「大量消費」と「ゲレンデマジック」80年代のスキー場はバブルの縮図

「大量消費」と「ゲレンデマジック」80年代のスキー場はバブルの縮図

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住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代、夢中になった映画の話。各界で活躍する同世代の女性と一緒に、“’80年代”を振り返ってみましょう――。

■若者を大量消費へ導いたバブルを象徴する作品

「ゲレンデではかっこいいと思ったのに、レストハウスでゴーグルを外すと“意外と普通じゃん”とがっかりするなど、ゲレンデマジックにかかってしまった人は多いのではないでしょうか。’80年代、大学生や若い社会人は、こぞってスキー場へ繰り出し、グループ交際やゲレンデでの出会いを楽しみました」

こう話すのは、世代・トレンド評論家の牛窪恵さん(54)。

そんなバブル期のスキー場を舞台にしたのが、原田知世と三上博史による恋愛ストーリー『私をスキーに連れてって』(’87年)。“角川映画の女優”の印象が強かった原田が独立後、大女優へと飛躍する大きなきっかけとなった作品だ。

「バブル時代のトレンドを数多く生み出したクリエーター集団『ホイチョイ・プロダクションズ』が原作を担当した同作品は、若者のスキーブームを過熱させました。’80年代に入り、一部の富裕層の趣味だったスキーが、アメリカ文化であるサーフィンやディスコなどと並び、多くの日本人に浸透するようになっていました。さらにバブルの好景気によってリゾート開発が進められ、各地にスキー場が続々とオープン。そこに映画に影響された若者たちが大挙して訪れたのです。ゲレンデには、原田知世さんが劇中で着ていた白いスキーウエアの女性があふれました」

そんな若者をターゲットに深夜帯のテレビでは、「アルペン」や「ヴィクトリア」といったスキー用品量販店のCMが大量に流された。

「手ぶらで遊びに行けるスキー宅配便のサービスも登場。GALA湯沢スキー場に直結した新幹線駅の誕生(’90年)を伝える、キョンキョン(小泉今日子)のCMも大きな話題となりました。映画がさまざまなサービスや商品の生まれるきっかけにつながったのです」

スキーに行くために、車を持つ若者も多かった。

「バレンタインデーやクリスマスには、都内から湯沢インターまで続く大渋滞もあったよう。劇中で流れたユーミンの『サーフ天国、スキー天国』『恋人がサンタクロース』(ともに’80年)、『BLIZZARD』(’84年)などを聴き、渋滞を忘れて盛り上がる人も多かった。しっかりとスキーを楽しみたい人たちは、金曜日の仕事終わりに仲間と出発し、早朝からガンガン滑りまくっていました」

多くの若者を大量消費へと向かわせた、まさにバブル時代を象徴する作品なのだ。

【PROFILE】

牛窪恵

’68年、東京都生まれ。世代・トレンド評論家でマーケティングライターとして『ホンマでっか!?TV』フジテレビ系)など多数の番組で活躍

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