坂東亀蔵、目指すは歌舞伎界の万能選手「常に必要とされる役者でありたい」

りりしい表情で「寿曽我対面」の近江小藤田を演じる坂東亀蔵(C)松竹

 坂東亀蔵(41)は歌舞伎界の万能選手を目指している。「常に必要とされる役者でありたい。『自分に向いてないかな』と思う役もあるけど、やったら必ず得るものがある」と意欲的に幅広い役柄をこなす。「九月大歌舞伎」(東京・歌舞伎座)では「寿曽我対面 工藤館の場」で近江小藤太を演じている。

 よく通る声が魅力で口跡の良さに定評がある。「大きな声を出さなくても、客席の奥まで届く発声法があるんです。鍛錬のおかげですね」。コロナ禍でモチベーションの維持に苦労したが、「歌舞伎俳優は足腰が基本」とストレッチと散歩を欠かさず、体調を整えた。

 兄貴分と慕う尾上松緑(45)とは共演機会が多く、気心の知れた間柄だ。コロナの集団感染が発生した東京・新宿の舞台を痛烈に批判して注目された松緑について「怖い人だと思われているかもしれませんが、実は繊細でシャイな人。男気があって、自分より周りのことを考えている人です」。共演者としては「分かり合っているので、舞台ではスッと役に入り込める」と信頼を寄せる。

 祖父・17代目市村羽左衛門、父・坂東楽善(77)を尊敬し、目標とする。兄の坂東彦三郎(44)は何事も遠慮なく言い合える貴重な存在だ。「父から『役を演じるのではなく、なりきればいい』と言われるけど、まだその境地は分からない。死んだ後でもいいから『亀蔵の○○は良かった』という何かを残したい」と地道に稽古を続けている。(有野 博幸)

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