経験したい』とお願いしていました。そしたら『時代劇で京都での撮影。しかもキャストの方がすごい』。僕が経験したいことが丸ごとある話を頂きました。オーディション台本で岡村さんの息子役と分かって、(ネットとかで)調べるじゃないですか、岡村さんを。そしたらだんだん顔も似ている気がしてきて『やるぞ、頑張るぞ』って。すごく気合も入って会場に行ったらカミカミで、台詞(せりふ)が…。それでもなんとか受かってよかったです(笑い)」

 岡村の他にも大石内蔵助役の堤真一を始め、妻夫木聡や濱田岳、西村まさ彦ら芸達者が出演。現場では楽しい時間を過ごせたようだ。

 「皆さん個性的な方ばかりで圧倒されましたが、現場は楽しかったです。矢頭家で岡村さんが堤さんに『でくの坊』と言うシーンは、普通に笑いながら見ちゃっていましたね。アドリブも普通に飛び交っているし、濱田さんの表情もすごくて、笑いをこらえるのが大変でした。コメディータッチ(の場面)は多いですが、僕ら部屋住み少年が討ち入り組と後備え組に分かれるシーンはシリアスなので注目してください」

 「蜜蜂―」で俳優デビューしたが、それまで2度オーディションで落選している。

 「初めてのオーディションの時は、監督さんに『そんなに緊張しなくていいよ』って言われたほど緊張していました。2回目が強烈で、審査が進んでいくとプロデューサーさんから『鈴鹿くんは今、すごく屁(へ)がこきたいけど友達の前ではこけず屁を我慢している人です。ヨーイ、スタート』って。一応やりましたが…。2つとも落ちて『どうやったら合格するんだろう』って。屁こく演技なんかまだできないですからね。親と『最初は生徒Aという役から始まるのが普通でしょう』とか話していました」

 ―3度目にオーディションで大役を射止めた。

 「“蜜蜂”の時は最初に風間塵という役を事務所の社長さんに見てもらい、練習にも付き合っていただいて役を作り込みました。手応えより一緒に受けていた中に有名な方もいて『すげえ、テレビで見ている人に会えた』って。で、4、5回ぐらい呼ばれたから『いつまで続くんだろう』と思っていました。結果を知らされたのは学校にいる時で、社長から『“蜜蜂と遠雷”、受かりました。おめでとう』と。内心は『やった〜』と爆発したかったけど校内だったしヨッシャーと拳を握ったぐらいにして、親にすぐLINEしました」

 天衣無縫のピアニストの役を演じきり、映画賞の新人賞候補に名前が挙がるほどの評価を得ている。

 「ピアノはやったことありません。音楽の授業で鍵盤ハーモニカとか吹いたことがある程度で、レッスンでは『どこがドの音でしょうか』から始まりました。楽譜にも挑戦しましたが結局読めなかったです。先生の手を動画で撮ったり、ノートに線を引いてドレミファソラシド書いて、黒鍵だったら黒、白鍵だったら白で指番号〈1〉〜〈5〉を書いて練習しました。この作品は僕にとって最初で最後のデビュー作。エンドロールで名前の最後に(新人)って出ていて『そうか新人だ』と実感しました。これから先も俳優やっていって『蜜蜂と遠雷』という作品で(新人)と書いてあるのは大きい、自分の中では。いいものだなと思っています」

 高校2年生の時に広瀬すずが出演した映画「先生!、、、好きになってもいいですか?」のエキストラで参加していた時、広瀬の目に留まりスカウトされた。

 「芸能界ってワイドショーとか見て『こんなことしているのか』っていう感じで、自分がそっち側に行くことはないなって思っていました。岡山にいるし、やりたいよりもきっかけもない。ただの部活(バドミントン)少年でした。それが朝に広瀬さんらにあいさつされて『すげえ、芸能人だ』と言っていた自分が昼になったらスカウトされている。『ボーっとしている田舎者の俺だぞ、大丈夫なのか』と思いましたが、母親は『誰にでもあるチャンスじゃないでしょ』と言ってくれました。岡山県でしかも自分の高校でスカウトされた。何かがあったんでしょうね〜。高2の11月、ふわっと生きてきて進路を決める途中で『こっちはどうですか』という道を作ってもらった感じです」

 上京し大学に進学した。英検は2級でTOEICは680点。大学では英語と仏語を専攻している。

 「“蜜蜂”では仏語の台詞があるんですが、仏語の先生に発音を教えてもらいました。英語は中学の時からなんかちょっと好きかなって。洋楽が好きで聴いているうちに意味を調べるようになっていました。ただ歌うのはダメですよ。母からも『人前で歌うな』って言われているし、自分もそんなに聴いてほしくないというか、その道はないと思っています。(事務所関係者に顔を向け)歌はなしでお願いします(笑い)」

 ―素に戻れる瞬間は。

 「意外と人といる時の方がリラックスできているかも。中村監督は役者に対する愛もすごい方だし、石川監督もそう。芸能界ってホーム感すごいじゃないですか。一度作品を共にした方と会った時にはホッとします。あと『忠臣蔵』で一緒だった(鈴木)福くんとは仲いいです。鈴木家に呼んでいただいてご飯食べたりしています」

 デビュー直後から将来を見据え、自らの引き出しを探し続ける。しかも真摯(しんし)で貪欲に、それを普通にできるのが彼の強みだろう。

 ◆初アドリブで松岡茉優の良さ引き出した

 「蜜蜂―」では、主演の松岡茉優と連弾するシーンで初めてアドリブにも挑戦したという。

 「連弾シーンは好きです。ピアノ工房で夕方5時くらいから始まって、翌日、日が昇るぐらいまでやっていました。そこで初めてアドリブがありました。テストを終え本番前に石川監督に呼ばれて『松岡さんに対して言いたいことをアドリブでぶつけてみて』って。『えっ』と思いましたが、やってみようと。あのシーンは原作でも僕の好きなところで、本に書いてあって映画には描いてなかった台詞があるんです。『お姉さんは歌いたくないの』みたいな。それを僕が背中を向けている時に松岡さんにアドリブで問いかけたんです。その時の松岡さんの顔が映画で使われたようで、監督から『ありがとう』って言われました。僕のアドリブよりも松岡さんのリアクションがよかったんだと思いますよ」

 ◆鈴鹿 央士(すずか・おうじ)本名非公表。2000年1月11日、岡山県生まれ。19歳。高2の時に映画「先生!、、、好きになってもいいですか?」にエキストラとして参加した際、主演の広瀬すずにスカウトされ広瀬と同じ芸能事務所に所属することに。芸名は広瀬すずの「すず」にちなんだ。18年11月「メンズノンノ」専属モデルオーディションでグランプリを獲得。19年から俳優活動を始め、NHK連続テレビ小説「なつぞら」、映画「蜜蜂と遠雷」「決算!忠臣蔵」、テレビ朝日系「おっさんずラブ―in the sky―」など話題作に出演。身長178センチ。血液型O。