藤井聡太2冠 豊島将之竜王に公式戦5連敗…同じ愛知県出身の先輩相手に「攻め込んだんですけど、受け止められた」

豊島将之竜王に敗れた藤井聡太2冠(代表撮影・将棋日本シリーズ総合事務局)

 将棋の藤井聡太2冠(18)=王位、棋聖=が12日、東京都渋谷区のスタジオ「シャトーアメーバ」で行われた第41回将棋日本シリーズJTプロ公式戦2回戦で豊島将之竜王(30)に先手の108手で敗れた。今夏、史上最年少タイトル・史上最年少2冠に輝いた18歳も、棋界最高位に就く豊島竜王に対しては2016年のデビュー以降、公式戦5連敗。同じ愛知県出身の先輩が高い壁となって立ちはだかっている。

 敗れた悔しさが7割。最高の相手と死力を尽くした充実感が3割。そんな表情だった。藤井は淡々とした口調で勝負を振り返った。「積極的に行こうと思っていたのですが、途中で見落としがあって、少し内容的にはまずかったのかな、という気がします」。またしても「豊島の壁」を越えることはできなかった。

 飛車角が乱舞する序盤戦に、敗北の影は潜んでいたのかもしれない。先手となった藤井が豊島の誘導に応じて「横歩取り」の将棋に。藤井が小学生時代に最も好んで指した戦い方だが、実はデビュー以降は通算4勝5敗。戦型別では唯一負け越している。「攻め込んだんですけど、受け止められて、かなり苦しくしてしまった」。本局も必然的に乱打戦となり、終盤は勝利の女神が両方にほほ笑みかけるような形勢不明の展開になったが、最後に振り向かせたのは豊島だった。

 JT杯は持ち時間各10分の早指し棋戦で、途中で「封じ手」もあって慣れの要素は大きい。持ち時間を使い切った時も通常の「一分勝負」ではなく「30秒将棋」。両者とも最善手を逃した末、JT杯優勝経験のある豊島が勝利をさらった。

 2016年のデビュー以降、藤井は227戦191勝36敗(勝率・841)と驚異のペースで勝ち続けているが、豊島には公式戦5戦全敗。唯一、2局以上指して1勝も挙げられていない「鬼門の棋士」になっている。

 局後、単独で会見に臨んだ豊島は、愛知の同郷で小学生時代に稽古を付けたこともある後輩について「(自分とは)才能が違うから難しいと思いますけど、可能性を見いだしていけたら。なんとか食らいついていって、勝てる可能性がある実力をつけていけたらと思います」と謙虚な言葉で評価した。

 藤井は大きな壁を越えられず、2冠としての初黒星を喫したが、視線は前を向いていた。今月には王将リーグが開幕する。現代最強の7人が集う最難関リーグの参加者リストには「豊島将之」の名前もある。(北野 新太)

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